虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~

すなる

文字の大きさ
31 / 62
1章

28話 デメテルと賢者

しおりを挟む
エラルドは膝をつきながらナターシャに弓を構える。

しかしナターシャはデメテルの方を見ながら荊の警戒だけに集中しながらエラルドに声をかけた。
「どう?これでまだ少しは魔力が持つんじゃない?」

エラルドは体に魔力がみなぎってるのことに気が付いた。
両手を見ながら驚いている。
「これは……?まぁか俺に魔力を?」

「あたしは火の魔法が使えないからね。感謝しなさいよ?サキュバスが他人に魔力を与えるなんて滅多にないんだからね?」

エラルドは軽く笑って立ち上がるとデメテルに向かって再び弓を構えた。
「ああ。これならまだまだやれそうだ!」

ハルトは二人に作戦を伝えながら皆の状況を見ていた。
一瞬ひやりとしたけど、あっちは何とかなりそうだな。
「よし。二人とのいけそうか?」
「はい」
「任せてください!」
ハルトに返事をしながら二人は戦闘態勢を取った。

「よし、次にエラルド達が荊を処理したら一気に攻めるぞ!」


「あっちの準備は整ったみたいだな?……このうっとうしい雑草め!これで燃え尽きろ!フレイムアロー!!」
エルロンが複数の火矢を放って荊をすべて燃やし尽くした。先ほどまでと違い炎の勢いが衰えない。これでデメテルは一瞬だけ荊を最召喚するのが不可能になった。

「いまだ!いけえええ」
エラルドの声を合図に3人がデメテルに向かって飛び出す。

『甘いですよ。私の力は荊だけではありません』
そういうとデメテルは3人の正面に複数の大木を生やし進行を妨げた。

しかし次の瞬間。
正面に現れた木をルシアが強力な溶解液で貫通させた。
その穴をくぐりハルトとルナの二人がデメテルに近づく。

一瞬早く前に出ていたハルトとその後ろにいるルナを直線に捕えてデメテルは今度は鋭い竹を無数に召喚した。
高速で伸びる竹がまるで無数の槍のようにハルト達に襲い掛かる。
「残念。1手遅かったなデメテルさん」
ハルトがそういうと竹の槍はハルトの正面に突如現れた巨大な大盾に防がれた。

「ははっ!ローガンさんの大盾に触れてみておいて助かった!いけっ!ルナ!」

ルナはハルトが出した盾を目隠しに使い、デメテルの背後まで回りこんでいた。

大きく引いた両腕に力を込めてルナはデメテルを思い切り引っ掻いた。
すると交差した巨大な爪痕がデメテルを襲った。
『うわああああ!!!この私が……』

「あれは……威力はけた違いだが、俺のクロスリーパーそっくりだ……」
ルナの技を見てルッツが驚いていた。

「ん?ルッツさんが前に見せてくれたのを真似してみたら出来ちゃった♪」

「見よう見まねで人の、しかも違うスタイルの技をコピーして使えるとは……流石最強種」
ケビンとベンゼルは呆然としていた。

「デメテルさんだっけ?まだ息がありそうだけど?ってかその人って人なのかしら?」

『……私はひとではありません。賢者によって召喚された存在です』

「その賢者ってだれなんだ?」

『人々が再び歩みに困った時に力を託せるようにダンジョンを造り、我々24の力を持った眷属を残した者です。人の世ではもう数千年前の話でしょうか』

ハルトはエラルドやケビンの顔も見たが、二人とも知らない話のようだ。
「賢者とお前達について詳しく教えてもらえるか?」

「勿論お教えいたします。守り人を破ったものには全てを差し出す約束です。賢者とは万物を作り出す力を持った存在です。そしていずれ必ず必要な時が来るからと私達を24のダンジョンにそれぞれ配置しました。私達は人の創造から賢者の力を使い生み出された偽神。ダンジョンコアの番とダンジョン踏破者が来るのを各ダンジョンの最奥で待ち続ける者です」

