112 / 131
第112話 幸太君の目線の先(比奈視点)
しおりを挟む
朝峰さんと幸太君がキッチンの方に向かって歩いて行った。
朝峰さんの人柄を知るまではこうして二人の後ろ姿を見るのも心配だったかもしれない。
後姿の二人を見たら、やはりお似合いの二人だ。
朝峰さんの年齢は知らないけど、私と幸太君程は離れていないと思う。
幸太君も朝峰さんとは自然に会話しているようにも見えるし。
朝峰さんは料理を作りたい。
そう言っていたけど、その料理がホロちゃん、デン君、プディの為だと私は知っていた。
プディが苦手な物はないか? と朝峰さんから聞いていたからだ。
朝峰さんから幸太君はそういう対象では無いと何回も聞いていたけど、幸太君と朝峰さんがキッチンへ消えてからも、やはり私は気になってデンちゃんを触りながらもソワソワと落ち着かなかった。
だけど思い返してみると、朝峰さんの発言の後、幸太君は慌てる様に私の方を見ていた。
それに、幸太君はキッチンに行ったままではなくて何かしら理由をつけてはリビングに戻ってくる。
その度に、私の様子を気にしているように見えた。
もしかして幸太君、私の事、ちょっとは意識してくれているのかな?
私は鈍感ではなかった。
人よりも少し華やかな容姿というのもあって、男性から熱のこもった視線を向けられることもよくあった。
だから余計に幸太君からは全然、意識されていないことも自覚していた。
だけどこの時の幸太君の視線は今までの私を見ていた幸太君とちょっと違う気がしていた。
デンちゃんを撫でながら視線を合わさずに幸太君の様子を観察した。
幸太君は朝峰さんではなく、私の方ばかりを気にしてくれている様な気がする。
そんな風に考えていると私の心臓の音がどんどん、どんどん早くなっていった。
幸太君、もしかして私の事、女として見てくれているの?
それともコレは私の勝手な妄想?
その時、デンちゃんがペロリと私の頬を舐めた。
くすぐったくて思わず「んっ」って声が出ちゃった。
まあ幸太君も朝峰さんもキッチンだからココには動物三匹しかいないから大丈夫なんだけどね。
変な声が出て恥ずかしかった私はポリポリと自分の頬をかいた。
朝峰さんが、ホロちゃん達のご飯を持ってきてホロちゃん、デンちゃんプディにそれぞれ渡している。
その後ろから幸太君も遅れてついてきた。
ちょっとだけ下を向いていて顔の表情は見えない。
美味しそうな食事を目の前にしてホロちゃんもデンちゃんも目がキラキラしている様に見えた。
可愛らしくて思わず声に出して笑ってしまった。
だけどプディはすぐ動かない。
なんだかちょっと警戒しているかな?
プディは用心深いからな。
大丈夫だよ。朝峰さんから、あらかじめどんな物を入れるか聞いていたから。
ニャンコが食べてはいけない様な変なモノは入ってないはずだよ。
私は皆が美味しそうに食べるのを見ていた。
幸太君の目線を意識しながら。
朝峰さんも優しい目でホロちゃん達を見ている。
そう思っていたのだけど、その時、なんだか違和感がちょっとだけあった。
なんだろう?
本当にちょっとした違和感。
空気が変わった。
と言ったら表現的にはおかしいのかもしれない。
それに朝峰さんの目元が急に赤くなっている様な気がした。
なんだかびっくりして私は朝峰さんを二度見した。
えっ?
さっきまで普通だったのに朝峰さん大丈夫?
「朝峰さん?」
私は遠慮がちに声をかけた。
私に声をかけられて朝峰さんが慌てる様に笑顔を作り自分の頬に手を当てた。
「ん? えっと私、ちょっと風邪気味かも、もう帰りますね。井川さん。
私もたまにココにホロちゃん達を触りに来て良いですか? 出来れば比奈ちゃんも居る時に」
そう言って朝峰さんが立ち上がった。
朝峰さんが立ち上がったと同時にホロちゃんが朝峰さんに向かって勢いよく走り出したと思ったら、朝峰さんに届く前にコロンとお腹を見せて横になりペロペロと自分の身体を舐めている。
自分自身を念入りに舐めながらもチラチラと朝峰さんを見ているけど、可愛らしい子猫の動作は何をしても可愛らしい。
そんなホロちゃんの動作を見て、朝峰さんが優しくホロちゃんのお腹を撫でた。
朝峰さん、そう言えば息が荒いという訳ではないけどちょっと様子がおかしいかな?
