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1巻
1-3
熱のこもった吐息が、ロイの首筋にあたる。息を詰める音がした。思考が霞み、上下した目の前の喉仏をぼうっと見つめる。
「なるほど……ペナルティは足枷をはめている者が受けるということですか。よりによって催淫系だなんて、悪趣味な……」
「無理に外そうとすれば、躾を受ける拘束型の魔道具か」
「はい。どのような仕掛けであるのかまでは判断できなかったので、そのままにしていたのですが……」
「それを私が発動してしまったということか……。すまない。軽率な行動だった」
「いえ。こういった仕掛けのある魔道具は、あのような奴隷狩りが持つことなどありませんし、私も想定外でしたから……。とりあえず、部屋に運びましょう」
「あぁ……。タカト、振動が身体に響くかもしれないが、部屋まで耐えてくれ」
冷たい何かが頬に触れる。熱に浮かされて閉じていた目を薄く開けると、精悍な眉を寄せたダレスティアがおれの頬を撫でていた。火照った身体には、その手が冷たくて気持ちいい。赤く染まっているだろう頬を擦り付けずにはいられなかった。
「はぁ……んっ、きもち、いぃ……」
「っ……ロイ、彼を早く部屋に」
「はい」
気持ちいい手がするりと離れていく。それを名残惜しく思う前に、おれの身体は緩やかな振動を感じ取り始める。あまりおれの身体に響かないように、それでいて速く歩くロイの気遣いを、霞がかったようにうまく働かない頭の片隅で理解したが、敏感になった身体はその僅かな振動さえも快感に変えてしまう。思考がまとまらず、ただ身体を快感に震わせてロイに身体を寄せることしかできない。髪を隠すために毛布を被っていて、この状態を宿の主人に見られなかったことだけが幸いだった。
「タカト、ここなら大丈夫ですよ。よく頑張りましたね」
「っん……」
ゆっくりと柔らかなベッドの上に下ろされる。ひたすら耐えている間に宿の部屋に運ばれたらしい。
先ほどよりも熱が上がったように感じられる身体は、冷たいシーツにすぐに懐いた。火照りを持て余して、全身をシーツに擦り付ける。それでもまだ足りない。まだ熱い。身体の疼きは、腰の奥を中心にうずまいている。
「あッ、はぁ……んぅっ」
「団長、ここの主人から水をもらってきます。少しは楽になるかもしれません。その間、彼をお願いしてもよろしいでしょうか」
「あぁ、わかった」
バタンと扉が閉まる音が聞こえ目を向けると、手甲を外しているダレスティアと目があった。ダレスティアは一瞬動きを止めたが、すぐに鎧を外す作業に戻る。心なしか動きが速く、乱雑になったような……
ぼうっとその動きを眺めていて、突然思いついた。そうだ、おれも服を脱げば少しは楽になれるかもしれない……
ダレスティアの目の前だとか、もう考えられなかった。もたつく指を必死に動かして、ワイシャツのボタンを外す。しかし思う通りに動かない指先は、その小さなボタンを二つ三つ外したところで限界がきてしまった。なかなか外せないボタンと自分のものではないかのような指に、苛立ちが募る。
「うぅ……なんで、ぇ……」
熱の影響か涙腺が弱くなっているおれは、情けなく涙を浮かべながら指を動かす。だが、焦ったところでうまくいくはずもない。相変わらず小さなボタンは指から逃げ回り服を脱げず、おれは熱を持て余す。
「……服を脱ぎたいのか」
ベッドの脇に、いつの間にか鎧を外し終えたダレスティアがいた。首元も少し緩めていて、鎖骨が覗いている。普段なら冷たい視線を見せるエメラルドの目は僅かに熱を帯び、目尻が薄く赤に染まっていた。
その暴力的なほどの色気に、もとより発情状態だったおれは簡単にあてられた。
下半身が熱い……。腰の奥がじくじくと疼いて仕方がない……どうにかしてほしい。
「はぁ、ん……脱がして、ダレス、ティアっ……」
「……ッ」
「じぶ、んじゃ……脱げな、ぁッ……」
震える指を、ダレスティアに伸ばす。必死に服を脱がしてほしいとお願いするおれは、傍からみたら滑稽だっただろうが、もうなりふりかまっていられなかった。全身が熱くてたまらない。
「も、おねがい……ダレスティア、ぁ……っ」
「……良いだろう」
おれの横に片膝をついたダレスティアの下で、ベッドがギシッと軋んだ。
ダレスティアの手がおれのワイシャツに伸びる。自分で外そうとした時はあんなに苦労したのに、とおれはぼんやりと考えながら、ボタンを簡単に外していく手を眺める。ズボンから引っ張り出した部分のボタンも外されて、完全に前がはだけさせられて素肌が露わになる。汗でへばりつく肌着が好きじゃなかったおれは、ワイシャツしか着ていなかった。素肌を撫でるひやりとした空気の気持ちよさに息を吐く。
「ぁ、は……っ」
「……赤いな」
ダレスティアがぼそりと呟いた。彼の方を見ると、ベッドの端に座りおれのさらけ出された肌を見ていた。その視線を追って自分の胸元を見ると、熱を出した時のように肌が赤く染まっている。隣で動く気配がした。首筋にひやりとした温度が触れる。反射で身体がびくつく。
これは……ダレスティアの手だ。
目を向けると予想通り、ダレスティアがおれの首筋に手を当てていた。荷馬車の時と同じように、首筋を上下に撫でられる。男らしい武骨な手が、優しく触れている。
「……冷たいか?」
「う、ん……」
「私は体温が低い。首には太い血管がある。ロイが戻るまで冷やしてやろう」
「あ、りがと……」
ダレスティアに礼を言って目を閉じる。暗い視界の中で、ダレスティアの体温を感じる。熱を持つ身体の向こうで、一か所だけひんやりとしている。彼の冷たい手の下で、血管が熱く脈打っている。常よりも速いそれは、撫でられる度に速度を増している。
ふと、暗闇の向こうで何かが動いたような気がして目を開けた。窓から入ってくる橙色の光を背負って、ダレスティアがおれの顔を覗き込んでいた。青みがあるはずのその銀の髪は、夕日の色に薄く染まっているように見えた。逆光になっていても表情が読み取れるほど顔が近くにあって、鼓動が一段と高鳴る。同時に熱い息が吐き出され、忘れようと努力していた下半身の疼きが増す。
