18 / 49
前編
17
しおりを挟む
「未婚の父として二人も息子をもった気分はいかがですか?」
「複雑な気分」
カーディアスとユリウスを馬車に乗る直前まで腰にしがみつかせていた様を見て笑いをこらえていたデリスは、やはり揶揄ってきた。
「それでも、結構いい関係築けていますよ。よかったじゃないですか」
「アイツらの精神年齢が高いんだ。俺だったら確実に性根が曲がってる」
「すでに曲がってます」
「はぁー?」
まるで修学旅行に行くかのような雰囲気の馬車内。王都に行くのは気が滅入ったが、少しだけワクワクした。最後まで、この楽しい気分でいられたらいいのになぁ……。
◇◇◇◇
「なぁ、もうそろそろ終わりにしないか?」
「あと1着!これで終わりにしますから‼」
「えぇ……」
王都に到着してしばらく。俺はデリスに色んな服屋、靴屋、装飾品店へと連れまわされている。そろそろ疲れたのだが、これはデリスへの褒美なので我慢しているのだが、そろそろ限界だ……。よく女性たちは長時間ショッピングできるよな……。
「やっと終わった……」
「はい、ではレイラ様。これと、これと、これ。着てください」
「は……?」
「靴はこれで、ブローチはこれ、ピアスは……あ、それです」
次々と馬車から降ろされる、ここに来るまでに購入した物が入った箱の数々。わざわざこの店のフィッティングルームを借りてまで、今着替えなきゃダメなやつなのか?
「もう夜だぞ? なんで今着替えなきゃいけないんだ」
「これからが本番なのですよ。なにせ、パトリック家のパーティに行くのですから」
「……どうやら、俺の耳は急激に悪くなったようだ。もう一回言ってくれるか?」
「レイラ様にはこれから、パトリック家のパーティに参加していただきます。二年ぶりの里帰りですよ」
「こんな里帰りがあってたまるか!」
何してくれちゃってんの、この執事は⁉ どうせデリスのことだ。パーティには参加できるように根回し済みなのだろう。ここで参加しない方が問題になってしまう。
「実は、一年前から一度本家に顔を出すようにと再三手紙が届いていたのです。社交界に引きずり出すためでしょう。あれやこれやのパーティへの招待状も同封されていました」
「は? そんな手紙、俺は知らないぞ」
「ええ。私宛に届いてた手紙ですので」
「なんでデリス宛に? 俺のことだろうが」
「レイラ様は社交界を毛嫌いしていらっしゃいましたし、未だレイラ様は引きこもりだと思われているのでしょう。そのため、世話係の私に向けて送られてきたのですよ」
で、俺を騙すことまでして本家の言うことを聞いた理由はなんなんでしょうねぇ?
ジト目でデリスを見ると、この複雑な気持ちはちゃんと伝わったようだ。
「何も、本家の圧力のために言うことを聞いているわけではありません。私だって、レイラ様を不特定多数の目にさらしたくはないのです。今のレイラ様を社交界に放り出せば、これまで貴方を蔑んできた人々は手のひらを返して、甘い物に群がる蟻のように貴方を食いつぶしてしまおうとするでしょう。ですが、今回のパーティはパトリック家が主催するもの。絶交の機会なのですよ」
今、「絶好」じゃなくて「絶交」って言ったよな、こいつ。
「別に、お前が圧力に屈するような奴じゃないことは知っている。ただ、何の目的で俺を蟻の巣に放り投げようとしてるのかが気になったんだ」
「安心してください。レイラ様は、ただ壁の花ってなっているだけで大丈夫ですから。口を聞かないといけない方にだけは反応し、他の方々は無視していただいて構いません。無理に笑う必要もありません。ただそこにいるだけでいいのです」
「……なにをする気かは知らないけど、ほどほどにな?」
デリスはただ、ほほ笑んだだけだった。
※お久しぶりです。これから他の作品でもご連絡させていただきますが、今後誤字報告は誤字報告専用の近況ボードを作りますので、そちらにお願いいたします。
「複雑な気分」
カーディアスとユリウスを馬車に乗る直前まで腰にしがみつかせていた様を見て笑いをこらえていたデリスは、やはり揶揄ってきた。
「それでも、結構いい関係築けていますよ。よかったじゃないですか」
「アイツらの精神年齢が高いんだ。俺だったら確実に性根が曲がってる」
「すでに曲がってます」
「はぁー?」
まるで修学旅行に行くかのような雰囲気の馬車内。王都に行くのは気が滅入ったが、少しだけワクワクした。最後まで、この楽しい気分でいられたらいいのになぁ……。
◇◇◇◇
「なぁ、もうそろそろ終わりにしないか?」
「あと1着!これで終わりにしますから‼」
「えぇ……」
王都に到着してしばらく。俺はデリスに色んな服屋、靴屋、装飾品店へと連れまわされている。そろそろ疲れたのだが、これはデリスへの褒美なので我慢しているのだが、そろそろ限界だ……。よく女性たちは長時間ショッピングできるよな……。
「やっと終わった……」
「はい、ではレイラ様。これと、これと、これ。着てください」
「は……?」
「靴はこれで、ブローチはこれ、ピアスは……あ、それです」
次々と馬車から降ろされる、ここに来るまでに購入した物が入った箱の数々。わざわざこの店のフィッティングルームを借りてまで、今着替えなきゃダメなやつなのか?
