小足姫 ~Fake~

睦月

文字の大きさ
上 下
24 / 28

【3】 1

しおりを挟む
 
 その夜、義父はいつまでも名残惜しみ、彼女をいつまでも舐め回しもうこれ以上は一滴も出ない…というまで精を放った。

 ここ数年どんなに頑張ろうともせいぜいが二回… 

 本人が一番驚いたようだ。

 明けの星も姿を消し、鳥が囀ずる頃になり漸くトロトロと眠りに落ちていった。

 汗や体液にまみれたままで、それすらも気にならないほどに疲れはて…。

「んあっ…っ、あぁっ…」

 匂い立つように花開き、彼女は美しく進化した。

 義父はそんな彼女の虜になっていた。

 彼女の部屋にいる時間が長くなり、執務にも障りがでるのではと懸念するほどに。

 これは、凱にとって本意ではない。

 領主としての信頼や尊敬を失ってしまってはならないのだ。

 娘と称する養女にうつつを抜かしているなどと知れたら、他でもない彼女に良からぬ噂が立ってしまう。

 それは次へと進むためにも是が非でも避けたい。


「うっ…!シン、デレラっ…

イイぞ…、お前がいればわしはもう…」

 快楽の末に必ず口にする言葉。

「…お、父様…

私は、ほんの少しだけお父様のお情けが頂ければ充分でございます。

私は名君と名高いお父様が誇りでございますゆえ…

領民の声をお聞きになるお父様が…」

 いじらしくうつ向き、領主としての本分をやんわりと諭す。

 回りの家臣がどんなに説得するよりも効果は高かった。

「…私は、皆に尊敬され慕われるお父様が、

好きです…」

「そうか、そうか…。領主たるもの民の暮らしを守るのが仕事だからな」

 ふにゃり…と相好を崩し、彼女の言葉に頷く。

「…それに」

「ん?なんだ?」

「お母様や、お姉様達に不審に思われては…

私はうけたご恩を仇で返すことになってしまいます」

 エメラルドの瞳から溢れる雫にかなうものは… なにもなかった。

彼女の懇願もあり日常は表向き平穏に流れていった。

 長女のドロテアは… 

しつこくこの部屋を訪れようとする為、凱からの進言もあり近隣の裕福な貴族の元へと嫁がされた。

 さすがに父親が本腰を入れて進めた縁談を、断りきることは出来なかった。

 この時代としては「嫁き遅れ」の彼女には、父親ほどの老人の後妻の口しか残っていなかったが、否やと言うことは許されず泣く泣く嫁いでいった。

 義父は精力的に領内を見回り、夜更けては彼女の部屋で悦楽の一時を過ごしていた。


 二年の歳月が過ぎ…彼女はより美しく魅力的に。

 
しおりを挟む

処理中です...