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第23話 そうか、お前の妹か......。 (ホロ視点)

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 ソファーの上で、デンとプディがジャレ合っているのを、俺はソファーの斜め下に置いてあるクッションの上で寛ぎながら見ていた。


 デンは俺を守らなきゃいけないと思っていた所があったのか、初めはプディを警戒していた。

 だけど根っからの平和主義者のデンだ。
 人懐っこいプディ相手じゃ、あっという間に虜になっている様だった。



 現在デンはプディのお尻の匂いを嗅いだり、お腹をベロベロと舐めている。
 流石のプディも若干引き気味だ。

 大きな黒い犬と、フワフワした柔らかい毛の様に少し毛足の長いグレーと白のキジトラ模様である子猫の事だから、微笑ましいが、もしこれが人間だったら、デンはかなり危ないロリコン野郎だ。


 まあ仲が良いのは良い事なんだがな。

 俺は昨日の体験で、若干疲れ気味で、居眠りしながら欠伸ばかりしていた。
 プディもそれが分かっているのか今日は俺の方には近寄らず、デンや幸太郎の近くばかり寄って行き、俺の事は放っておいてくれていた。


 自分だけの時間を持つのも好きな俺は、これ幸いと一人の時間も楽しんでいた。


 そんな時、玄関の方が騒がしい。


 最近は訪問者が来ると、ろくなことが無い。



 今度は誰た?

 比奈が来る時間では、まだないはずだぞ。

 俺は時計を見上げ時間を確認した。


 やはり、まだ比奈が来るまで3時間くらいあるはずだ。




 大きな足跡が響き、リビングの扉の方に近づいてくる音がする。

 玄関の方から聞こえてくる声、一人は幸太郎。

 もう一人も聞き覚えがある。


 嫌な予感がするぞ、この騒がしい感じ、アイツしかいないじゃないか。


 大きく扉を開き、ズカズカと自分の家の様に入ってきたのは思った通り、幸太郎の親友の高志だ。


 俺は友達を選んだ方が良いと思うのだが、こればかりは仕方がない。

 まあ、もちろん良い所もあるとは思うんだがな、幸太郎が振り回されている様な気がしてならない。

「おっ、プディ、本当にいるじゃないか。どうだ? ここの居心地は?」

 そう言いながら、高志は、デンとは反対側であるプディの横に腰かけ、かき混ぜる様にプディを撫でたが、プディは珍しく、その場をすぐ離れ、俺の近くまで来て座った。

「おっ、人懐こいプディちゃんに、嫌われているのか?」

 いつも俺達以外の前では仏頂面の幸太郎が、プディに逃げられて、拗ねている高志を見て笑った。

「いや、こいつも女の子だからな、照れているんだろうな。俺、モテるから」

 強がってはいるが高志はショックを受けている様だった。


「にゃ~(照れているのか?)」

 俺の質問に、ため息をつきながらプディが答えた。

「にゃんや(あの人、ちょっとうっとうしいのよね)」

 なかなか、中学生女子が反抗期に父親に言うようなセリフだ。



「ニャ―っニャ(高志と、……あの男と会った事あるのか?)」

「な~、ニャっ、キャ(ああ、比奈ちゃんの兄貴なのよ)」




 なるほどな、比奈はお前の妹か……。
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