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2章
22話 街へ
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こうして宮廷魔術師アルマに会う為に動き出すこととなった。
まずリーンとエルドたちドワーフに頼んで3人分の魔力抑制装置を急遽仕上げてもらった。
ゲートの魔法を魔石に込めれないか試してもらったが普通の魔石では空間魔法。それも高等なゲートの魔法を封じるのに耐えれる物までは作れなかった。
流石に全員が同じグローブを装備していても怪しいということになったので、ラミアたちが元々住んでいた洞窟と魔法の練習に使っていた洞窟でとれた魔鉱とアダマンタイトと使って、マキナにはネックレス型、銀牙には腕輪型を拵えてもらった。
そして初めての街へ。
冒険者カードも無しに関所を超えるのはかなり怪しまれるのでガルだけ関所を通ってもらい3人は少し遠回りをして関所の横を上空から超えて街に向かった。
当然人が空を飛んで国境を越えるのは不審に思われるので隠蔽と隠密を駆使して移動している。
こうして郊外から街の近くの森へ。
この世界で初めての人の住む街にイザは胸が高鳴る。
近くの森で地上に降りると街のそばまでは徒歩で向かった。
流石に街の城壁を越えて入るのは人の目につく恐れがあるのでガルと合流して門から入ることになっている。
「なんか別に悪いことしてないのにこそこそしなきゃならんってのが辛いなぁ」
「いっそのこと街で村のことを宣伝してはいかがです?」
「銀牙…んな話したところで信じてくれるわけないって…」
(でも村の存在を認めてくれて交易と取り付けられる街とかできればありがたいよなぁ。あの森では穀物とか水産物は取れないし)
そんなことを考えていると、ガルがイザたちに合流した。
「お待たせしてすみません。関所で色々質問を受けてて遅くなっちゃいました」
「質問?」
「ええ、森の魔物の話とか先日の戦いの話とかですね。エルロンと俺の二人だけでSランク以上の魔物を討伐したって噂が広まっちゃってて…」
「よかったじゃないか英雄様。んじゃ行こうか」
「そんな、俺英雄なんて柄じゃないですよっ!」
遠くからでも見えていた石作の壁は街の北側を厳重に取り囲んでいる。
死の森から魔物がいつ迷い出てくるかもわからないからだろう。
近くで見るとかなり昔に建てられている石壁らしく、一部にはツタが生い茂り、長年この地に構えていることをうかがえる戦闘の跡と修復の跡があちこちに見受けられた。
暫く壁沿いに進むと大きな門が見えてきた。
門の両脇には甲冑を纏った門兵が立っている。
巨大な鉄の門はかなりの重厚感を感じさせる。一度締めてしまえばタイラントボアの攻撃でもびくともしないであろう。
魔物が多く生息発生する大地の近くにあるにもかかわらず、長年この街が生き残ってきた理由がわかる。
そんな門の両脇には全身に鎧を見に纏った兵士が立っている。
兵士の一人が見慣れないイザたちににらみを利かせるが、ガルに気が付いてすぐに警戒を緩めた。
「ガル殿か、今回は早かったですね」
どうやらガルの顔見知りらしい。
「ああ、今回は討伐依頼じゃないからな」
「先日の討伐戦の話、今度ゆっくりきかせてください!それで…そちらの方たちは?」
ガルと話していた時の柔和な感じから一転。イザたちをよそ者と認識すると兵は警戒を強めた。
「この人たちは俺の知り合いさ。以前この近辺で依頼を受けているときに助けてもらってな」
「なるほど。だがこの辺りにそのような人間が住んでいるという話など聞いたこともないが?」
門兵はイザとマティアを見てさらに警戒を強めた。門兵なので怪しいものを疑うのも仕事。当然の反応である。
「お前らギルドカードは持っているのか?」