大丈夫かな?
でもなんか、今、すごく嬉しい事、朝峰さん言った?
「えっ? もちろん。比奈ちゃんが良いならだけど......」
そう言いながら幸太君は私を見た後、顔を赤くして下を向いた。
「えっと、私もまたお邪魔しても良いの?」
久し振りの幸太君との直接の会話に私の声は緊張して掠れてしまっていた。
「もちろん。最近、来れなかったのは、忙しかったんじゃないのか? ほら、友達とか、彼氏とか」
幸太君の声が最後の方の言葉になるにつれて小さくなって聞こえ難かった。
だけど今、か、彼氏って言った?
誤解されている?
でも今までそういう事、気にされたこともなかったのに。
これは本当にチャンスかもしれない。
はっきり言わないと誤解されたままだとまずい。
「彼氏なんかいないよ。
じゃー、これからも来るよ?
朝峰さんが来る予定じゃない日も。
い、良いの?」
私は下を向き目線をそらす幸太君の視線の中に無理やり入り込み、恐る恐る尋ねた。
身体をびくつかせ驚いたように視線をそらした幸太君は
「勝手に来れば良いだろう? 今までだって勝手に来てたんだし」
そうぶっきらぼうに答える。
だけど、その返事に私は舞い上がって顔も身体も何もかもが熱くなってきた気がした。
「うん。分かった。行く。今日は朝峰さんが心配だから私も帰る」
恥ずかしくなった私は朝峰さんの体調が心配というのもあって今日はそのまま帰ることにした。
だけど、明日からまた幸太君に会える。
私は「残って良かったのに」と言う朝峰さんとの帰り道、にやける顔が抑えられなかった。
朝峰さんの声に答える様に、私が持っていたカゴバッグに入ったプディがニャーと鳴いた。
朝峰さんの人柄を知るまではこうして二人の後ろ姿を見るのも心配だったかもしれない。
後姿の二人を見たら、やはりお似合いの二人だ。
朝峰さんの年齢は知らないけど、私と幸太君程は離れていないと思う。
幸太君も朝峰さんとは自然に会話しているようにも見えるし。
朝峰さんは料理を作りたい。
そう言っていたけど、その料理がホロちゃん、デン君、プディの為だと私は知っていた。
プディが苦手な物はないか? と朝峰さんから聞いていたからだ。
朝峰さんから幸太君はそういう対象では無いと何回も聞いていたけど、幸太君と朝峰さんがキッチンへ消えてからも、やはり私は気になってデンちゃんを触りながらもソワソワと落ち着かなかった。
だけど思い返してみると、朝峰さんの発言の後、幸太君は慌てる様に私の方を見ていた。
それに、幸太君はキッチンに行ったままではなくて何かしら理由をつけてはリビングに戻ってくる。
その度に、私の様子を気にしているように見えた。
もしかして幸太君、私の事、ちょっとは意識してくれているのかな?
私は鈍感ではなかった。
人よりも少し華やかな容姿というのもあって、男性から熱のこもった視線を向けられることもよくあった。
だから余計に幸太君からは全然、意識されていないことも自覚していた。
だけどこの時の幸太君の視線は今までの私を見ていた幸太君とちょっと違う気がしていた。
デンちゃんを撫でながら視線を合わさずに幸太君の様子を観察した。
幸太君は朝峰さんではなく、私の方ばかりを気にしてくれている様な気がする。
そんな風に考えていると私の心臓の音がどんどん、どんどん早くなっていった。
幸太君、もしかして私の事、女として見てくれているの?
それともコレは私の勝手な妄想?
