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第22話 強がりなアナタに出来る事 (ホロ視点)
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<ホロ視点>
真っ暗闇の中、映画館の画面の、枠の様なものが俺の目の前に広がっていた。
その大きな画面の枠は猫の目のような形をしていた。
冷たい空気が広がっていて、少し肌寒く感じた。
俺は枠の中を覗き込む。
その中には映画の様に、物語の様に映像が映し出されていた。
俺はココが何処なのか分からなかったが、あいまいな感じが、目の前が薄く霧がかかっている感じが、夢の中みたいだと思っていた。
画面の物語の主人公は30代半ばぐらいの綺麗な女性。
仕事でミスをしたのか後輩のミスをかばっているのか、分からないが、上司に怒られている場面だった。
理不尽に攻められているのか、本人が納得していないのか、女性は頭を深く下げてはいるものの、歯を食いしばり我慢している表情が見えた。
また場面が切り替わり、先程の女性が男性から相談を受けている所だった。
男性は自分の好きな人の気持ちが分からなくて不安だと言っていた。
女性は話を聞きながら男性を強く励ましてはいたが……。
『苦しいよ……辛いよ……。私が悪いわけじゃないのに、いつも私が怒られる。私の好きになった人はいつも私を恋愛対象には見てくれない』
女性の胸の中に少しずつ黒いモヤがかかっている様だった。
『ココはあの女性の夢の中よ』
俺の頭の中でプディの声がした。
『私があなたに分けたパワーで、アナタは、今、あなたを必要としている人の夢の中に入ることが出来るようになったの』
ど、どういうことだ?
『だから、その画面の中に入れるの。まだあなたのパワーは、夢に、その、猫の身体のまま入れるだけだけど、パワーが溜まってくればできる事も増える。彼女の心を救ってあげて……』
プディの声はアドバイスを告げると聞こえなくなった。
俺に何ができると言うんだ。
この中に、入ると言うのか?
画面の中を覗き込んだ時、誰かから背中を押された。そして俺は、画面の中に落ちた。
落ちた先は女らしいピンクと白色が目立つ洋室。
先ほどの女性は机に向かいパソコンのキーボードをたたいていた。
パソコンの横には数本、ドリンク剤が転がっている。
キーボードを叩きながら、女性は一粒、涙を零していた。
唇を噛み締めすぎて、少し切れている様だった。
俺に、できることがあるのか?
女性は何をしているんだろう?
帰ってきてまで仕事の残りをしているのか?
それとも、日記でもつけているのか?
どうしていいか分からなかったが、俺は、表情を歪め、がむしゃらにキーボードを打つ指を止めたくて、彼女の手の横に行き指を舐めた。
びっくりしたのか彼女の手が止まった。
俺は彼女の指を舐め続けた。
『頑張ってる。アナタはとても頑張っているよ。俺はちゃんと見てたよ。俺の他にも、そんな君に気付いてくれる人が居るよ』
俺は子猫の身体のまま、ここに存在しているだけ、まだ、声は聞こえない。
だけど、思いをこめて精一杯指を舐めた。
声は聞こえていないけれど、思いが届いたのか分からないが、一粒二粒と彼女の目から次々と涙が落ちていった。
俺は彼女の顔の近くまで行き、彼女の目の下を舐めた。
彼女が俺を抱きしめて柔らかく笑った時、俺の心が温かくなった。
気が付くと先ほどの画面の枠の前まで戻っていた。
だけど彼女の胸の黒いモヤが消えており、明るく笑っている所が映し出されていた。
彼女の日常はまだ、変わらないけど彼女の心には変化があった。
俺はアナタの力になれたのだろうか……?
真っ暗闇の中、映画館の画面の、枠の様なものが俺の目の前に広がっていた。
その大きな画面の枠は猫の目のような形をしていた。
冷たい空気が広がっていて、少し肌寒く感じた。
俺は枠の中を覗き込む。
その中には映画の様に、物語の様に映像が映し出されていた。
俺はココが何処なのか分からなかったが、あいまいな感じが、目の前が薄く霧がかかっている感じが、夢の中みたいだと思っていた。
画面の物語の主人公は30代半ばぐらいの綺麗な女性。
仕事でミスをしたのか後輩のミスをかばっているのか、分からないが、上司に怒られている場面だった。
理不尽に攻められているのか、本人が納得していないのか、女性は頭を深く下げてはいるものの、歯を食いしばり我慢している表情が見えた。
また場面が切り替わり、先程の女性が男性から相談を受けている所だった。
男性は自分の好きな人の気持ちが分からなくて不安だと言っていた。
女性は話を聞きながら男性を強く励ましてはいたが……。
『苦しいよ……辛いよ……。私が悪いわけじゃないのに、いつも私が怒られる。私の好きになった人はいつも私を恋愛対象には見てくれない』
女性の胸の中に少しずつ黒いモヤがかかっている様だった。
『ココはあの女性の夢の中よ』
俺の頭の中でプディの声がした。
『私があなたに分けたパワーで、アナタは、今、あなたを必要としている人の夢の中に入ることが出来るようになったの』
ど、どういうことだ?
『だから、その画面の中に入れるの。まだあなたのパワーは、夢に、その、猫の身体のまま入れるだけだけど、パワーが溜まってくればできる事も増える。彼女の心を救ってあげて……』
プディの声はアドバイスを告げると聞こえなくなった。
俺に何ができると言うんだ。
この中に、入ると言うのか?
画面の中を覗き込んだ時、誰かから背中を押された。そして俺は、画面の中に落ちた。
落ちた先は女らしいピンクと白色が目立つ洋室。
先ほどの女性は机に向かいパソコンのキーボードをたたいていた。
パソコンの横には数本、ドリンク剤が転がっている。
キーボードを叩きながら、女性は一粒、涙を零していた。
唇を噛み締めすぎて、少し切れている様だった。
俺に、できることがあるのか?
女性は何をしているんだろう?
帰ってきてまで仕事の残りをしているのか?
それとも、日記でもつけているのか?
どうしていいか分からなかったが、俺は、表情を歪め、がむしゃらにキーボードを打つ指を止めたくて、彼女の手の横に行き指を舐めた。
びっくりしたのか彼女の手が止まった。
俺は彼女の指を舐め続けた。
『頑張ってる。アナタはとても頑張っているよ。俺はちゃんと見てたよ。俺の他にも、そんな君に気付いてくれる人が居るよ』
俺は子猫の身体のまま、ここに存在しているだけ、まだ、声は聞こえない。
だけど、思いをこめて精一杯指を舐めた。
声は聞こえていないけれど、思いが届いたのか分からないが、一粒二粒と彼女の目から次々と涙が落ちていった。
俺は彼女の顔の近くまで行き、彼女の目の下を舐めた。
彼女が俺を抱きしめて柔らかく笑った時、俺の心が温かくなった。
気が付くと先ほどの画面の枠の前まで戻っていた。
だけど彼女の胸の黒いモヤが消えており、明るく笑っている所が映し出されていた。
彼女の日常はまだ、変わらないけど彼女の心には変化があった。
俺はアナタの力になれたのだろうか……?
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