ギルドカード。それはこの世界での身分証のようなもので、商人ならば商業ギルド、冒険者なら冒険者ギルドなど、従事する職業ごとのギルドに登録して発行してもらうものらしい。
これが無いと大きな町の出入りは制限されたり、出入りする際に高額な金銭が必要になるそうだ。
「あー、この人たちは東の国から来た冒険者です。以前この辺りの討伐依頼を受けていてタイラントボアに襲われた際に荷物をすべて失ったそうで。街に入れずに困っていたので俺がギルドへ案内を。身元は俺が保証するよ」
「ふむ…本来は身分証も金も持ち合わせていないものを通すわけにはいかないんだが…まぁガル殿がそういうなら信じよう。次からはカードだけは紛失しないように気を付けるんだぞっ!」
「ありがとうございます」
3人は門兵に頭を下げた。
こうして無事に門を通過することができた。
ガルの家柄と先日の功績のおかげでこの辺りでのガルの信頼はかなり厚いようだ。
「だが、いくらガルが有名だと言っても、素性もわからない者をすんなり通すなんて、この街の警備はどうなってるんだ…」
「普段は獣人以外の出入りには結構厳しいんですがね」
「まぁ、それだけガルが信用されてるってことか」
ガルとイザが話しているとマティアがイザの袖を引いた。
「ん?どうしたマティア?」
「おなかすいた」
「そろそろお昼か…何か食べに行くとするか。ガル、案内を頼む」
店に来る途中街を見渡したが、それなりに人はいるがそのほとんどが獣人、まれに亜人と思われるものを見かける程度だった。
イザは実際に目にして、聞いていた以上に種族の偏りにも驚いたが、それ以上に街にあまり活気がないことと露店の品ぞろえの薄さが気にかかった。
(この国は衰退しているとは聞いていたが、想像以上に活気がないな。この世界の街はどこもこんな感じなのだろうか?)
少し歩いて一行はガルの行きつけの食堂へ到着した。
注文はガルに任せ、4人は適当に食事をとりながら会話を始めた。
「とにかく注意することとして、マティアと銀牙はあまり口を開かないように、俺もかなり世俗的な常識には疎いが、二人はそれ以上だからぼろが出ないようにきをつけること」
「はい。気を付けます」
「りょーかい」
「このあと冒険者ギルドに向かい冒険者登録をする予定だが、登録ってどんなことをするんだ?試験とかあるのか?」
「いや、冒険者ギルドに試験は在りませんよ。商業ギルドとか魔術師ギルドには試験もあるみたいですが、冒険者ギルドの登録は簡単な書類と測定検査だけなので、すんなり済むと思います」
(測定検査というのが何か不安を感じるけど、ガルがこう言ってるから大丈夫か)
「それにしても南の大国は種族にとらわれない民主国家と聞いていたのに、隣に位置するこの街はやけに獣人ばかりいるんだな」
イザは店の中を見渡しながらそう言った。
「イャーリスの領主は獣人ですし、ベルンの街は関所を守るための領主直属の警備隊多いので獣人が多いですね。
街の中心部に行くと冒険者も多いので獣人以外も結構いますよ」
「なるほど、人間種もいるのか?ここに来るまでにエルフや人間は見なかったようだが?」
「うーん。王都の商人ギルドには居たと思いますが、ここいらではあまり見かけないですね。もともと人間と獣人はあまり関係が良くありませんし、好き好んで獣人が多い国に住んでいるものは少ないと思います。エルフは数自体が少ないのであまり見かけないのは仕方ないかもしれませんね」
「エルフの里もあると聞いてたが、エルフはそんなに少ないのか?」
「長命種ですからねぇ。長命種はあまり子孫を残さない種族が多いですし。人間や獣人が最も寿命が短いので一番多い種じゃないですかね?」
「なるほどなぁ。それにしても…」
イザのスプーンを持つ手が止まった。
「ここのめしは何というか…シンプルだな」
イザの目の前の皿にはジャガイモのような芋を蒸かしたものと、肉を塩で焼いたもの。
そしてスープとして数種の根菜を切って煮たようなものがあるが、味付けはやはり塩のみ。