ダレスティアの手が気持ちいい。体温が、じゃなくて、その手に触られることが気持ちいい。
「はぁッ、うン……んー……」
ただ冷たくて気持ちいいと思っていただけなのに……おれはその手に欲情していた。もっと触ってほしい。首だけじゃなくて、全身を。じくじくと熱く脈打つアソコも……
「タカト、何を……」
戸惑った声が聞こえるがそれを無視して、カチャカチャと性急にベルトを外して、腰の締め付けを緩める。さっきはワイシャツのボタンすら外せなかったのに、こちらはもたつかずに外すことができたのは執念だろうか。
ベルトを外した勢いでズボンのボタンは外れたが、チャックのつまみは掴めなかった。小さすぎるそれは今のおれには難関すぎた。代わりに、ボタンが外れたことで緩まったズボンの中に片手を突っ込む。硬くなっている陰茎に触れると、待ちかねた刺激にビクつく。だが、そこを握りたい欲望を抑えつけて、そのまま股の方に向けて手を進める。すると、外に出していた人差し指がチャックのつまみを押していった。
ジジ……とゆっくり下ろされていくチャックの小さい音を拾い上げる聴覚。脳内で勝手に再生されているだけなのかもしれないが、その音にさえおれの性欲は刺激された。期待で呼吸が速くなる。
「はっ、はぁっ、は……ッ」
完全にチャックが下りきり手を引き抜くと、じっとりとしているズボンの中にもひやりと夜の気配をまとった空気が入り込む。
このまま脱ぎ捨ててしまいたいが、僅かに残った理性がそれを拒む。痛いほど張り詰めた陰茎は、パンツの中で触られるのを待っているのに触ることができない。腰の奥に居座って暴れる熱の衝動を解放したいと思うのに、最後の砦とばかりに羞恥心が邪魔をする。
もう握っただけでイケそうなのに……! でもダレスティアの前でそんなはしたないこと、できない……
ダレスティアへの申し訳なさと、果てることへの欲望とを秤にかけ、申し訳ないが部屋を出てくれないかと頼もうと、彼を見たおれは、口を開けたまま黙るしかなかった。
ダレスティアの目は、おれの寛げたズボンから覗く張り詰めた陰茎を見つめていた。声をかけようとしたおれに気付いて、それはおれに向けられる。おれは、その目に込められたものに気付いて全身が沸騰したかのような感覚に陥った。
ダレスティアは、その目に隠しきれない欲を覗かせていた。少し赤く色づいていた目尻は、今は濃く彩られている。細められたエメラルドの目と、その下の泣き黒子が気だるげな雰囲気を醸し出す。
この国最強の騎士団の団長が、誰よりも清廉なダレスティアが、おれに欲情している。その事実に、おれは背筋をゾクリと慄かせた。
「ぁ……」
「…………」
無言のまま、ダレスティアはおれに覆いかぶさる。それを止めることもせず、近づいてくる欲情を湛えたエメラルドの目に、おれは見とれた。この部屋に来るまでは冷たい鉱物のようだったのに、今は生気に満ちて輝いている。その輝きが美しすぎて、目が離せなかった。
ダレスティアの手が、顎を掴む。
あぁ、キスされる……
そう思うのにおれの手は指一本も動かせず、喉は呼吸以外の仕事を放棄し、隙間をなくすように重ねられた冷たい唇を拒むことはできなかった。
「っぁ……」
「ん…………」
「お待たせしまし――おや」
少し離れた唇の間を行き来する吐息。そこに割り込んできた声に、スッと離れていくダレスティアの身体。開けた視界に、瓶とコップがのった盆を持つ笑顔のロイの姿が入った。
「ロイぃ……」
「タカト、大丈夫ですか? ……まだ熱いですね」
ロイの微笑みに安心感を抱いたおれは、ロイに向かって左手を伸ばした。ベッド脇のチェストの上に盆を置き、その手をロイが握ってくれる。ダレスティアのように冷たくはないが、その体温にほっとする。
「ダレスティア団長、そんな目で見ないでください……。タカト、少し待ってくださいね。水を用意しますから」
「うん……」
そっと手が離れる。つい寂し気な声が出てしまった。いつからおれはメンタルが弱くなったんだ。
と、右手を握られる。反対側に顔を向けると、ダレスティアがおれの手をぎこちなく握っていた。彼の顔を見ると、その唇に目がいく。必然的にその感触を思い出してしまった。身体がカッと熱くなる。
「タカト、身体を起こせますか?」
水の入ったコップを持つロイが、おれの肩に触れる。その言葉に従って身体を起こそうとするが、力が入らず頭が僅かに浮き上がる程度しか動かせない。
「ごめ……むりそ……」
「いえ、大丈夫ですよ。無理はしないでください」
「っでも、水……」
「――失礼します」
「え」
ロイが持つコップの中の水は涼しげで、おれはそれを物欲しそうな目で見てしまった。と、その水はロイの口の中に消えていく。え? おれの水……
困惑するおれをよそに、ロイの顔が近づく。完全に油断していたおれは、ロイのぴったりと閉じられた唇で半開きの口を塞がれた。握られた右手にかかる力が強くなった。
「んっ……」
口の中に、舌が痺れるほど冷たい水が入りこんでくる。あまりの冷たさに飲み込むのを躊躇うと、ひやりとした感触が上顎を撫でた。
「んんっ‼」
「ン……ふ……」
驚いて、思わず水を飲み干してしまう。ゴクリと動いた喉を、ロイの手が撫でる。まだおれの口に入り込んだままのロイの舌は、堪能するように口内を一周するとロイの口の中に戻っていった。そのまま唇も離れていく。
「ぷはっ……!」
「ふふ……冷たくて気持ちよかったでしょう? 魔法で瓶の底だけ水を凍らせたんです。水全体が冷えるまで少し時間がかかってしまいましたが」
飲み込みきれずに口の端から水が一筋流れる。それを拭いながら、ロイは彼の濡れた唇をペロリと舐める。しばらく放っておいても冷たいままですよ、なんて言っているが、冷たい水を飲まされたにもかかわらず、口移しでむしろ熱が再燃したおれの頭には入ってこなかった。
「それで戻るのが遅かったのか」
「はい。団長がついていらっしゃるので大丈夫だと思いまして。予想外のことは起きていましたが」
「…………」
「ふふ……安心してください。副団長には言いませんから」
「はぁ……流石は元『竜の眼』だな」
「他の方でしたら、これくらいは弱みというほどでもないのですが……これまで浮いた噂のなかった団長が、ですからね。それにしても……」
「んぁっ!」
不意に、つ……と脇腹を撫でられ、あられもない声が飛び出る。咄嗟に口を手で押さえるが、遅すぎた。ロイは微笑みを深くし、ダレスティアは繋いだままの右手を先ほどよりも強く握った。
「随分と煽情的な姿ですね。確かに、これを目の当たりにして抑えられる自信は私にも無いです」
「――この状態異常は、どれほど続くと推測する?」
「二、三時間といったところでしょうか。あまり長く発情状態が続くと身体に悪いですし。身体にこもった熱を発散すれば、少しはマシかもしれませんが……」
「熱を発散……」
「本来長く興奮状態を保つことは難しいのに、無理やり長引かせられている状態なのです。興奮状態を収めるためにするのと同じように、射精すれば幾分か楽になると思います」
ロイはダレスティアと話しながらも、その指先でおれの身体をなぞっていく。欲を煽るその動きに翻弄され、口を押さえた手の隙間から小さなうめき声が絶えず漏れる。必死に声を抑えて耐えるおれを尻目に、ロイの手は段々と下がっていく。腰を撫でられて、身を捩る。強い力で右手を握りしめられ、意識がそちらに向いた瞬間、おれは手で押さえていたにもかかわらず、甘い悲鳴をあげてしまった。
「んぁァ‼」
鋭い快感が脊髄を走る。身体は不規則にビクつきながらのけぞり、足の指先はギュッと力が込もっていた。
「あ、ぁあ、ひ……」
「イッちゃいましたか」
一瞬の硬直のあと、身体が弛緩する。脳が快楽に溶けきり、自分の状態が理解できない。何が起こったのか、ロイの言葉で気が付いた。
――おれ、ロイの手で握られただけでイったんだ……
「……はぁ……はぁ……ん、はぁ……」
突然の射精に荒い息が止まらない。心臓は早鐘を打ったように速く、全身に酸素をハイスピードで回している。
「んんっ! あ、いやだ、まだ……!」
果てても硬度を保ったままの陰茎に刺激が走る。ロイがパンツの上から扱いていた。ぬるついた生地が、ピタリと張り付いて少し気持ち悪い。それでもそこから与えられる快感は強く、息も整わないおれは、咄嗟に制止していた。
「――そうですね。連続で吐き出すのは辛いでしょうし、急な射精で驚いたでしょう。少し間をあけましょうか」
「え……」
あっさりと、手が離れる。おれのソコは熱く脈打ったままだ。
ロイはそのまま部屋の隅で鎧を外し始めてしまう。ロイはおれの言葉を聞き入れてくれただけなのに、落胆が強い。どうして手を離してしまったのか。どうしてもっと触ってくれないのか。逸る気持ちそのままに、腰を揺らしてしまう。
もういっそ、自分で触った方が――
あれほど人前で触ることに抵抗があったのに、一度射精したことで抑えがきかなくなった。自分の陰茎に手を伸ばそうとして、その手を握られた。もう片方の手と一緒に頭上に纏めて押さえつけられる。
「え……なんで……」
「触りたいか」
ダレスティアが、ギラついた目でおれを見ていた。その眼光に息をのむ。答えないおれに焦れたのか、ダレスティアの手がおれの陰茎の先を掴んだ。
「ひぁっア‼」
「ここを触って、扱いて……また吐き出したいか?」
そのまま指先で亀頭から付け根までを撫でおろされる。またしてもすぐに射精してしまいそうなほど敏感になったソコへの甘い刺激に、おれの残された羞恥心は簡単に溶かされた。
「イキたい……っ」
「そうか。だが、ロイの言うとおり身体に負担がかかるのは良くない。少し我慢しろ」
「や、むり……っ」
必死に訴えるも、ダレスティアの手は無情にも離れてしまう。吐き出したはずの熱がまた生まれ、今すぐにでもあの解放感をもう一度、と求めている。それなのにおれの両手は相変わらずダレスティアに封じられたままだ。思い通りにならない状況に、熱の疼きと心の焦りが混ざり合う。
「――ぃ、んン……ッ!」
「……痛いか?」
突然きゅぅっと胸の突起をつねられ、がくんと首を反らした。目をやると、ダレスティアの右手がおれの乳首をいじっている。
摘まれてくりくりこねられたり、柔くひっかかれたり、乳首への愛撫なんて初めてなのに、おれはそれに快感を得て上半身がびくびく痙攣する。
「なんで……あっ、そんなところ」
乳首なんて感じないはずなのに、切ないほど気持ちいい。おれが欲しかったものとは違うが、やっと与えられた快感だ。ぼうっとしてきた頭は、もっと触ってほしいとねだっている。
「どうやら、乳首でも感じるようですね」
鎧を外して軽装になったロイが、ベッドに上がりながらそんなことを言う。でもそれを認めたくないおれは頭を振り乱して否定する。
「ち、ちがッ……感じてないっ!」
「本当に? でもここは素直ですよ」
「――ッぁ⁉」
乳首への刺激でおれの腰が浮き上がった隙に、ロイはおれのズボンとパンツを一緒に下ろした。そして飛び出たおれの陰茎を握って上下に扱いてきた。あまりの早業に一瞬理解が追い付かなかったが、身体の方は素直に待ちわびた刺激を受け入れていた。
乳首への愛撫によって再び溢れ出した先走りでソコは既に濡れそぼっており、くちゅくちゅと卑猥としか言いようのない音を立てながら扱かれている。電流が走ったかのような快感が背筋を駆け抜けるが、そのまま頂点に達することはできなかった。
イってもおかしくないほどだったのに。困惑しながら見やると、ロイが指で陰茎の根本を締め付けて、吐き出せないようにしていた。
「ここ、ぐちゃぐちゃですね。こんなに先走りが溢れて止まらないのに、感じてないなんて嘘はダメですよ」
「ちがぁ、ロイがそこ、んあァッ、触るから……ああぁ、乳首やめっ、あッ‼」
