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第74話 パワーを貯めなきゃ。私がココに来た理由(プディ視点)
しおりを挟む勢いよく、リビングの扉が開いた。
慌てた様子で部屋に入ってきた幸太郎。
ホロが居ない事にもう気がついたのかしら?
ホロは上手い事、おばあさんやミーちゃんとやらの元に向かう事が出来たのかしら?
もう少し手を貸す事も出来たかもしれないけど、パワーを貯めるには、自分がした行動と言うよりは、それをした事により、その対象者の変化で、自分がどんな風に思うか、心の葛藤や感情の変化、つまり、大きく悩んだ方が、自分の感情を大きく揺り動かせた方がパワーを多く貯める事ができる。
今回、ホロは無事、やり遂げる事が出来ればかなりのパワーが貯まるだろうし、成長できている筈。
幸太郎はスマホを見ながら慌てた様子で、部屋の中をぐるぐると歩いていた。
てっきり家に入ってすぐ、ホロが居ないと気がつき、探し回ると思っていたが、そんな素振りも見られない。
落ち着いているとは全然言えないけど、どういう事なのかしら?
私はそんな幸太郎の様子を見ながら、ソファーの上でデンと一緒に丸くなっていた。
デンからはまだ規則正しい寝息が聞こえる。
もうしばらくは眠っているとは思う。
ホロ、一匹で、この家を出るのは久しぶりだったのよね。
大丈夫かしら?
ホロに何かあったら、私も駆けつける必要があるかしら?
ホロ......。
あの子は一体、どういう子なのかしら?
私の星から来た子なのかしら?
途中で記憶でも無くしてしまったのかしら?
分からない。
私にはホロに話して居ない事がある。
私には目的があった。
その目的を果たす為、私達は数匹の仲間と、この地に降りた。
仲間からの連絡は偶に入るが、何せ皆、感情も元々持たない、パワーも少ない。そう言う育ち方をしている。
連絡を取り合うだけでもそれは容易な事ではなかった。
星の王、つまり私の父親は莫大なパワーを持っていた。
生まれた時から感情に乏しかった父は、自分が星で一番強く有らねばならない。そう思っていたのだと思う。
私の星では代々、私の家系が星の長を引き継ぐ。
全てを支配する絶対的権力を手にする。
だけど、全てを支配出来る程、私の家系は元々、産まれもってパワーを持っている訳ではなかった。
私がこの事を知ったのはある事がきっかけだった。
私は信じていた、尊敬していた自分の父親が、実はものすごく自分勝手で怖い存在だと知ったんだ。
その事を知ったのはある事がきっかけだった。
私が大事に思う存在。
私をこの星に渡ろう。
そしてパワーを貯めよう。
父に対抗するパワーを貯めて、私が心の底から大事に思っているあのコを自由にしたい。
そして、そのコと、どこかでひっそりと、心から笑って、感情に思い切り正直に、笑って、怒って、泣いて、この星では普通におこなっているそんな生活を。
私達の国では絶対出来なかったそんな生活を送りたい。
そう、思っていた。
ホロに言っていた。
貴方がパワーを貯める事によってこの世界を救う事になる。
そんな風に。
厳密には違う。
私は嘘つきだ。
自分の目的を果たす為に、ホロの純粋な気持ちを利用している。
私の父親は、卑怯な悪モノだ。
本当は弱い。
だけど周りに力を与えず、与えない様にし、持たせない様にし。
自分だけが莫大な力を手にする仕組みを作り出してしまった。
そして、この星を利用する事を父は思いついてしまった。
父の事を放って置くと言う事はこの星にとっても、すごく危険な行為だ。
と言ったって、私にはまだ父の力が大きすぎて、何とも言えない。
ホロが父と繋がっていない。
そうは言いきれないが、かけてみる必要があった。
圧倒的な力に対抗するには、それを超える様な力が必要、仲間が必要だったから。
私には、父を押さえ込み、私達の星を、あのコを救い出す為、少しでも力を貯める必要があったんだ。
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