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愚妹の後始末は大変ですわ!2
しおりを挟む「ごめん、セシリア。もう貴女の尻拭いに疲れた。
貴女が良い縁談を探して婚活するのはいいけれど、婚約者のいる方に節度を疑う距離で接するのは困るの。本当にやめて。
マルベリーを使って伯爵令嬢を名乗れなくなってしまうわよ?」
「酷いわ! お異母姉様!」
「じゃあ自分で謝りに行って。もう私知らないから。ファブニル公爵家と、ダルダニャン公爵家と、コノート侯爵家と、シルバニア侯爵家と、デリデン辺境伯家と、ガスタニア伯爵家と、マルイルク伯爵家と、ロンバット伯爵家と、クライスト伯爵家と、ミリダウ子爵家とボルドール子爵家と、アブシア男爵家と」
「し、知らないわ! どこの家よ!?」
あ。これはいくつかは覚えがあるな。顔色が変わった。
途中で遮られたが、ここはきっちり言わせてもらう。何なら、後で謝罪一覧を贈りつけてやります!
「セシリアが匂わせ発言やデートして貢がせた家と、その婚約者の家。破談になったところもある」
「酷いですぅ、異母姉様。セシリアは知らない……」
うるんうるんの目で品を作って「よよよ」と言わんばかりに気弱ぶったセシリア。
酷い、知らないは通らないわよ。金をはたいて探偵雇ったり、舎弟どもを走らせ、うちの部下に特別ボーナスを握らせて調べさせたわ。
転々と寄生先を変えるもんだから、追跡するのが面倒だったわ。
顔だけ見れば本当に今も天使だもの。泣き顔でコロッと騙される男の多いこと。
「あ、デート基準はキス以上をした人だけだから。ただのお出かけやショッピングや、手を繋いだ程度はノーカンにしておいてあげているのは慈悲よ。貴方が引っかけた男の家や、婚約者の家が被害に耐えかねて訴えてきてからの謝罪行脚は面倒だから、ここ数か月ずっとセシリアに人を付けていたの」
ぶっちゃけ、貴族は同じ馬車に男女が二人きりで入った時点でアウトだ。密室系はアウト。
それを入れたらもう両手足で足りなくなる。
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「酷いわ、異母姉様! 私を疑っていたの!?」
「ううん、疑ってないわよ」
「じゃあなぜ?! どうして信じてくれなかったの!?」
おうおう、エゴヒロイズム全開だな。セシリアよ。だがもう遅い。
タチアナに続き、貴様の男癖の悪さは既にケッテンベル――つまりはクロード様の御実家にご迷惑をかけたのだ。
貴様のお涙頂戴は私には効かぬ! そして貴様には媚びぬ! 靡かぬ! 容赦はせぬ!
だが怒りは出さず、貴族らしく刃を微笑に変えて打ち返す。
「信じていたもの、セシリアが複数の男性と関係を持っていたのを」
「そんな……! 酷い! お異母姉様なんて知らない!」
旗色が悪くなったのか、真珠のような涙を散らしながらセシリアは去っていった。
どんなに趣向を変えてもお得意の泣き落としは効かないからな!
クロード様に出会う前ならぎりぎり効いたが、今のアンタのお涙頂戴一人演劇に騙されるのは糞親父くらいだ!
ちなみにタチアナとルビアナは自分に都合が悪いと途端に判定がシビアになる。
「待って、セシリア! アンタがビッチだろうが非処女だろうがどーでもいいからクロード様をはじめご迷惑をかけた方々に平伏して誠心誠意謝罪しなさいよ、ゴルァ! お前のパツキン頭を全部剃髪して尼寺にぶち込むぞ! 逃げんな! 授業でろや、この万年赤点女が! 去年みたいに私のノートを盗んだらマジしばくぞ!」
あら嫌だわ。内なるパッションがでてしまった!
だけど、なぜか周囲からパチパチと拍手を頂きました。
その後、私と顔を合わせるのが嫌なのか外泊の増えたセシリア。でも請求書は家に来るから生きてはいるのでしょう。
舎弟とローゼスに「あの糞アマを見つけたら報告しろ」と厳命しておいた。何故か返事は「イエッス、マム!!!」だった。軍隊か。
セシリアは小賢しく逃げるので、恥を忍んで友人やかつてセシリアがご迷惑をかけた方にも平伏して「あの小娘がいたら教えて欲しい」とお願い申し上げた。
クロード様にご迷惑をお掛けしたらどうしよう……
ボロボロと泣いていると、同情してくれたのか美味しいお菓子とお茶を頂いた。
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