ロイが愉しそうにおれのソレを弄りまわす間も、ダレスティアがおれの乳首を摘んだりこねたりはじいたりと刺激してくる。容赦ない愛撫を受けている右側の乳首だけが真っ赤に色づいている。
「そうですか……ではココをこれ以上触るのはやめましょうか」
「え、あ、うそ……やだぁ」
素直にならないタカトにお仕置きです、なんて言って、またしても手を離すロイの微笑みが悪魔の微笑に見えた。
ドSっ! 天使の仮面を被った悪魔! 変態⁉
言いたい文句がグルグルと頭の中を巡るが、どれも言葉として口から出ることは叶わず、あうあうと唸ることしかできなかった。
「あぁ、団長。そちらばかりいじるから、反対側が寂しそうですよ」
「ん? あぁ、本当だな」
「健気にピンと立って、愛らしいですね……」
左の乳首は限界まで尖って刺激されるのを期待しており、その周りで薄く色づいている乳輪の縁を、ロイの爪が触れるか触れないかくらいでくるくるとなぞる。
「っ……あ、っあぁ……あ、あ……、はぁっ……」
刺激が待ち遠しくて尖りを増す乳首と、段々と息が荒くなるおれを見て、くすくすと笑うロイはやっぱりドSだ。ロイはすりすりと指の腹で乳輪をなぞるように擦りながら、少しずつ輪を狭めてくる。その指先を見つめるおれは、ロイがダレスティアに目配せし、いつの間にか右側の乳首への刺激がなくなっていたことに気付かなかった。全ての感覚が、左乳首に集中していたといってもいい。
「は、あ、んっ、はぁ、あ、あ、アァっ――‼」
指先が乳首に近付いていく様子がスローモーションのように見えた。指先が乳首の先端をひっかいたと思ったら、思い切り弾かれた。ピンという幻聴まで聞こえたその動きは、敏感になっていた乳首に凄まじいほどの快楽を与えた。脳内を焼き尽くしそうな快感は、熱を放出するのに十分なほどだったが、またしてもおれが求めていた解放感は得られなかった。
熱の解放を求めて震えるソレを、今度はダレスティアが握って放出を阻んでいた。
「な、なんでっ……」
「お前は、胸だけで達することができるのか?」
「え、あ……」
「あんなに感じないと言っていたのは、やはり嘘だったのですか?」
「だ、って……身体が、おかしいから……」
「発情してるから? でも、それとこれとは別問題ですよね」
意地悪な笑みを見せるロイは、おれの胸に顔を寄せ、乳首をぺろっと舐め上げた。絶頂に達しなかったことで、身体はさらに敏感になっている。もはや言い逃れできないほど性感帯となっているそこへの強すぎる刺激に、おれは背を反らして全身をびくつかせた。
「随分とよさそうだな」
「ええ。ここまで魔道具の効力が強いとは……もしかして、タカトは元々快楽に弱いのかもしれませんね。もし奴隷商人に売られていれば、この色のことがなくても目玉商品間違いなしだったでしょう」
「……国王陛下に、奴隷売買法をより厳しく改定していただこう」
「そうですね。その際は、私が持つとっておきの情報をお渡しします」
二人が話している間も、その手はずっとおれを責めたてている。全身が弛緩している状態のおれに抵抗できる力などない。すでに拘束されていた両手は解放されているが、それはダレスティアも両手が自由になったということ。
不埒な冷たい手は、両方ともおれの陰茎に絡みついていて、絶えず溺れるような快楽を与えるのに、達しようとすると片方の手によって解放を妨げられる。出すことが許されない精液の代わりに、こぷりと絶えず溢れる先走りは、ダレスティアの手によってちゅくちゅくと耳を塞ぎたくなるような卑猥な水音を立てている。亀頭から根本、その下の膨らみにまで塗り広げられ、手の動きをスムーズにしていた。
「あっ、もっ、ダメ……どっちもはダメぇ……」
ただでさえ、最も敏感な箇所への刺激が止まらなくて辛いのに、性感帯に変えられてしまった乳首を苛める手もある。
ロイはその長い指で器用に両方の乳首を、それぞれ違う動きで弄ってくる。
「んっ、ひゃっ……ぁう……」
ダレスティアに赤くなるまで苛められた右の乳首は、先ほどのダレスティアの動きを真似るかのように、ロイの指に摘まれてこねられている。少し痛いくらいの力でキュウッとされたかと思えば、赤くなったそこを労わるように、優しく指の腹で円を描くように撫でられる。
左側は、爪でカリカリと細かい動きで先端を引っかかれている。痛痒いほどの時もあれば、こそばゆいくらいの時もあり、刺激に慣れたら爪を立てられる。異なる愛撫を受ける二つの胸の頂は、痛いほど尖り切って、その甘い責め苦を甘受している。摘まれる度に赤く色づき、引っかかれるほど尖りを増す。
「……快楽で蕩けた目も美しいですが、この髪もとても美しいですね。まるで、天使を辱めているかのような背徳感があります」
ロイがおれの髪に手を伸ばし、その毛先を指先に絡めている。長くはない髪で遊んでも楽しくないだろうにと、頭の中の冷静な部分がそうこぼすが、このくすぐったさがどこか心地いい。
「天使、か。神やその使徒を信じたことはないが、確かにこれほど美しいものを見たことはない。念入りに手入れすれば、より美しさは増すだろうな」
ダレスティアも、おれの髪に触れる。こちらは繊細なものを扱うように、指先で柔く撫でてくる。まるで自分が壊れやすい硝子細工にでもなったかのような錯覚に陥った。
二人から与えられる、まるで恋人同士のような甘い触れ合い。しかし、そんな雰囲気も、段々強くなる快感に流されてしまった。
刺激に慣れ始めた乳首を甘く弄られれば胸を突き出し、敏感な亀頭を強く苛められれば腰を突き出す。淫猥な踊りを、美麗な二人の騎士の手によって踊らされている。この異様な状況を半ば冷静に判断する部分と、快楽に蕩けきってぐずぐずな判断しかできない部分が、脳内で争っていた。
他人の、それも憧れたダレスティアの手で射精なんて、したくない。
もう何でもいいから早く楽になりたい。気持ち良く、この熱を全て吐き出してしまいたい。
異なる欲求が身体を駆け巡る。もう、何も考えられない。限界……
