そっと推しを見守りたい

藤森フクロウ

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ストーカーと宗教①


 吾輩はアヤネコである。
 猫に似たヌッコという生物に頭部だけは似ているが非なるものだ。ゆるキャラを間違えてネタキャラに走らせたような八頭身である。この姿をデザインした挙句、ゴーサインで作ってしまった神様の趣味を疑う。
 私は推しを愛で、推しに尽くし、推しに貢ぐ日々を満喫している。
 まあ、姿が化け物なので基本こっそりストーキングだ。
 推しのお家を増築するためのエルダートレントを伐採しまくり、ハゲ野を作ったりしてしまうが御愛嬌だ。
 自分で作るのは不可能ではないけれど、そればっかりしても経済は回らないと最近気づいたアヤネコです。
 ほどほどにアヤネコトランクルームに詰め込んで、残りは市井に流した。
 最初こそは狩った魔物もすべてトランクルーム行きだったけど、最近はちょいちょいそうやって市街のほうへ流通させている。
 最近は推しの生活も安定してきた。でも推しの周りをギラギラ成金のように飾りたいわけではないのです。推しに似合うような瀟洒で機能美溢れるものを提供したいのです。
 カミゾンで注文することは可能なんだけど、あんまりにも不自然だとバレるからね。
 なので職人の皆さんが育つといいなぁと思いつつ素材を流しながら、貯めたお金でオーダーメイドしている。デザイン画ならいける。ハンドメイドには限度がある。
 最近は革製品の仕入れを念入りにしている。
 猪や鹿、蛇は一般的。魔物だとちょっと高級になりドラゴンなんかは、庶民じゃ手に入らないらしい。
 あー、だからワイバーンをトランクルームに詰めたらアインズのおっさんが悲鳴上げてたのかな?
 私は顔と体が面白ミックスだけど、フードローブを羽織って、お面を付ければわりといける。庶民のお店は金払いが良ければある程度不問にしてくれるのだ。
 まあ、不審者がいるって顔されるけど毎回傷の少ない良素材を搬入しているとだんだんと対応が良くなってきた。
 顔に酷いやけどや傷があるという噂が立っているけど、ただ顔面がそもそも人じゃないんだよ。
 最近の職人街は活気がある。
 いい素材が安く手に入るから良い加工品ができて、商人が沢山仕入れにやってくるそうだ。経済が盛んなのはいいことだ。ついでに金を落として、フェルゼン領の税金となり、まわりにまわって推しの生活が豊かになればいいと思う。
 私は時々領民の様子を見ながらお告げをしていた。
 パン屋さんには

『クロワッサン……クロワッサンを作るのです。
 メタボも血糖値も悪玉コレステロールも恐れず、しこたまバターを入れたデニッシュ生地。
 カロリーの暴挙と言われようと、セルライトの申し子と言われようと躊躇わずに……
 サクサクふわっとした美味しいクロワッサンを作るのです………』

 数か月後、そのパン屋さんは行列になっていた。
 予想より美味しくなかったのでケツをハリセンでしばいて、もっと美味い物を作れとしごいた。推しに献上できる品質になるまでしばいた。
 何故って?
 私が所用でこの領にいなくなる時がある。モンスターや賊を殴りに行くときとか、将来的に推しの敵になりそうなやつらをしばきに行くときとか。
 今までは必死に帝都(王都ともいうけど)を往復したり、日持ちする料理でなんとかしていた。シェフを散々扱いたけど、人間得手不得手があるからね。
 他にも知っている限りで色々なレシピを各方面にお告げという形で伝える。
 投げっぱなしだけどまーそのうち何とかなるでしょう。
 推しの生活向上委員会永久会長のアヤネコは、今日も頑張っています。
 
 ん? なんでクロワッサンかって?

 推しに似合いそうだからだよ!

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