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第26話 比奈のお泊まり大作戦(パート1) (比奈視点)
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<比奈視点>
学校の昼休み、私は親友の由美子と奈央と3人で文芸部の部室でお昼ご飯を食べていた。
部室と言っても部屋は4畳ぐらいの広さで三分の一ぐらいを本棚で占領している為、かなりの狭さだ。
だけど、3年生が多かった私達の部は卒業後、私達、2年の、3人しか部員は居なくなってしまった。
女だけ3人のこの部、と言っても現在は同好会。
同好会になり、この倉庫のような部屋が部室になって、もう数ヶ月が経っていた。
小奇麗にしてはいるが、机や椅子はかなり古い木製で、部屋に軋《きし》む音が響く。
そんな所だが、私達3人の城だった。
「で、その後どうなのよ? 幸太先生とは。ちょっとは進展あったの?」
そうやって聞いてきたのは濃いブラウン色で肩までのボブのゆるふわパーマ、眼力が強く気が強そうな見た目の女の子、由美子《ゆみこ》だ。
身長も160cmの私より5cmぐらい高いモデル体型。胸も私と違って大きく中々コンプレックスを刺激される存在だ。
「それがさ……、プディを進入させて、何とか家に遊びに行ける状態には、こぎつけたんだけどさ、やっぱ妹の様にしか見られてない感じがすごくてさ。どうやったら意識させられるんだろう……。本当、難しいよ……。幸太君、手強い」
そう言って私は、机に突っ伏した。
「だけどね……。プディ、ホロちゃん、デン君も一緒にいるでしょ? 普段見られない幸太君が、いっぱい見れて……」
言いながら、私の声のトーンはどんどん暗くなる。
幸太君、いつも不愛想だったり、無表情な顔ばかり見る事が多かったのに……。
プディ達の前では本当に柔らかく笑うんだよね。
なんか、私の気持ちばかり大きくなっちゃってるよ。
だけど幸太君の私にする態度は変わらない。
親友の高志の妹だから仕方なしって、感じが伝わってくる。
表情が暗くなっていく私の背中をもう一人の親友、奈央《なお》が優しく撫でた。
「もう、そんな顔、しないでよ……。比奈ちゃんがそんな顔すると私達まで悲しくなるでしょ? 一緒に考えるから……ねっ?」
そうやって奈央が私の顔を机の下から覗き込むように目を合わした。
奈央は背も小さく私達3人の中でマスコット的存在。
良く笑い、良く泣き、顔と身体全体で気持ちを表現する愛されキャラだ。
そして、誰よりも優しい。
私には最高の親友が二人もいる。
「だけどね、幸太君と仲良くなっているの、どうみても私じゃなくてプディなんだよ?」
私は一度、体を起こし、どうしたら幸太君と進展するのか分からないと、自分の頭をかき混ぜた後、この後も幸太君の家に行くことを思い出し、カバンの中のポーチから手の平サイズの手鏡とヘアブラシを取り出し、慌てて、少しボサついた自慢の髪を元通りに直した。
「まあ、仕方ないわよ、プディと比奈は幸太君と過ごしている時間が今じゃ全然違うし、そもそもプディにまでヤキモチ妬かないの。可愛い大好きなプディちゃん、でしょ?」
いつも声のトーンが強めの由美子も凹んでいる私を見ているからか、優しい。
「時間が短い……。じゃあ、どうにかしてお泊りに持ち込んだらいいんじゃない?」
良い事思いついた! とでも言いそうな明るい表情での奈央の爆弾発言に、思わず私は目を見開いた。
「そ、そんな、いくらなんでも無理だよ! 幸太君が家に泊めてくれる訳ないでしょ? プディ達は居るけど、二人きりになるんだよ! いくらなんでも無理無理無理!」
私は想像して、興奮しているのか声も大きく早口になり、顔もどんどん赤くなる。
「だから、妹にしか見られてないって言ってたでしょ? そこを利用するわけだよ」
奈央が普段と違い、悪そうな顔でにやりと笑う。
奈央さん、いつもとなんか違いますね。
あざといキャラは私のはずなんですが……。
何を企んでるんですか?
