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13話 恥ずかしい勘違い
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「ねえねえ、2人ともどこまで歩くの?ボク疲れちゃったよ」
ビトレは私たちに後ろからついてきてはいるが、完全に疲れているのか文句を吐き始めた。とぼとぼと歩いてパタリとわざとらしく倒れて私たちに助けを求めている。
「もう少しですよ。我慢してください」
リアムは彼らしい愛想のない冷淡な口調でビトレを静めた。にしても、この世界は広いものだと思う。広がる草原に遠くを見渡せば市街地も見え、リアムと走り逃げてきた城もしっかりと見える。私が前いた世界とは比べものにならないくらいの豊かさだ。コンクリートで固められた都市があるなんてこの国の人達は知らないだろう。
「あ、見えましたよ」
私の声でビトレがいきなり元気になって走り出した。なんか無邪気で可愛いけどリアムが警戒することもわかる。守護神ってそもそもなんなのだろうか。
「ほんと?!早くいこーよ!」
診療所を見ればトレイターが手を振っている。私も振り返してビトレに彼の存在を教える。
「あの人はトレイター先生。医者をされていらっしゃるの」
「へえ、トレイターさん!初めまして!」
ビトレはトレイターに大声で叫び、ふさふさの尻尾を大きくチラつかせてみせた。
「フライアさん、早く行きましょう?」
リアムがどこからともなく手を差し伸べて来た。もしかして嫉妬?恋愛経験皆無の私でもわかるくらいの動きをしている。逸らしている顔は赤い。
それから私たちは少し歩いて診療所に戻ってきた。
「遅かったねー、どうしたの?」
トレイターは私たちをいつも通りの軽い声で迎えた。そして、私の足に隠れる守護神を見て不思議がった。
「その子は?」
「ほら、ビトレ、自己紹介を」
「…ボク、ビトレって言います。守護神です」
トレイターは目を見開いた。やっぱり守護神というものは珍しいのだろうか。
「守護神…?末裔か?」
「いや、ホンモノ、本家だよ!」
「そりゃ珍しいな。リアム君、知ってる?」
「いえ、私は知りません…」
リアムは気まずそうに話した。それもそうだと思う。この国の王族が知らない有名な何かなんておかしいし、知らないのはリアムとしては恥だろう。
「それよりもさ、ティータイムなんてどうかな?紅茶ならあるから入れてくるね。ビトレとかいう小さいのはミルクな」
「からかわないでよ!」
ビトレ相変わらず無邪気にかまってみせた。私はリアムとビトレとトレイターに教えてもらった大きなテーブルのある部屋でトレイターを待つことように指示された。
事件はその部屋に向かう途中で起きた。
後ろであまりにも大きい物音がしたので振り返ってみればリアムが倒れていた。顔を真っ赤にして。そう、彼が顔を朱に染めていたのは私に嫉妬してたのではなく体が限界だったのだろう。
なんて情けない勘違いなんだろう。私はすぐさま彼のおでこに手を置いた。
「酷い熱…」
私の横にいたビトレが服の袖を引っ張った。
「ボクがトレイターっていう人、呼んできてあげよっか?」
なぜか、この小さな生き物も心が読めるようだった。
ビトレは私たちに後ろからついてきてはいるが、完全に疲れているのか文句を吐き始めた。とぼとぼと歩いてパタリとわざとらしく倒れて私たちに助けを求めている。
「もう少しですよ。我慢してください」
リアムは彼らしい愛想のない冷淡な口調でビトレを静めた。にしても、この世界は広いものだと思う。広がる草原に遠くを見渡せば市街地も見え、リアムと走り逃げてきた城もしっかりと見える。私が前いた世界とは比べものにならないくらいの豊かさだ。コンクリートで固められた都市があるなんてこの国の人達は知らないだろう。
「あ、見えましたよ」
私の声でビトレがいきなり元気になって走り出した。なんか無邪気で可愛いけどリアムが警戒することもわかる。守護神ってそもそもなんなのだろうか。
「ほんと?!早くいこーよ!」
診療所を見ればトレイターが手を振っている。私も振り返してビトレに彼の存在を教える。
「あの人はトレイター先生。医者をされていらっしゃるの」
「へえ、トレイターさん!初めまして!」
ビトレはトレイターに大声で叫び、ふさふさの尻尾を大きくチラつかせてみせた。
「フライアさん、早く行きましょう?」
リアムがどこからともなく手を差し伸べて来た。もしかして嫉妬?恋愛経験皆無の私でもわかるくらいの動きをしている。逸らしている顔は赤い。
それから私たちは少し歩いて診療所に戻ってきた。
「遅かったねー、どうしたの?」
トレイターは私たちをいつも通りの軽い声で迎えた。そして、私の足に隠れる守護神を見て不思議がった。
「その子は?」
「ほら、ビトレ、自己紹介を」
「…ボク、ビトレって言います。守護神です」
トレイターは目を見開いた。やっぱり守護神というものは珍しいのだろうか。
「守護神…?末裔か?」
「いや、ホンモノ、本家だよ!」
「そりゃ珍しいな。リアム君、知ってる?」
「いえ、私は知りません…」
リアムは気まずそうに話した。それもそうだと思う。この国の王族が知らない有名な何かなんておかしいし、知らないのはリアムとしては恥だろう。
「それよりもさ、ティータイムなんてどうかな?紅茶ならあるから入れてくるね。ビトレとかいう小さいのはミルクな」
「からかわないでよ!」
ビトレ相変わらず無邪気にかまってみせた。私はリアムとビトレとトレイターに教えてもらった大きなテーブルのある部屋でトレイターを待つことように指示された。
事件はその部屋に向かう途中で起きた。
後ろであまりにも大きい物音がしたので振り返ってみればリアムが倒れていた。顔を真っ赤にして。そう、彼が顔を朱に染めていたのは私に嫉妬してたのではなく体が限界だったのだろう。
なんて情けない勘違いなんだろう。私はすぐさま彼のおでこに手を置いた。
「酷い熱…」
私の横にいたビトレが服の袖を引っ張った。
「ボクがトレイターっていう人、呼んできてあげよっか?」
なぜか、この小さな生き物も心が読めるようだった。
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