なんでも作り出せる力?それって俺の力に似てるような……。
でも俺の力でこんなデメテルみたいな存在を作り出せるとはとても思えないな。
もっとすごい能力者が過去に居たってことかな。本物の神様だったり?
「それで、何故賢者さんはそんな力を残したんだ?」
『賢者はある程度先の未来を知ることができたので、こうなることを読んでいたからだと言っていました』

「!?」
全員それを聞いて驚いた。

なんでも作り出せて未来も知れるとかただ物じゃないな……。
この状況を知っていたということは魔族にも力を奪われることも知っていたってことか。
「魔族の悪い奴らもダンジョンの力を求めているらしいんだけど。デメテルさん達で与える物を制限したりはしないの?」
『どんなものが来たとしても力を示したものに能力とダンジョンの権利を授けるように言われています』

うーん。賢者さんどっちの味方なんだろう……。
もしかして魔族の味方だったりしないか?

「大体の話はわかりました。それでデメテルさんの持ってる力っていうのは?」

『私の力は豊穣の力です。先ほど私が使ったように魔力で植物を操ったり成長を操作し田畑や大地を豊かにすることができます。私を倒した貴方にその力を授けます』

「え?わたし?魔法とか使ったことないよ?」
ルナは自分を指さしながら戸惑っていた。

『大丈夫です。貴方には魔法の素養がおありのようです』
「そうなの?」

デメテルは光の球になりルナの前に飛んできた。

「わっ!?びっくりした~」
『では私の力を貴方に託します。力を求めし者たちよ。世界をよき方向へ導けることを願っております』
光の玉はルナの胸に飛び込むとルナに同化して消えてしまった。

「ルナ……?何か変わったところはあるか?」
「んー?わかんない」
「魔法は使えそうか?」
「んんー??さぁ?」
ルナを見て全員頭を抱えた。

何で寄りによってルナなんだ……。せめてルシアにとどめを刺させたらよかった……。
ハルトは後悔していた。
そんなハルトの肩をルシアがぽんと叩いて慰めた。
「大丈夫。ルナはやればできる子」
「ルシアちゃ~ん!ありがとう!!」
ルナは唯一味方をしてくれたルシアに飛びついた。

「そうだな。魔法のことは俺もよくわからないからこれから一緒に学んでいこうか」
「うんっ♪」

こうしてデメテルの力も得たので最奥まで皆で進んでいく。
するとそこには強い魔力を発する真っ黒なオーブが浮かんでいた。
「これがデメテルの言っていたダンジョンコア……だよな?」
「アスタロトが言っていたダンジョンの制御装置とはこれのことかしら?」

「これどうやって持って帰るんだ?これを取ったらいきなりダンジョンが崩れ出したりしない……よな?」
ハルトが振り向くと皆、触りたくなさそうに両手をあげた。

「みんな俺にやらせる気かよっ!……わかったよ。どうなっても文句言うなよ」
ハルトは恐る恐るオーブを手に取った。
するとオーブから発せられていた力は収まった。

「ふぅ。何も起きないようだな……んじゃ帰ると――」
ハルトがそう言いかけたとき、嫌な地響きがなり始めた。

「まさか……」
全員恐る恐る天井を見上げる。
すると急に天井が崩落し始めた。
「ぎゃー!!結局こうなるのかよ!!皆急いで脱出するぞ!!」
「つってもここ地下10層だろう!?間に合うのかよ!?」
「そんなこと考えてる場合じゃないだろう!!とにかく逃げるしか!」

皆が慌てている中一人だけ冷静に立ちつくし慌てる皆を眺めている者がいた。
「ルシア!何のんびりしてるんだ!逃げないと!!」
「だって」
「だっても糞も無い!早く逃げないと皆がれきの下敷きに――」
「ハルト様がドアを出せばいいのでは?」

………………。ハルトは手を拳で叩いて、その手があったか!と頷いた。
「なるほど」

「なるほどじゃねー!早くしろ!」
「ベンゼル騒ぐな!」
「うるさいな!俺も切羽詰まってたんだー!」

ハルト達の街に繋がる扉を出して見た。
この部屋は元々魔法も使えたので問題なく扉は出現した。
「よし!みんな急いで!!」

こうして全員何とか扉に逃げ込み難を逃れることができた。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...