15 / 29
ストーカー、恋する乙女を応援する③
一方、その頃フェルゼン辺境伯邸。
ミルクたっぷりのアッサムティーを飲みながら、情報収集もかねて新聞を読んでいた。
どういうわけか、定期的に王都の新聞がフェルゼン邸にあるのだ。
流石に毎日というわけではないが、1~2週間に一度でまとめて書棚の近くのラックに置いてある。これのおかげで、王都の情報があくまで市民目線ではあるが手に入る。
また、どういうわけかフェルゼン邸の横にいつの間にか図書館が増築されている。最初は空っぽだったのに絵本、童話、神話から歴史書、経済学から帝王学、魔導書や錬金術の教本、料理本や雑学本までそれはもうあらゆるジャンルが雑多に入っている。
アヤネコ最愛の推しことエルストン・ジル・ダルシア。
彼の知らぬところで、彼を慮る余りに異腹兄の性癖が暴走したなどとは知るはずもない。
その日、天気が良かった。
庭では車椅子を押すロヴェルと押されるアリエッタ。エルストンの愛する双子の弟妹の楽しげな声を聴きながらテラスで新聞に目を通す。
ふと、紙面に『人気絶頂! ロイヤル☆ラヴァーズ・リヴサーラ密着取材!』とどどんと出ていた。そこにはドリルを思わせる縦ロールの少女がマイク片手に飛び跳ねている姿があった。
(………どこかで見たことがある気がするような……?)
だが、位の低い妃の皇子とはいえ、エルストンの知り合いにこんな膝上15センチはありそうなミニスカートで歌って踊るアイドル系女子はいなかった。
というより、アイドルなどという職業を新聞に目を通すようになり、俗な情報とともに初めて知ったといっていい。そういった意味でも、新聞は貴重な情報源だった。社交界に出れないエルストンの、平民向けとはいえ鮮度の高い情報を得られる稀少な機会だ。
一応は思い出そうとするが身分の高さに応じて気位の高いものが多いのは、どの年代も性別問わず変わらない。
気のせいだろう、とエルストンは次の紙面をめくったのであった。
次のページには、貴族の間で次々と尻が四分割されるという謎の流行り病があるというニュースだった。
阿呆な話題が流行っているな、と思わず紅の双眸を半眼にした。
渦中ど真ん中過ぎて逆に平和な事を、彼はまだ知らない。
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓
恋愛
伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
本当に現実を生きていないのは?
朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。
だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。
だって、ここは現実だ。
※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。