私に何をさせる気ですか?
学校の昼休み、私は親友の由美子と奈央と3人で文芸部の部室でお昼ご飯を食べていた。
部室と言っても部屋は4畳ぐらいの広さで三分の一ぐらいを本棚で占領している為、かなりの狭さだ。
だけど、3年生が多かった私達の部は卒業後、私達、2年の、3人しか部員は居なくなってしまった。
女だけ3人のこの部、と言っても現在は同好会。
同好会になり、この倉庫のような部屋が部室になって、もう数ヶ月が経っていた。
小奇麗にしてはいるが、机や椅子はかなり古い木製で、部屋に軋《きし》む音が響く。
そんな所だが、私達3人の城だった。
「で、その後どうなのよ? 幸太先生とは。ちょっとは進展あったの?」
そうやって聞いてきたのは濃いブラウン色で肩までのボブのゆるふわパーマ、眼力が強く気が強そうな見た目の女の子、由美子《ゆみこ》だ。
身長も160cmの私より5cmぐらい高いモデル体型。胸も私と違って大きく中々コンプレックスを刺激される存在だ。
「それがさ……、プディを進入させて、何とか家に遊びに行ける状態には、こぎつけたんだけどさ、やっぱ妹の様にしか見られてない感じがすごくてさ。どうやったら意識させられるんだろう……。本当、難しいよ……。幸太君、手強い」
そう言って私は、机に突っ伏した。
「だけどね……。プディ、ホロちゃん、デン君も一緒にいるでしょ? 普段見られない幸太君が、いっぱい見れて……」
言いながら、私の声のトーンはどんどん暗くなる。
幸太君、いつも不愛想だったり、無表情な顔ばかり見る事が多かったのに……。
プディ達の前では本当に柔らかく笑うんだよね。
なんか、私の気持ちばかり大きくなっちゃってるよ。
だけど幸太君の私にする態度は変わらない。
親友の高志の妹だから仕方なしって、感じが伝わってくる。
表情が暗くなっていく私の背中をもう一人の親友、奈央《なお》が優しく撫でた。
「もう、そんな顔、しないでよ……。比奈ちゃんがそんな顔すると私達まで悲しくなるでしょ? 一緒に考えるから……ねっ?」
そうやって奈央が私の顔を机の下から覗き込むように目を合わした。
奈央は背も小さく私達3人の中でマスコット的存在。
良く笑い、良く泣き、顔と身体全体で気持ちを表現する愛されキャラだ。
そして、誰よりも優しい。
私には最高の親友が二人もいる。
「だけどね、幸太君と仲良くなっているの、どうみても私じゃなくてプディなんだよ?」
私は一度、体を起こし、どうしたら幸太君と進展するのか分からないと、自分の頭をかき混ぜた後、この後も幸太君の家に行くことを思い出し、カバンの中のポーチから手の平サイズの手鏡とヘアブラシを取り出し、慌てて、少しボサついた自慢の髪を元通りに直した。
「まあ、仕方ないわよ、プディと比奈は幸太君と過ごしている時間が今じゃ全然違うし、そもそもプディにまでヤキモチ妬かないの。可愛い大好きなプディちゃん、でしょ?」
いつも声のトーンが強めの由美子も凹んでいる私を見ているからか、優しい。
「時間が短い……。じゃあ、どうにかしてお泊りに持ち込んだらいいんじゃない?」
良い事思いついた! とでも言いそうな明るい表情での奈央の爆弾発言に、思わず私は目を見開いた。
「そ、そんな、いくらなんでも無理だよ! 幸太君が家に泊めてくれる訳ないでしょ? プディ達は居るけど、二人きりになるんだよ! いくらなんでも無理無理無理!」
私は想像して、興奮しているのか声も大きく早口になり、顔もどんどん赤くなる。
「だから、妹にしか見られてないって言ってたでしょ? そこを利用するわけだよ」
奈央が普段と違い、悪そうな顔でにやりと笑う。
奈央さん、いつもとなんか違いますね。
あざといキャラは私のはずなんですが……。
何を企んでるんですか?
私に何をさせる気ですか?
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