「もう夜だぞ? なんで今着替えなきゃいけないんだ」
「これからが本番なのですよ。なにせ、パトリック家のパーティに行くのですから」
「……どうやら、俺の耳は急激に悪くなったようだ。もう一回言ってくれるか?」
「レイラ様にはこれから、パトリック家のパーティに参加していただきます。二年ぶりの里帰りですよ」
「こんな里帰りがあってたまるか!」
何してくれちゃってんの、この執事は⁉ どうせデリスのことだ。パーティには参加できるように根回し済みなのだろう。ここで参加しない方が問題になってしまう。
「実は、一年前から一度本家に顔を出すようにと再三手紙が届いていたのです。社交界に引きずり出すためでしょう。あれやこれやのパーティへの招待状も同封されていました」
「は? そんな手紙、俺は知らないぞ」
「ええ。私宛に届いてた手紙ですので」
「なんでデリス宛に? 俺のことだろうが」
「レイラ様は社交界を毛嫌いしていらっしゃいましたし、未だレイラ様は引きこもりだと思われているのでしょう。そのため、世話係の私に向けて送られてきたのですよ」
で、俺を騙すことまでして本家の言うことを聞いた理由はなんなんでしょうねぇ?
ジト目でデリスを見ると、この複雑な気持ちはちゃんと伝わったようだ。
「何も、本家の圧力のために言うことを聞いているわけではありません。私だって、レイラ様を不特定多数の目にさらしたくはないのです。今のレイラ様を社交界に放り出せば、これまで貴方を蔑んできた人々は手のひらを返して、甘い物に群がる蟻のように貴方を食いつぶしてしまおうとするでしょう。ですが、今回のパーティはパトリック家が主催するもの。絶交の機会なのですよ」
今、「絶好」じゃなくて「絶交」って言ったよな、こいつ。
「別に、お前が圧力に屈するような奴じゃないことは知っている。ただ、何の目的で俺を蟻の巣に放り投げようとしてるのかが気になったんだ」
「安心してください。レイラ様は、ただ壁の花ってなっているだけで大丈夫ですから。口を聞かないといけない方にだけは反応し、他の方々は無視していただいて構いません。無理に笑う必要もありません。ただそこにいるだけでいいのです」
「……なにをする気かは知らないけど、ほどほどにな?」
デリスはただ、ほほ笑んだだけだった。
※お久しぶりです。これから他の作品でもご連絡させていただきますが、今後誤字報告は誤字報告専用の近況ボードを作りますので、そちらにお願いいたします。
419
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
【完結】王宮勤めの騎士でしたが、オメガになったので退職させていただきます
大河
BL
第三王子直属の近衛騎士団に所属していたセリル・グランツは、とある戦いで毒を受け、その影響で第二性がベータからオメガに変質してしまった。
オメガは騎士団に所属してはならないという法に基づき、騎士団を辞めることを決意するセリル。上司である第三王子・レオンハルトにそのことを告げて騎士団を去るが、特に引き留められるようなことはなかった。
地方貴族である実家に戻ったセリルは、オメガになったことで見合い話を受けざるを得ない立場に。見合いに全く乗り気でないセリルの元に、意外な人物から婚約の申し入れが届く。それはかつての上司、レオンハルトからの婚約の申し入れだった──
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる