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【3】 1
しおりを挟むその夜、義父はいつまでも名残惜しみ、彼女をいつまでも舐め回しもうこれ以上は一滴も出ない…というまで精を放った。
ここ数年どんなに頑張ろうともせいぜいが二回…
本人が一番驚いたようだ。
明けの星も姿を消し、鳥が囀ずる頃になり漸くトロトロと眠りに落ちていった。
汗や体液にまみれたままで、それすらも気にならないほどに疲れはて…。
「んあっ…っ、あぁっ…」
匂い立つように花開き、彼女は美しく進化した。
義父はそんな彼女の虜になっていた。
彼女の部屋にいる時間が長くなり、執務にも障りがでるのではと懸念するほどに。
これは、凱にとって本意ではない。
領主としての信頼や尊敬を失ってしまってはならないのだ。
娘と称する養女にうつつを抜かしているなどと知れたら、他でもない彼女に良からぬ噂が立ってしまう。
それは次へと進むためにも是が非でも避けたい。
「うっ…!シン、デレラっ…
イイぞ…、お前がいればわしはもう…」
快楽の末に必ず口にする言葉。
「…お、父様…
私は、ほんの少しだけお父様のお情けが頂ければ充分でございます。
私は名君と名高いお父様が誇りでございますゆえ…
領民の声をお聞きになるお父様が…」
いじらしくうつ向き、領主としての本分をやんわりと諭す。
回りの家臣がどんなに説得するよりも効果は高かった。
「…私は、皆に尊敬され慕われるお父様が、
好きです…」
「そうか、そうか…。領主たるもの民の暮らしを守るのが仕事だからな」
ふにゃり…と相好を崩し、彼女の言葉に頷く。
「…それに」
「ん?なんだ?」
「お母様や、お姉様達に不審に思われては…
私はうけたご恩を仇で返すことになってしまいます」
エメラルドの瞳から溢れる雫にかなうものは… なにもなかった。
彼女の懇願もあり日常は表向き平穏に流れていった。
長女のドロテアは…
しつこくこの部屋を訪れようとする為、凱からの進言もあり近隣の裕福な貴族の元へと嫁がされた。
さすがに父親が本腰を入れて進めた縁談を、断りきることは出来なかった。
この時代としては「嫁き遅れ」の彼女には、父親ほどの老人の後妻の口しか残っていなかったが、否やと言うことは許されず泣く泣く嫁いでいった。
義父は精力的に領内を見回り、夜更けては彼女の部屋で悦楽の一時を過ごしていた。
二年の歳月が過ぎ…彼女はより美しく魅力的に。
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