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第二章 新たな始まり
第19話 抑えきれない衝動 (タイアン視点)
しおりを挟むもちろん下心はあった。
ショウに初めて会ったあの日、ショウの身体を温める為、この湖の水温を上げた。その時も彼の体を抱きしめたが、あの時はそんなやましい気持ちは一切無かった。
いや嘘だ。
少しはあったかもしれない。
魔国ではそういう性的な交わりを覚える年齢は結構早い。
魔化地下王国の国民は地下にずっといる事が出来れば地上人よりもかなり長く生きることができる。
上に飛び出してしまう原因も分かっておらず、突然地上に飛び出てしまい魔物化してしまう国民も大勢いるから魔王である親父や親父の息子である俺が、こうやってこちらに態々来る羽目になっているのだが……。
しかも俺達魔国民は、子供ができる割合がかなり少ない。
地上人の事も俺は魔王の息子ではあるから一応学んではいるが地上人は男と女でしか子供は授からないらしいが……魔国民は子供ができにくいというのもあり、進化していく過程で、女が男にも変化できる様にもなり今では男同士でも子をなすことができる。
地上人と結ばれるものは今までいなかったみたいだから、もしショウと俺がそういう関係になったとしても子をなせるかは分からないが……。
俺自身は魔国民達からは子を望まれてはいる。親父には母親は違うが他にも数人子供がいる。俺には他にも義理の兄弟達がいるのだ。だけど親父の血を一番濃く受け継いでいるのは俺らしい……。
だからかは分からないが俺の子を望まれているのだろう。
という訳で俺は、そういう性的な経験は魔王の血縁者として義務であり豊富ではあった。
根が面倒くさがりな俺だから、今までの俺はかなり嫌な奴だったのかもしれない。
自分が他人にあまり興味が持てなかったから思いやりというものが欠如していたのかもしれない。
だから俺とそういう関わりを持ってきた相手にとってはひどい奴だっただろう……。
俺はショウと出逢い他の奴にコイツを奪われたくはないと思ってしまった。
初めは俺を助けてくれた相手で、助けたいと思った相手で、一緒にいると心が安らぐ相手で……。
見守っていく中で不器用な所もできないことが多い所も、騙されやすい所も可愛く見えてきて放っておけなくて……。
気がつくと特別な相手になっていた。
今、俺の腕の中にはショウがいる。
無理やり俺がそういうシュチュエーションを作った訳なのだが騙されやすいコイツはなんの不信も持たずに俺の腕の中にいる。
恥ずかしいのか顔を俺の胸に埋めていてこちらを見ようとはしていない。
顔は見えないが見えている耳が赤いから恥ずかしがっている事が分かる。
耳につけた魔道具も外したから久しぶりに見た黒髪が肌の白さを際立たせ余計にそそった。
思わずゴクリと俺の喉が鳴った。
その真っ白い首筋に思わずむしゃぶりつきたくなる衝動を必死に抑えた。
俺はショウを抱きしめたまま、ゆっくりと温度がちょうど良いぐらい温かい湖の中に入っていった。
俺は地に足がついてなくても立ったままでも普通に湖の中で浮かぶことができる。
ショウは違うようだ。
少し深目の区間まで行くと俺に捕まっていたショウの腕に力が入った。
俺はショウが苦しくないように魔力(魔法)を使いサポートしショウを立ったままでもお湯の中で浮くことができる様にした。
それでもショウは怖いのか俺に密着する様にしがみついてくる。
よっぽど怖いのか俺の腰に足まで絡ませてきた。
ちょうど形の良さそうな柔らかいショウの尻の近くに俺のペニスがあるなんて状況が出来上がってしまった。
先程も言ったが俺は、性的なことは経験豊富である。
女も男も今まで多く抱いたことがある。
経験が多いと言っても魔王の息子だ。流石に抱かれたことはないが。
今まで多くのものを抱いてきたが、先程も言ったがそれは義務でもあった。
俺は奴らを嫌々抱いていたし、人よりも大きめのこの男根もすぐに勃たなくて苦労していたぐらいだ。
俺には苦痛の時間だった。
性欲はみたされても心はどんどん廃れていく様だった。
それなのにだ……そんな俺だったのにだ……。
ショウの肌が俺に触れているだけで、その香り感触、温もりに俺の全てが反応してしまいそうだ。
今まで義務で肌を重ねていた者達にはすまないとは思うが、俺は……今後はもうショウ以外に触れたいとは思わないし、ショウ以外には勃たない自信もあるほどだ。
俺の中でショウに対するこの感情が生まれてしまったことで何かが変わってしまったんだろう……。
ドクドクドクドクドクドクドクドク
その音は俺の耳に大きく響き続けている。
魔国民は地上人よりも聴覚が発達している。
地上よりも地底の方が自然現象的にも危険なことが多いためそれもまた進化の過程で色々な能力が地底の中では地上人よりも高いのだ。
そんな俺達なのに地上に飛び出てしまうと魔物化してしまう。
とまた話が逸れそうになったが、ショウに魔力を入れ替えられたことで俺の能力はさらに上がった。
あの時以上に俺はショウ自身に執着しているから、俺自身が過敏になっているのかもしれない。
抱きしめているだけでショウの心音が大きく早くなっている事が分かる。
そう先程から俺の耳に響かせているこの音はショウの心臓の音だ。
その音に倣う様に俺の心音もどんどん早くなっていき大きくなっていく。
ショウの身体が熱くなっている事が分かる。
これは俺の妄想かもしれないがショウが俺自身に興奮している様にも見えてしまう。
ショウの熱い息が俺の胸にかかる。
もう俺のモノも抑えるのは無理にひとしかった。
俺の男根は大きく膨れ上がってしまった。
その事が分かったのかショウの顔が更に赤く染まり俺の腕を掴んでいた掌に力が入った。
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