「町の料理なんてどこもこんなものですよ?これでも味が付いてるだけおいしい方なのでここいらでは人気の店です。それにこの店は飯より酒がメインですからね。イザさん達の村の料理がおいしすぎるんです!」
「そういえば村のみんなも始めは食にうとかったっけ…」
「俺はここの料理もいけますよ?」
銀牙はやはり食えれば何でもいい様だ。
マティアの方を見ると、無表情だが明らかに不満げなオーラを放っている。
(マティアはいつもの村のめしに慣れてたからこういう料理はきついか…w)
「王都に行けば人間が出しているお店があるので菓子なんかも食えると思いますよ。俺は甘いものは苦手なんであまり行きませんが、フェルやミーシャは好きみたいでしょっちゅう通ってますね」
「かし?かしって何?ご主人様」
マティアは聞きなれない食べ物に興味を持ったようだ。
「菓子とは腹を満たすための食事とは違って、主に砂糖を使った甘い嗜好品のことだな」
「しこうひん?かしってリンゴよりも甘い?」
「ああ、物によってはリンゴより全然甘いものもあると思うぞ」
イザの言葉を聞いて、先ほどまで素朴な味の料理にどんよりしていたマティアの目が希望に満ちた輝きに変わった。
「よし、とりあえず冒険者ギルドへそろそろ向かうとしようか」
4人は勘定を済ませて店を出た。イザたちはこの世界で使える通貨ほとんど持っていないので当然ガルのおごりだ。
ラナとリーンが使えるお金を多少は持っていたので預かっては来ているが、何か必要が出たときに困るので節約だ。
「なぁガル」
「はい?」
「この街あまり活気が無いように見えるけど、普段からこんな感じなのか?」
「そうですね。俺がこの街に来たときからこの街はこんな雰囲気でしたね。この国は防衛費にかなりつぎ込んでいるので仕方がないのかもですね。それにこの街で暮らしている者の大半が兵士や冒険者ですし、領主に守ってもらってる手前、住民もあまり何も言えないんだと思いますよ」
「なるほどね。色々あるんだな」
「そうですねー」
(防衛費に充てる分を街や住民に回せるようになったらもっと活気も出るんだろうが、魔物の脅威がある以上仕方がないのか…。ん?森の魔物が驚異の原因ってことだよな…?ってことは俺らがあの森に住んでからは魔物や魔獣はあまり森の外に出ていないだろうし、意外と平和なんじゃ?そんなに防衛費ってかかっているのか?)
などと考えながら歩いていると冒険者ギルドに到着した。
まずリーンとエルドたちドワーフに頼んで3人分の魔力抑制装置を急遽仕上げてもらった。
ゲートの魔法を魔石に込めれないか試してもらったが普通の魔石では空間魔法。それも高等なゲートの魔法を封じるのに耐えれる物までは作れなかった。
流石に全員が同じグローブを装備していても怪しいということになったので、ラミアたちが元々住んでいた洞窟と魔法の練習に使っていた洞窟でとれた魔鉱とアダマンタイトと使って、マキナにはネックレス型、銀牙には腕輪型を拵えてもらった。
そして初めての街へ。
冒険者カードも無しに関所を超えるのはかなり怪しまれるのでガルだけ関所を通ってもらい3人は少し遠回りをして関所の横を上空から超えて街に向かった。
当然人が空を飛んで国境を越えるのは不審に思われるので隠蔽と隠密を駆使して移動している。
こうして郊外から街の近くの森へ。
この世界で初めての人の住む街にイザは胸が高鳴る。
近くの森で地上に降りると街のそばまでは徒歩で向かった。
流石に街の城壁を越えて入るのは人の目につく恐れがあるのでガルと合流して門から入ることになっている。
「なんか別に悪いことしてないのにこそこそしなきゃならんってのが辛いなぁ」
「いっそのこと街で村のことを宣伝してはいかがです?」
「銀牙…んな話したところで信じてくれるわけないって…」
(でも村の存在を認めてくれて交易と取り付けられる街とかできればありがたいよなぁ。あの森では穀物とか水産物は取れないし)