その時、デンちゃんがペロリと私の頬を舐めた。
くすぐったくて思わず「んっ」って声が出ちゃった。
まあ幸太君も朝峰さんもキッチンだからココには動物三匹しかいないから大丈夫なんだけどね。
変な声が出て恥ずかしかった私はポリポリと自分の頬をかいた。
朝峰さんが、ホロちゃん達のご飯を持ってきてホロちゃん、デンちゃんプディにそれぞれ渡している。
その後ろから幸太君も遅れてついてきた。
ちょっとだけ下を向いていて顔の表情は見えない。
美味しそうな食事を目の前にしてホロちゃんもデンちゃんも目がキラキラしている様に見えた。
可愛らしくて思わず声に出して笑ってしまった。
だけどプディはすぐ動かない。
なんだかちょっと警戒しているかな?
プディは用心深いからな。
大丈夫だよ。朝峰さんから、あらかじめどんな物を入れるか聞いていたから。
ニャンコが食べてはいけない様な変なモノは入ってないはずだよ。
私は皆が美味しそうに食べるのを見ていた。
幸太君の目線を意識しながら。
朝峰さんも優しい目でホロちゃん達を見ている。
そう思っていたのだけど、その時、なんだか違和感がちょっとだけあった。
なんだろう?
本当にちょっとした違和感。
空気が変わった。
と言ったら表現的にはおかしいのかもしれない。
それに朝峰さんの目元が急に赤くなっている様な気がした。
なんだかびっくりして私は朝峰さんを二度見した。
えっ?
さっきまで普通だったのに朝峰さん大丈夫?
「朝峰さん?」
私は遠慮がちに声をかけた。
私に声をかけられて朝峰さんが慌てる様に笑顔を作り自分の頬に手を当てた。
「ん? えっと私、ちょっと風邪気味かも、もう帰りますね。井川さん。
私もたまにココにホロちゃん達を触りに来て良いですか? 出来れば比奈ちゃんも居る時に」
そう言って朝峰さんが立ち上がった。
朝峰さんが立ち上がったと同時にホロちゃんが朝峰さんに向かって勢いよく走り出したと思ったら、朝峰さんに届く前にコロンとお腹を見せて横になりペロペロと自分の身体を舐めている。
自分自身を念入りに舐めながらもチラチラと朝峰さんを見ているけど、可愛らしい子猫の動作は何をしても可愛らしい。
そんなホロちゃんの動作を見て、朝峰さんが優しくホロちゃんのお腹を撫でた。
朝峰さん、そう言えば息が荒いという訳ではないけどちょっと様子がおかしいかな?
大丈夫かな?
でもなんか、今、すごく嬉しい事、朝峰さん言った?
「えっ? もちろん。比奈ちゃんが良いならだけど......」
そう言いながら幸太君は私を見た後、顔を赤くして下を向いた。
「えっと、私もまたお邪魔しても良いの?」
久し振りの幸太君との直接の会話に私の声は緊張して掠れてしまっていた。
「もちろん。最近、来れなかったのは、忙しかったんじゃないのか? ほら、友達とか、彼氏とか」
幸太君の声が最後の方の言葉になるにつれて小さくなって聞こえ難かった。
だけど今、か、彼氏って言った?
誤解されている?
でも今までそういう事、気にされたこともなかったのに。
これは本当にチャンスかもしれない。
はっきり言わないと誤解されたままだとまずい。
「彼氏なんかいないよ。
じゃー、これからも来るよ?
朝峰さんが来る予定じゃない日も。
い、良いの?」
私は下を向き目線をそらす幸太君の視線の中に無理やり入り込み、恐る恐る尋ねた。
身体をびくつかせ驚いたように視線をそらした幸太君は
「勝手に来れば良いだろう? 今までだって勝手に来てたんだし」
そうぶっきらぼうに答える。
だけど、その返事に私は舞い上がって顔も身体も何もかもが熱くなってきた気がした。
「うん。分かった。行く。今日は朝峰さんが心配だから私も帰る」
恥ずかしくなった私は朝峰さんの体調が心配というのもあって今日はそのまま帰ることにした。
だけど、明日からまた幸太君に会える。
私は「残って良かったのに」と言う朝峰さんとの帰り道、にやける顔が抑えられなかった。
朝峰さんの声に答える様に、私が持っていたカゴバッグに入ったプディがニャーと鳴いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる