Bad luck

ごわす系美少女イカスミパスタ風

文字の大きさ
4 / 4

第三話 嫌われ者

しおりを挟む
やっとおさまった叫び声にホッとため息をしたのも束の間少女は耐えてきたものが溢れ出したのか嘔吐してしまった。

しかし少女を構っている暇はない。さっきつけた火がついた木を持ってきて傷口を焼く。


「あ”あ"あ"あ“あ"」

再び鳴り響く悲鳴。

腕の傷だけではなく首元の傷も焼かなければいけない。

首って色々重要なものがいっぱい詰まってるから気をつけろ的なことを言われたが焼いちゃダメって聞いたことは無いから大丈夫だろうと思い躊躇なく焼いた。

叫び疲れてぐったりしている少年の腕と首に包帯を巻き、少女に振り返った。

嘔吐したのにまだ気持ち悪いのか顔を青ざめてコチラをみる。仕方ないが少女も結構やばい状態だった。早急に処置しないと危ない。

少し抵抗を見せる腕を掴んで押さえつけ震える顔を鷲掴んだ。

「落ち着け弟よりはマシだ。そんな痛くないから大丈夫だ。すぐ終わる。」

少女の顔がほんの少し希望で輝いた。

弟よりは噛まれた回数が少ない分時間はかからないので嘘ではない。
痛みの感じ方は人それぞれな筈だから少女はもしかしたら全然痛くないタイプかもしれないので嘘ではない。

時間との問題だ。


少女が油断した隙を狙って躊躇なく傷口を焼いた。

「あ"あ"あ"あ"あ"」


少女は痛みを感じやすい方だったらしい。



ーーーーーーーーーー



泣き腫らして目の周りは真っ赤で目の充血が治っていない少女は不貞腐れた顔でげっそりとした様子でこちらを睨む。

それを気にせずカレーの続きを食べる私。

いまだに起きない少年。


「あんた悪魔?」


「いや、どっちかと言うと君たちだろ。さっきまで悪魔になりかけてたくせに。」


少女は顔を真っ赤にした

「悪魔じゃなきゃあんな事しないわ!!絵本で読んだんだもん!!」


「へぇーなんて心優しい悪魔の絵本なんだ。」


「ちーがーうーーー!!ッッイッタイ!!」


身を乗り出した瞬間首の傷口が痛んだのかうずくまってしまった。

「傷口が開くから安静にしな」

特に心配はせずカレーを食べ続ける。

「よく肉なんか食えるわね。オエっ」

研究生活に慣れきってたからかこのサバイバル生活に慣れてしまったからなのかは分からないが特にそうゆう感覚が分からない。

「………ねぇ弟が起きないけどいつ起きるのよ……」


顔を俯き表情が見えない。

「さぁ……」

「ッッアンタねぇ!!!」


胸ぐらを掴まれた。

そんな動いたら傷口が痛むだろうにそれすら気にせず少女はこちらを睨むことをやめない。


「…このウイルスの感染者を治す方法はまだ分かっていないだから応急処置をしただけよ。起きたとしても完全に治ってるわけではないなんらかの症状が残る筈。」

「そんな」


絶望の色


「あんたも完全に治ったわけではないわ」


「えっ」


カレーの鍋の銀の側面に反射する自分の顔を見せた。


少女は絶望で前が見えなくなった。


「いっいやだっっ…こんなのあたしじゃない……気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」


はげしく目を擦る少女の手を取った。こちらをギラリと睨み涙を溢れさせる


「全部全部悪魔のせいよ!!ただ生きてきただけなのに!ただ外で遊びたかっただけなのにっ!弟にお花を見せたかっただけなのに!!」


今までの鬱憤を吐き出して行った少女を見た。

少女は知っているのだろうか。悪魔を作った張本人として指名手配されている私のことを。知ったらどんな反応をするのだろうか。私の言い分を聞いてくれるのだろうか。私を恨むのだろうか。




まぁこの子に嫌われようが知ったこっちゃないが。


泣き続ける少女を横目にカレーを食べ進める。

そういえばあの犬どうなったんだろうな。音も聞こえないし死んだのかな。

いい実験対象だったのに。
内心ため息をつきながら

ふと疑問に思ったことを少女に聞く。



「君どこからきたの?」

キョトンとした顔をした後訝しげにこちらを見た

「知らない人に言っちゃダメって言われた。」


「ハッ」


つい鼻で笑ってしまった。そんなこと言ったら医師免許もなしに勝手に腕を切った私はもうとっくに犯罪者だし不審者通り越しとるわ

しかも、知らない人に助けを求めてきたくせに今になって律儀に言いつけを守るなんて。よく知らない人に弟の命任せたな。

と皮肉をこめてもう一度少女を見ながら鼻で笑ってやった。

ムカッ「それよりあなたは誰?どうしてに出ているの?」


少女は言った。
そこで確信した人々はやはり地下のシェルターに避難していた様だ。そして少女はそこからきたらしい。

逃げ出したか。


「私の名前はアメリ。どうして地上にいるかって言う質問は単純な話、保護対象じゃなかったってだけさ。」

少女は首を傾げている。

「あんたの名前は?」

変に勘付かれない様にする為に話題をずらした。気づかれて騒がれるのもめんどくさい。きっと政府はもうとっくに私が死んだと思ってるだろうし。

少女は少し顎に手を当て考えた後こちらを見あげた

「あたしの名前はラリア」

少しは気を許してるらしい。

「へぇラリア。どうして家出なんかしたの?」


「うぇっ?!?!」

目を白黒させながらこちらを見る。その顔には焦りが浮かんでいた。どうしてバレたんだろうと小学生が親にする言い訳を考えるような顔をしていたため少し笑ってしまった

「フッ別に言い訳が聞きたい訳じゃない。あんたが家出しようが怒らないよ私はあんたの親でもなんでもないしね。」


「あっ………お母さん…………」


何か訳ありそうだ。

安心したと思ったら親の話をしてこの反応。喧嘩でもして家出か?


少女は俯きながら話し出した

「あのね、あたし弟にお花を見せたかったの。お花はねお家の近くにあるんだけど….水を上げた時太陽が当たってキラキラして宝石みたいに綺麗なのを見せたかったの」

なるほど。

当然地下シェルターには太陽がないだろうからそれを見せたかったのか。

「でも……外に出たいって言ったらお母さんがダメって言うの。」

そりゃそうだろうな。

「でも見せたかったのだからみんなが寝た後おうちから出てハンターのお兄ちゃんたちも仕事でいない時を狙ってここを出たの!」

ハンター…か、

「バレない様に朝まで隠れて太陽が出た頃にお花を見ようと思ってたのに。



お花一本もなかった。」


あそこにいる人たちは現状を何も知らされていないのか?


「大人の人たちはみんな言ってたもん。今偉い人たちが悪魔たちをみんな治してる最中でもう少しでここを出れるって。」


「朝が来る前に襲われた。弟を抱えて逃げてる途中に雨が降ってきて何にも見えなかったけどカレーの匂いがしてここにきたの。」



カレーを食わなければこんな大事にはならなかったのか。ついめんどく下がり屋の自分が見え隠れてしまったが。私にだって良心はある。子供を無事助けることができたのだからよしとしよう



「これも全部悪魔が。いや悪魔を作った魔女が悪いんだ!!」


少し驚いた少女はウイルスを作った魔女がいる事自体は知っていたようだ。名前と顔は知らなかったが。

「なんでこんなことするの?なんで私の幸せを奪うのかわかんない!!」

自分が作ったわけではないのは確かだがそれをこの少女が信じてくれるか。バレたらめんどくさいな。


「殺してやる!!!!弟の仇もとってやる!!!」

目が逝ってる。子供ができるような目ではなかった、殺気ではなかった。

こっわ


とりあえずこいつにバレたら私は終わる。
そう思い、逃げるようにその場を立った。

「どこに行くの?」

さっきの様子とは真逆で不安そうな目でこちらを見る。ギャップが激しすぎて風邪引きそうになった


「あのワンコロ探しに行くんだよ。死んでたら死んでたでいいけどちょっと調べたいこともあるし。」

そう言って火を持って奥へと歩き出す。
少女がついてきそうな雰囲気があったので後ろを振り返った。焦ったように立ってついてこようとする様子が見えた

「ラリアは弟の面倒見とけ。多分悪魔が来ることはないだろうけど鳴ったらそこのちっこい銃ならせすぐ行くから。」

と少女近くに置いてあった銃を指差して再び歩き出した。


近づいてくる音は聞こえなかった。



コツコツとブーツが鳴り響く



「しっかしまぁ



どんだけ私って嫌われ者なの?」



ちょっと生霊とか付いてんじゃないかって怖くなった。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...