そんなことを考えていると、ガルがイザたちに合流した。
「お待たせしてすみません。関所で色々質問を受けてて遅くなっちゃいました」
「質問?」
「ええ、森の魔物の話とか先日の戦いの話とかですね。エルロンと俺の二人だけでSランク以上の魔物を討伐したって噂が広まっちゃってて…」
「よかったじゃないか英雄様。んじゃ行こうか」
「そんな、俺英雄なんて柄じゃないですよっ!」
遠くからでも見えていた石作の壁は街の北側を厳重に取り囲んでいる。
死の森から魔物がいつ迷い出てくるかもわからないからだろう。
近くで見るとかなり昔に建てられている石壁らしく、一部にはツタが生い茂り、長年この地に構えていることをうかがえる戦闘の跡と修復の跡があちこちに見受けられた。
暫く壁沿いに進むと大きな門が見えてきた。
門の両脇には甲冑を纏った門兵が立っている。
巨大な鉄の門はかなりの重厚感を感じさせる。一度締めてしまえばタイラントボアの攻撃でもびくともしないであろう。
魔物が多く生息発生する大地の近くにあるにもかかわらず、長年この街が生き残ってきた理由がわかる。
そんな門の両脇には全身に鎧を見に纏った兵士が立っている。
兵士の一人が見慣れないイザたちににらみを利かせるが、ガルに気が付いてすぐに警戒を緩めた。
「ガル殿か、今回は早かったですね」
どうやらガルの顔見知りらしい。
「ああ、今回は討伐依頼じゃないからな」
「先日の討伐戦の話、今度ゆっくりきかせてください!それで…そちらの方たちは?」
ガルと話していた時の柔和な感じから一転。イザたちをよそ者と認識すると兵は警戒を強めた。
「この人たちは俺の知り合いさ。以前この近辺で依頼を受けているときに助けてもらってな」
「なるほど。だがこの辺りにそのような人間が住んでいるという話など聞いたこともないが?」
門兵はイザとマティアを見てさらに警戒を強めた。門兵なので怪しいものを疑うのも仕事。当然の反応である。
「お前らギルドカードは持っているのか?」
ギルドカード。それはこの世界での身分証のようなもので、商人ならば商業ギルド、冒険者なら冒険者ギルドなど、従事する職業ごとのギルドに登録して発行してもらうものらしい。
これが無いと大きな町の出入りは制限されたり、出入りする際に高額な金銭が必要になるそうだ。
「あー、この人たちは東の国から来た冒険者です。以前この辺りの討伐依頼を受けていてタイラントボアに襲われた際に荷物をすべて失ったそうで。街に入れずに困っていたので俺がギルドへ案内を。身元は俺が保証するよ」
「ふむ…本来は身分証も金も持ち合わせていないものを通すわけにはいかないんだが…まぁガル殿がそういうなら信じよう。次からはカードだけは紛失しないように気を付けるんだぞっ!」
「ありがとうございます」
3人は門兵に頭を下げた。
こうして無事に門を通過することができた。
ガルの家柄と先日の功績のおかげでこの辺りでのガルの信頼はかなり厚いようだ。
「だが、いくらガルが有名だと言っても、素性もわからない者をすんなり通すなんて、この街の警備はどうなってるんだ…」
「普段は獣人以外の出入りには結構厳しいんですがね」
「まぁ、それだけガルが信用されてるってことか」
ガルとイザが話しているとマティアがイザの袖を引いた。
「ん?どうしたマティア?」
「おなかすいた」
「そろそろお昼か…何か食べに行くとするか。ガル、案内を頼む」
店に来る途中街を見渡したが、それなりに人はいるがそのほとんどが獣人、まれに亜人と思われるものを見かける程度だった。
イザは実際に目にして、聞いていた以上に種族の偏りにも驚いたが、それ以上に街にあまり活気がないことと露店の品ぞろえの薄さが気にかかった。
(この国は衰退しているとは聞いていたが、想像以上に活気がないな。この世界の街はどこもこんな感じなのだろうか?)