「なるほど……ペナルティは足枷をはめている者が受けるということですか。よりによって催淫系だなんて、悪趣味な……」
「無理に外そうとすれば、躾を受ける拘束型の魔道具か」
「はい。どのような仕掛けであるのかまでは判断できなかったので、そのままにしていたのですが……」
「それを私が発動してしまったということか……。すまない。軽率な行動だった」
「いえ。こういった仕掛けのある魔道具は、あのような奴隷狩りが持つことなどありませんし、私も想定外でしたから……。とりあえず、部屋に運びましょう」
「あぁ……。タカト、振動が身体に響くかもしれないが、部屋まで耐えてくれ」
冷たい何かが頬に触れる。熱に浮かされて閉じていた目を薄く開けると、精悍な眉を寄せたダレスティアがおれの頬を撫でていた。火照った身体には、その手が冷たくて気持ちいい。赤く染まっているだろう頬を擦り付けずにはいられなかった。
「はぁ……んっ、きもち、いぃ……」
「っ……ロイ、彼を早く部屋に」
「はい」
気持ちいい手がするりと離れていく。それを名残惜しく思う前に、おれの身体は緩やかな振動を感じ取り始める。あまりおれの身体に響かないように、それでいて速く歩くロイの気遣いを、霞がかったようにうまく働かない頭の片隅で理解したが、敏感になった身体はその僅かな振動さえも快感に変えてしまう。思考がまとまらず、ただ身体を快感に震わせてロイに身体を寄せることしかできない。髪を隠すために毛布を被っていて、この状態を宿の主人に見られなかったことだけが幸いだった。
「タカト、ここなら大丈夫ですよ。よく頑張りましたね」
「っん……」
ゆっくりと柔らかなベッドの上に下ろされる。ひたすら耐えている間に宿の部屋に運ばれたらしい。
先ほどよりも熱が上がったように感じられる身体は、冷たいシーツにすぐに懐いた。火照りを持て余して、全身をシーツに擦り付ける。それでもまだ足りない。まだ熱い。身体の疼きは、腰の奥を中心にうずまいている。
「あッ、はぁ……んぅっ」
「団長、ここの主人から水をもらってきます。少しは楽になるかもしれません。その間、彼をお願いしてもよろしいでしょうか」
「あぁ、わかった」
バタンと扉が閉まる音が聞こえ目を向けると、手甲を外しているダレスティアと目があった。ダレスティアは一瞬動きを止めたが、すぐに鎧を外す作業に戻る。心なしか動きが速く、乱雑になったような……
ぼうっとその動きを眺めていて、突然思いついた。そうだ、おれも服を脱げば少しは楽になれるかもしれない……
ダレスティアの目の前だとか、もう考えられなかった。もたつく指を必死に動かして、ワイシャツのボタンを外す。しかし思う通りに動かない指先は、その小さなボタンを二つ三つ外したところで限界がきてしまった。なかなか外せないボタンと自分のものではないかのような指に、苛立ちが募る。
「うぅ……なんで、ぇ……」
熱の影響か涙腺が弱くなっているおれは、情けなく涙を浮かべながら指を動かす。だが、焦ったところでうまくいくはずもない。相変わらず小さなボタンは指から逃げ回り服を脱げず、おれは熱を持て余す。
「……服を脱ぎたいのか」
ベッドの脇に、いつの間にか鎧を外し終えたダレスティアがいた。首元も少し緩めていて、鎖骨が覗いている。普段なら冷たい視線を見せるエメラルドの目は僅かに熱を帯び、目尻が薄く赤に染まっていた。
その暴力的なほどの色気に、もとより発情状態だったおれは簡単にあてられた。
下半身が熱い……。腰の奥がじくじくと疼いて仕方がない……どうにかしてほしい。
「はぁ、ん……脱がして、ダレス、ティアっ……」
「……ッ」
「じぶ、んじゃ……脱げな、ぁッ……」
震える指を、ダレスティアに伸ばす。必死に服を脱がしてほしいとお願いするおれは、傍からみたら滑稽だっただろうが、もうなりふりかまっていられなかった。全身が熱くてたまらない。
「も、おねがい……ダレスティア、ぁ……っ」
「……良いだろう」
おれの横に片膝をついたダレスティアの下で、ベッドがギシッと軋んだ。
ダレスティアの手がおれのワイシャツに伸びる。自分で外そうとした時はあんなに苦労したのに、とおれはぼんやりと考えながら、ボタンを簡単に外していく手を眺める。ズボンから引っ張り出した部分のボタンも外されて、完全に前がはだけさせられて素肌が露わになる。汗でへばりつく肌着が好きじゃなかったおれは、ワイシャツしか着ていなかった。素肌を撫でるひやりとした空気の気持ちよさに息を吐く。
「ぁ、は……っ」
「……赤いな」
ダレスティアがぼそりと呟いた。彼の方を見ると、ベッドの端に座りおれのさらけ出された肌を見ていた。その視線を追って自分の胸元を見ると、熱を出した時のように肌が赤く染まっている。隣で動く気配がした。首筋にひやりとした温度が触れる。反射で身体がびくつく。
これは……ダレスティアの手だ。
目を向けると予想通り、ダレスティアがおれの首筋に手を当てていた。荷馬車の時と同じように、首筋を上下に撫でられる。男らしい武骨な手が、優しく触れている。
「……冷たいか?」
「う、ん……」
「私は体温が低い。首には太い血管がある。ロイが戻るまで冷やしてやろう」
「あ、りがと……」
ダレスティアに礼を言って目を閉じる。暗い視界の中で、ダレスティアの体温を感じる。熱を持つ身体の向こうで、一か所だけひんやりとしている。彼の冷たい手の下で、血管が熱く脈打っている。常よりも速いそれは、撫でられる度に速度を増している。
ふと、暗闇の向こうで何かが動いたような気がして目を開けた。窓から入ってくる橙色の光を背負って、ダレスティアがおれの顔を覗き込んでいた。青みがあるはずのその銀の髪は、夕日の色に薄く染まっているように見えた。逆光になっていても表情が読み取れるほど顔が近くにあって、鼓動が一段と高鳴る。同時に熱い息が吐き出され、忘れようと努力していた下半身の疼きが増す。
ダレスティアの手が気持ちいい。体温が、じゃなくて、その手に触られることが気持ちいい。
「はぁッ、うン……んー……」
