【完結】異世界に転生した悪役令嬢(役)の私が道端で助けたチートスキル持ちの病弱王子に婚約を求められてます

水仙麗

文字の大きさ
35 / 37

34話 やっと気づいた恋心

しおりを挟む
窓を開け放てば、早朝の心地よい風が私の髪を撫でた。もう朝になってしまったのかと思う月曜のあの憂鬱さと似た感覚に幻滅する。隣には静かに寝息を立てる銀が膨れては吐いてを繰り返す。


外に見える朝日を眺めてはこんなにも赤々しく燃えていたものかと疑う。わざわざこんなにも早く起きて日の出を拝むのは正月に馬鹿みたいにはしゃいだ小学生の頃以来だと思う。


「ん…おはよ…ございます」


リアムは寝起きで口が回らないのか、たどたどしい口調でベットから出て、私の元に寄ってきた。


「そろそろ、準備しますか?」


何も言わずに腰に手を回してきたリアムを追い払うベく、私が彼に問う。嫌なわけでは無いし、私があまりにも無防備だったのは言われようのないことだ。でも、どこか自分の中でひっかかる。


時々、彼はもちろん嘘偽りでいわゆる“役”として私にプロポーズをしたはずだけど、本当に彼は私にプロポーズしたんじゃないかと思う。彼はあの場では私に“役”を頼んだけどその後に気持ちが変わったんじゃないかなんて自分勝手なことを考える日も最近多かった。ありえないはずだけど。


「そうしますかね」


リアムは私の腰から手を離してこれから向かう旅路への支度を始めた。私も荷物でもまとめたりするかと思ったけど、ここ、異世界なんだ。所持品なんてない。身につけているもの、ドレスと胸元で光るそれと自分そのものだけだ。なら、リアムも同じのはずだが。


「お腹すきましたし、朝ごはんだけでも頂いていきますか?」


もちろん準備なんてする必要がないリアムは図々しくも同意するしかない一言を私に浴びせた。確かにここから出ればいつ次は食事にありつけるかということについては不明でしかない。朝ごはんを貰ってから出ていくのはまるで食い逃げで申し訳なさしか溢れてこないがここで食べないと他がない。


「そうしましょう」


私も知らない間に言葉が綺麗になったもんだと思う。普通にタメ口で話してもリアムは怒りそうにないが背伸びしたい。彼と同じ立場の人間としてここでは生きてるんだから別に悪くは無いだろうが。誰にも責められた訳でもないのにこうやってムキになってしまう。


私がリアムのことが好きって言えたら全部解決できるのかな。


こんなこと考えてる場合じゃないのにね。どうせすぐに奴らに見つかる。今にも怒声が鳴り響くんだ。


「おい!ここにいるんだろ!隠れるなんて、卑怯だぞ!」


ほら、外から聞き覚えのある小動物の声が聞こえてくる。


ちょっと待った、私、今、未来を予測した…?


私が自分に理解が追いつかない間に、リアムは理性を失ったかのように窓辺に走って行く。私、次はどうなるんだろう。多分助からないよね。私たち。もう終わりなのかもしれない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

ぽっちゃり令嬢の異世界カフェ巡り~太っているからと婚約破棄されましたが番のモフモフ獣人がいるので貴方のことはどうでもいいです~

翡翠蓮
ファンタジー
幼い頃から王太子殿下の婚約者であることが決められ、厳しい教育を施されていたアイリス。王太子のアルヴィーンに初めて会ったとき、この世界が自分の読んでいた恋愛小説の中で、自分は主人公をいじめる悪役令嬢だということに気づく。自分が追放されないようにアルヴィーンと愛を育もうとするが、殿下のことを好きになれず、さらに自宅の料理長が作る料理が大量で、残さず食べろと両親に言われているうちにぶくぶくと太ってしまう。その上、両親はアルヴィーン以外の情報をアイリスに入れてほしくないがために、アイリスが学園以外の外を歩くことを禁止していた。そして十八歳の冬、小説と同じ時期に婚約破棄される。婚約破棄の理由は、アルヴィーンの『運命の番』である兎獣人、ミリアと出会ったから、そして……豚のように太っているから。「豚のような女と婚約するつもりはない」そう言われ学園を追い出され家も追い出されたが、アイリスは内心大喜びだった。これで……一人で外に出ることができて、異世界のカフェを巡ることができる!?しかも、泣きながらやっていた王太子妃教育もない!?カフェ巡りを繰り返しているうちに、『運命の番』である狼獣人の騎士団副団長に出会って……

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。 しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。 破滅を回避するために決めたことはただ一つ―― 嫌われないように生きること。 原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、 なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、 気づけば全員から溺愛される状況に……? 世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、 無自覚のまま運命と恋を変えていく、 溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

処理中です...