少し歩いて一行はガルの行きつけの食堂へ到着した。
注文はガルに任せ、4人は適当に食事をとりながら会話を始めた。
「とにかく注意することとして、マティアと銀牙はあまり口を開かないように、俺もかなり世俗的な常識には疎いが、二人はそれ以上だからぼろが出ないようにきをつけること」
「はい。気を付けます」
「りょーかい」
「このあと冒険者ギルドに向かい冒険者登録をする予定だが、登録ってどんなことをするんだ?試験とかあるのか?」
「いや、冒険者ギルドに試験は在りませんよ。商業ギルドとか魔術師ギルドには試験もあるみたいですが、冒険者ギルドの登録は簡単な書類と測定検査だけなので、すんなり済むと思います」
(測定検査というのが何か不安を感じるけど、ガルがこう言ってるから大丈夫か)
「それにしても南の大国は種族にとらわれない民主国家と聞いていたのに、隣に位置するこの街はやけに獣人ばかりいるんだな」
イザは店の中を見渡しながらそう言った。
「イャーリスの領主は獣人ですし、ベルンの街は関所を守るための領主直属の警備隊多いので獣人が多いですね。
街の中心部に行くと冒険者も多いので獣人以外も結構いますよ」
「なるほど、人間種もいるのか?ここに来るまでにエルフや人間は見なかったようだが?」
「うーん。王都の商人ギルドには居たと思いますが、ここいらではあまり見かけないですね。もともと人間と獣人はあまり関係が良くありませんし、好き好んで獣人が多い国に住んでいるものは少ないと思います。エルフは数自体が少ないのであまり見かけないのは仕方ないかもしれませんね」
「エルフの里もあると聞いてたが、エルフはそんなに少ないのか?」
「長命種ですからねぇ。長命種はあまり子孫を残さない種族が多いですし。人間や獣人が最も寿命が短いので一番多い種じゃないですかね?」
「なるほどなぁ。それにしても…」
イザのスプーンを持つ手が止まった。
「ここのめしは何というか…シンプルだな」
イザの目の前の皿にはジャガイモのような芋を蒸かしたものと、肉を塩で焼いたもの。
そしてスープとして数種の根菜を切って煮たようなものがあるが、味付けはやはり塩のみ。
「町の料理なんてどこもこんなものですよ?これでも味が付いてるだけおいしい方なのでここいらでは人気の店です。それにこの店は飯より酒がメインですからね。イザさん達の村の料理がおいしすぎるんです!」
「そういえば村のみんなも始めは食にうとかったっけ…」
「俺はここの料理もいけますよ?」
銀牙はやはり食えれば何でもいい様だ。
マティアの方を見ると、無表情だが明らかに不満げなオーラを放っている。
(マティアはいつもの村のめしに慣れてたからこういう料理はきついか…w)
「王都に行けば人間が出しているお店があるので菓子なんかも食えると思いますよ。俺は甘いものは苦手なんであまり行きませんが、フェルやミーシャは好きみたいでしょっちゅう通ってますね」
「かし?かしって何?ご主人様」
マティアは聞きなれない食べ物に興味を持ったようだ。
「菓子とは腹を満たすための食事とは違って、主に砂糖を使った甘い嗜好品のことだな」
「しこうひん?かしってリンゴよりも甘い?」
「ああ、物によってはリンゴより全然甘いものもあると思うぞ」
イザの言葉を聞いて、先ほどまで素朴な味の料理にどんよりしていたマティアの目が希望に満ちた輝きに変わった。
「よし、とりあえず冒険者ギルドへそろそろ向かうとしようか」
4人は勘定を済ませて店を出た。イザたちはこの世界で使える通貨ほとんど持っていないので当然ガルのおごりだ。
ラナとリーンが使えるお金を多少は持っていたので預かっては来ているが、何か必要が出たときに困るので節約だ。
「なぁガル」
「はい?」
「この街あまり活気が無いように見えるけど、普段からこんな感じなのか?」
「そうですね。俺がこの街に来たときからこの街はこんな雰囲気でしたね。この国は防衛費にかなりつぎ込んでいるので仕方がないのかもですね。それにこの街で暮らしている者の大半が兵士や冒険者ですし、領主に守ってもらってる手前、住民もあまり何も言えないんだと思いますよ」
「なるほどね。色々あるんだな」
「そうですねー」
(防衛費に充てる分を街や住民に回せるようになったらもっと活気も出るんだろうが、魔物の脅威がある以上仕方がないのか…。ん?森の魔物が驚異の原因ってことだよな…?ってことは俺らがあの森に住んでからは魔物や魔獣はあまり森の外に出ていないだろうし、意外と平和なんじゃ?そんなに防衛費ってかかっているのか?)
などと考えながら歩いていると冒険者ギルドに到着した。
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