ただ冷たくて気持ちいいと思っていただけなのに……おれはその手に欲情していた。もっと触ってほしい。首だけじゃなくて、全身を。じくじくと熱く脈打つアソコも……
「タカト、何を……」
戸惑った声が聞こえるがそれを無視して、カチャカチャと性急にベルトを外して、腰の締め付けを緩める。さっきはワイシャツのボタンすら外せなかったのに、こちらはもたつかずに外すことができたのは執念だろうか。
ベルトを外した勢いでズボンのボタンは外れたが、チャックのつまみは掴めなかった。小さすぎるそれは今のおれには難関すぎた。代わりに、ボタンが外れたことで緩まったズボンの中に片手を突っ込む。硬くなっている陰茎に触れると、待ちかねた刺激にビクつく。だが、そこを握りたい欲望を抑えつけて、そのまま股の方に向けて手を進める。すると、外に出していた人差し指がチャックのつまみを押していった。
ジジ……とゆっくり下ろされていくチャックの小さい音を拾い上げる聴覚。脳内で勝手に再生されているだけなのかもしれないが、その音にさえおれの性欲は刺激された。期待で呼吸が速くなる。
「はっ、はぁっ、は……ッ」
完全にチャックが下りきり手を引き抜くと、じっとりとしているズボンの中にもひやりと夜の気配をまとった空気が入り込む。
このまま脱ぎ捨ててしまいたいが、僅かに残った理性がそれを拒む。痛いほど張り詰めた陰茎は、パンツの中で触られるのを待っているのに触ることができない。腰の奥に居座って暴れる熱の衝動を解放したいと思うのに、最後の砦とばかりに羞恥心が邪魔をする。
もう握っただけでイケそうなのに……! でもダレスティアの前でそんなはしたないこと、できない……
ダレスティアへの申し訳なさと、果てることへの欲望とを秤にかけ、申し訳ないが部屋を出てくれないかと頼もうと、彼を見たおれは、口を開けたまま黙るしかなかった。
ダレスティアの目は、おれの寛げたズボンから覗く張り詰めた陰茎を見つめていた。声をかけようとしたおれに気付いて、それはおれに向けられる。おれは、その目に込められたものに気付いて全身が沸騰したかのような感覚に陥った。
ダレスティアは、その目に隠しきれない欲を覗かせていた。少し赤く色づいていた目尻は、今は濃く彩られている。細められたエメラルドの目と、その下の泣き黒子が気だるげな雰囲気を醸し出す。
この国最強の騎士団の団長が、誰よりも清廉なダレスティアが、おれに欲情している。その事実に、おれは背筋をゾクリと慄かせた。
「ぁ……」
「…………」
無言のまま、ダレスティアはおれに覆いかぶさる。それを止めることもせず、近づいてくる欲情を湛えたエメラルドの目に、おれは見とれた。この部屋に来るまでは冷たい鉱物のようだったのに、今は生気に満ちて輝いている。その輝きが美しすぎて、目が離せなかった。
ダレスティアの手が、顎を掴む。
あぁ、キスされる……
そう思うのにおれの手は指一本も動かせず、喉は呼吸以外の仕事を放棄し、隙間をなくすように重ねられた冷たい唇を拒むことはできなかった。
「っぁ……」
「ん…………」
「お待たせしまし――おや」
少し離れた唇の間を行き来する吐息。そこに割り込んできた声に、スッと離れていくダレスティアの身体。開けた視界に、瓶とコップがのった盆を持つ笑顔のロイの姿が入った。
「ロイぃ……」
「タカト、大丈夫ですか? ……まだ熱いですね」
ロイの微笑みに安心感を抱いたおれは、ロイに向かって左手を伸ばした。ベッド脇のチェストの上に盆を置き、その手をロイが握ってくれる。ダレスティアのように冷たくはないが、その体温にほっとする。
「ダレスティア団長、そんな目で見ないでください……。タカト、少し待ってくださいね。水を用意しますから」
「うん……」
そっと手が離れる。つい寂し気な声が出てしまった。いつからおれはメンタルが弱くなったんだ。
と、右手を握られる。反対側に顔を向けると、ダレスティアがおれの手をぎこちなく握っていた。彼の顔を見ると、その唇に目がいく。必然的にその感触を思い出してしまった。身体がカッと熱くなる。
「タカト、身体を起こせますか?」
水の入ったコップを持つロイが、おれの肩に触れる。その言葉に従って身体を起こそうとするが、力が入らず頭が僅かに浮き上がる程度しか動かせない。
「ごめ……むりそ……」
「いえ、大丈夫ですよ。無理はしないでください」
「っでも、水……」
「――失礼します」
「え」
ロイが持つコップの中の水は涼しげで、おれはそれを物欲しそうな目で見てしまった。と、その水はロイの口の中に消えていく。え? おれの水……
困惑するおれをよそに、ロイの顔が近づく。完全に油断していたおれは、ロイのぴったりと閉じられた唇で半開きの口を塞がれた。握られた右手にかかる力が強くなった。
「んっ……」
口の中に、舌が痺れるほど冷たい水が入りこんでくる。あまりの冷たさに飲み込むのを躊躇うと、ひやりとした感触が上顎を撫でた。
「んんっ‼」
「ン……ふ……」
驚いて、思わず水を飲み干してしまう。ゴクリと動いた喉を、ロイの手が撫でる。まだおれの口に入り込んだままのロイの舌は、堪能するように口内を一周するとロイの口の中に戻っていった。そのまま唇も離れていく。
「ぷはっ……!」
「ふふ……冷たくて気持ちよかったでしょう? 魔法で瓶の底だけ水を凍らせたんです。水全体が冷えるまで少し時間がかかってしまいましたが」
飲み込みきれずに口の端から水が一筋流れる。それを拭いながら、ロイは彼の濡れた唇をペロリと舐める。しばらく放っておいても冷たいままですよ、なんて言っているが、冷たい水を飲まされたにもかかわらず、口移しでむしろ熱が再燃したおれの頭には入ってこなかった。
「それで戻るのが遅かったのか」
「はい。団長がついていらっしゃるので大丈夫だと思いまして。予想外のことは起きていましたが」
「…………」
「ふふ……安心してください。副団長には言いませんから」
「はぁ……流石は元『竜の眼』だな」
