俺の手を見ろ! 注※それは足です。

やまくる実

文字の大きさ
113 / 131

第113話 おさまれ俺の心臓よ(幸太郎視点)

しおりを挟む
 比奈ちゃんと雪さんの二人を見送って、リビングまで戻ってきた俺は、扉を閉めた後、思わずその扉に寄りかかった。 

 つ、疲れた。 

 窓から少しだけ見える青空が眩しい。 

 まだまだ外は明るい。そんなに時間は立っていないという事だ。

 なのに、すごく長い時間だった気がする。 

 疲れた。 

 俺の頭はどうなってしまったというのだ。 


 ちょっとしたことなのに比奈ちゃんの反応が気になって仕方がなかったんだ。

 俺が雪さんの事を気になっていると誤解されるのも嫌だったし、自分が動揺しすぎている事がおかしいとは思っていた。


 だけど、色々分析して考える余裕もない。
 もう心臓がどうかなりそうだった。

 取り敢えず二人が帰って、俺の心の平穏は戻ってきた。

 ゆっくり高なった心音を落ち着かせ様とドアに寄りかかったまま深呼吸をしていたら、デンが俺の側まで歩いてきて俺の足をペロペロと舐めた。 


 俺はその場に座り込み、俺の目の前で寛ぎだしたデンの頭を撫でた。


 デンの黒い頭に自分の顔を埋める様に軽く乗っける。



 俺はごちゃごちゃ考える事が苦手だ。
 

 それは疲れるからだ。
 あまり色々な事に期待しない方が良いと思っている所があるのかも知れない。

 どうしてそういう考え方なのかは家庭環境もあるのかもしれない。

 俺は少し冷めきった家庭環境で育ったから。

 独り立ちして、俺の家族はデンだけだと思っていた。

 だけどそこにホロが増えた。

 俺はもうそれだけで幸せだと思っていた。





 デンはフワフワで癒される。 
 油断をするとすぐに獣臭くなるが、もう、その匂いさえも俺にとっては癒しだ。 

 俺が部屋の掃除したからというもあるだろうが、なんだがまだ甘い香りが残っている気がする。 

 雪さんは結局、本当にホロが目当てだったという事だな。 


 なんだか俺、俺にその気があるみたいに勘違いしてちょっと痛い奴だったな。 


 比奈ちゃん。 


 なんか途中、すごい色っぽい声、出したよな? 


 


 聞えていたけど聞いていないふりをするのに苦労したよ。 

 俺はあの声を聞いた後、よからぬ妄想が頭を支配してどうしようかと思ったんだ。

 顔を余計にまともに見れなくなった。

 でも最後に覗き込まれて、知っていたつもりだったけど、可愛すぎてびっくりしたんだ。

 プックリした唇が俺を誘っている様にも見えてどうしようかと思ったんだ。
 


 デン? あんな声を出させてお前は比奈ちゃんに一体何をしたんだ? 


 


 そう思いながらデンの頭の上に置いていた自分の顔を上げて少ししゃがみ込みデンと目線を合わせた。 


  ハッハッハッといつも通りのデンの息遣い、何も考えていない呑気なデンの顔だ。 

 不意打ちでベロベロっとデンに舐めまわされた。 

 
 ホロが少し離れた所でニャ―と鳴きこちらを見ている。 

 大きな欠伸をしている。 


 
 そう言えばなんだかホロを見て違和感があるんだが、その違和感が何なのか分からない。 

 少しだけずきずきと頭が痛んだ。 


 
 だけど疲れたけど、また明日から(明日来るかは分からないけど)比奈ちゃんがプディちゃんを連れてココに来る。 


 またあの穏やかな日常が戻ってくる。 

 まあ比奈ちゃんを意識する前みたいに比奈ちゃんの事を普通に見れるかは分からないけど......。




 デンが居てホロが居てプディちゃんが居て比奈ちゃんが居て 、たまに雪さんがいて

 何気ない日常だけど穏やかなあの日々がこれからずっとずっと続くんだと 


 
 そう思っていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...