「他の方でしたら、これくらいは弱みというほどでもないのですが……これまで浮いた噂のなかった団長が、ですからね。それにしても……」
「んぁっ!」
不意に、つ……と脇腹を撫でられ、あられもない声が飛び出る。咄嗟に口を手で押さえるが、遅すぎた。ロイは微笑みを深くし、ダレスティアは繋いだままの右手を先ほどよりも強く握った。
「随分と煽情的な姿ですね。確かに、これを目の当たりにして抑えられる自信は私にも無いです」
「――この状態異常は、どれほど続くと推測する?」
「二、三時間といったところでしょうか。あまり長く発情状態が続くと身体に悪いですし。身体にこもった熱を発散すれば、少しはマシかもしれませんが……」
「熱を発散……」
「本来長く興奮状態を保つことは難しいのに、無理やり長引かせられている状態なのです。興奮状態を収めるためにするのと同じように、射精すれば幾分か楽になると思います」
ロイはダレスティアと話しながらも、その指先でおれの身体をなぞっていく。欲を煽るその動きに翻弄され、口を押さえた手の隙間から小さなうめき声が絶えず漏れる。必死に声を抑えて耐えるおれを尻目に、ロイの手は段々と下がっていく。腰を撫でられて、身を捩る。強い力で右手を握りしめられ、意識がそちらに向いた瞬間、おれは手で押さえていたにもかかわらず、甘い悲鳴をあげてしまった。
「んぁァ‼」
鋭い快感が脊髄を走る。身体は不規則にビクつきながらのけぞり、足の指先はギュッと力が込もっていた。
「あ、ぁあ、ひ……」
「イッちゃいましたか」
一瞬の硬直のあと、身体が弛緩する。脳が快楽に溶けきり、自分の状態が理解できない。何が起こったのか、ロイの言葉で気が付いた。
――おれ、ロイの手で握られただけでイったんだ……
「……はぁ……はぁ……ん、はぁ……」
突然の射精に荒い息が止まらない。心臓は早鐘を打ったように速く、全身に酸素をハイスピードで回している。
「んんっ! あ、いやだ、まだ……!」
果てても硬度を保ったままの陰茎に刺激が走る。ロイがパンツの上から扱いていた。ぬるついた生地が、ピタリと張り付いて少し気持ち悪い。それでもそこから与えられる快感は強く、息も整わないおれは、咄嗟に制止していた。
「――そうですね。連続で吐き出すのは辛いでしょうし、急な射精で驚いたでしょう。少し間をあけましょうか」
「え……」
あっさりと、手が離れる。おれのソコは熱く脈打ったままだ。
ロイはそのまま部屋の隅で鎧を外し始めてしまう。ロイはおれの言葉を聞き入れてくれただけなのに、落胆が強い。どうして手を離してしまったのか。どうしてもっと触ってくれないのか。逸る気持ちそのままに、腰を揺らしてしまう。
もういっそ、自分で触った方が――
あれほど人前で触ることに抵抗があったのに、一度射精したことで抑えがきかなくなった。自分の陰茎に手を伸ばそうとして、その手を握られた。もう片方の手と一緒に頭上に纏めて押さえつけられる。
「え……なんで……」
「触りたいか」
ダレスティアが、ギラついた目でおれを見ていた。その眼光に息をのむ。答えないおれに焦れたのか、ダレスティアの手がおれの陰茎の先を掴んだ。
「ひぁっア‼」
「ここを触って、扱いて……また吐き出したいか?」
そのまま指先で亀頭から付け根までを撫でおろされる。またしてもすぐに射精してしまいそうなほど敏感になったソコへの甘い刺激に、おれの残された羞恥心は簡単に溶かされた。
「イキたい……っ」
「そうか。だが、ロイの言うとおり身体に負担がかかるのは良くない。少し我慢しろ」
「や、むり……っ」
必死に訴えるも、ダレスティアの手は無情にも離れてしまう。吐き出したはずの熱がまた生まれ、今すぐにでもあの解放感をもう一度、と求めている。それなのにおれの両手は相変わらずダレスティアに封じられたままだ。思い通りにならない状況に、熱の疼きと心の焦りが混ざり合う。
「――ぃ、んン……ッ!」
「……痛いか?」
突然きゅぅっと胸の突起をつねられ、がくんと首を反らした。目をやると、ダレスティアの右手がおれの乳首をいじっている。
摘まれてくりくりこねられたり、柔くひっかかれたり、乳首への愛撫なんて初めてなのに、おれはそれに快感を得て上半身がびくびく痙攣する。
「なんで……あっ、そんなところ」
乳首なんて感じないはずなのに、切ないほど気持ちいい。おれが欲しかったものとは違うが、やっと与えられた快感だ。ぼうっとしてきた頭は、もっと触ってほしいとねだっている。
「どうやら、乳首でも感じるようですね」
鎧を外して軽装になったロイが、ベッドに上がりながらそんなことを言う。でもそれを認めたくないおれは頭を振り乱して否定する。
「ち、ちがッ……感じてないっ!」
「本当に? でもここは素直ですよ」
「――ッぁ⁉」
乳首への刺激でおれの腰が浮き上がった隙に、ロイはおれのズボンとパンツを一緒に下ろした。そして飛び出たおれの陰茎を握って上下に扱いてきた。あまりの早業に一瞬理解が追い付かなかったが、身体の方は素直に待ちわびた刺激を受け入れていた。
乳首への愛撫によって再び溢れ出した先走りでソコは既に濡れそぼっており、くちゅくちゅと卑猥としか言いようのない音を立てながら扱かれている。電流が走ったかのような快感が背筋を駆け抜けるが、そのまま頂点に達することはできなかった。
イってもおかしくないほどだったのに。困惑しながら見やると、ロイが指で陰茎の根本を締め付けて、吐き出せないようにしていた。
「ここ、ぐちゃぐちゃですね。こんなに先走りが溢れて止まらないのに、感じてないなんて嘘はダメですよ」
「ちがぁ、ロイがそこ、んあァッ、触るから……ああぁ、乳首やめっ、あッ‼」
ロイが愉しそうにおれのソレを弄りまわす間も、ダレスティアがおれの乳首を摘んだりこねたりはじいたりと刺激してくる。容赦ない愛撫を受けている右側の乳首だけが真っ赤に色づいている。
「そうですか……ではココをこれ以上触るのはやめましょうか」
「え、あ、うそ……やだぁ」
素直にならないタカトにお仕置きです、なんて言って、またしても手を離すロイの微笑みが悪魔の微笑に見えた。
ドSっ! 天使の仮面を被った悪魔! 変態⁉
言いたい文句がグルグルと頭の中を巡るが、どれも言葉として口から出ることは叶わず、あうあうと唸ることしかできなかった。
「あぁ、団長。そちらばかりいじるから、反対側が寂しそうですよ」
「ん? あぁ、本当だな」
「健気にピンと立って、愛らしいですね……」
左の乳首は限界まで尖って刺激されるのを期待しており、その周りで薄く色づいている乳輪の縁を、ロイの爪が触れるか触れないかくらいでくるくるとなぞる。
「っ……あ、っあぁ……あ、あ……、はぁっ……」
刺激が待ち遠しくて尖りを増す乳首と、段々と息が荒くなるおれを見て、くすくすと笑うロイはやっぱりドSだ。ロイはすりすりと指の腹で乳輪をなぞるように擦りながら、少しずつ輪を狭めてくる。その指先を見つめるおれは、ロイがダレスティアに目配せし、いつの間にか右側の乳首への刺激がなくなっていたことに気付かなかった。全ての感覚が、左乳首に集中していたといってもいい。
「は、あ、んっ、はぁ、あ、あ、アァっ――‼」
指先が乳首に近付いていく様子がスローモーションのように見えた。指先が乳首の先端をひっかいたと思ったら、思い切り弾かれた。ピンという幻聴まで聞こえたその動きは、敏感になっていた乳首に凄まじいほどの快楽を与えた。脳内を焼き尽くしそうな快感は、熱を放出するのに十分なほどだったが、またしてもおれが求めていた解放感は得られなかった。
熱の解放を求めて震えるソレを、今度はダレスティアが握って放出を阻んでいた。
「な、なんでっ……」
「お前は、胸だけで達することができるのか?」
「え、あ……」
「あんなに感じないと言っていたのは、やはり嘘だったのですか?」
「だ、って……身体が、おかしいから……」
「発情してるから? でも、それとこれとは別問題ですよね」
意地悪な笑みを見せるロイは、おれの胸に顔を寄せ、乳首をぺろっと舐め上げた。絶頂に達しなかったことで、身体はさらに敏感になっている。もはや言い逃れできないほど性感帯となっているそこへの強すぎる刺激に、おれは背を反らして全身をびくつかせた。
「随分とよさそうだな」
「ええ。ここまで魔道具の効力が強いとは……もしかして、タカトは元々快楽に弱いのかもしれませんね。もし奴隷商人に売られていれば、この色のことがなくても目玉商品間違いなしだったでしょう」
「……国王陛下に、奴隷売買法をより厳しく改定していただこう」
「そうですね。その際は、私が持つとっておきの情報をお渡しします」
二人が話している間も、その手はずっとおれを責めたてている。全身が弛緩している状態のおれに抵抗できる力などない。すでに拘束されていた両手は解放されているが、それはダレスティアも両手が自由になったということ。
不埒な冷たい手は、両方ともおれの陰茎に絡みついていて、絶えず溺れるような快楽を与えるのに、達しようとすると片方の手によって解放を妨げられる。出すことが許されない精液の代わりに、こぷりと絶えず溢れる先走りは、ダレスティアの手によってちゅくちゅくと耳を塞ぎたくなるような卑猥な水音を立てている。亀頭から根本、その下の膨らみにまで塗り広げられ、手の動きをスムーズにしていた。
「あっ、もっ、ダメ……どっちもはダメぇ……」
ただでさえ、最も敏感な箇所への刺激が止まらなくて辛いのに、性感帯に変えられてしまった乳首を苛める手もある。
ロイはその長い指で器用に両方の乳首を、それぞれ違う動きで弄ってくる。
「んっ、ひゃっ……ぁう……」
ダレスティアに赤くなるまで苛められた右の乳首は、先ほどのダレスティアの動きを真似るかのように、ロイの指に摘まれてこねられている。少し痛いくらいの力でキュウッとされたかと思えば、赤くなったそこを労わるように、優しく指の腹で円を描くように撫でられる。
左側は、爪でカリカリと細かい動きで先端を引っかかれている。痛痒いほどの時もあれば、こそばゆいくらいの時もあり、刺激に慣れたら爪を立てられる。異なる愛撫を受ける二つの胸の頂は、痛いほど尖り切って、その甘い責め苦を甘受している。摘まれる度に赤く色づき、引っかかれるほど尖りを増す。
「……快楽で蕩けた目も美しいですが、この髪もとても美しいですね。まるで、天使を辱めているかのような背徳感があります」
ロイがおれの髪に手を伸ばし、その毛先を指先に絡めている。長くはない髪で遊んでも楽しくないだろうにと、頭の中の冷静な部分がそうこぼすが、このくすぐったさがどこか心地いい。
「天使、か。神やその使徒を信じたことはないが、確かにこれほど美しいものを見たことはない。念入りに手入れすれば、より美しさは増すだろうな」
ダレスティアも、おれの髪に触れる。こちらは繊細なものを扱うように、指先で柔く撫でてくる。まるで自分が壊れやすい硝子細工にでもなったかのような錯覚に陥った。
二人から与えられる、まるで恋人同士のような甘い触れ合い。しかし、そんな雰囲気も、段々強くなる快感に流されてしまった。
刺激に慣れ始めた乳首を甘く弄られれば胸を突き出し、敏感な亀頭を強く苛められれば腰を突き出す。淫猥な踊りを、美麗な二人の騎士の手によって踊らされている。この異様な状況を半ば冷静に判断する部分と、快楽に蕩けきってぐずぐずな判断しかできない部分が、脳内で争っていた。
他人の、それも憧れたダレスティアの手で射精なんて、したくない。
もう何でもいいから早く楽になりたい。気持ち良く、この熱を全て吐き出してしまいたい。
異なる欲求が身体を駆け巡る。もう、何も考えられない。限界……
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※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
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