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第一話
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男、五軒家健吾は、将来について漠然とした不安を覚えながらも、何も対策せず、ただただ時間が流れるに任せていた。まともな会話をしていない故か、上唇と下唇が癒着していた。
学校と家を往復する日々。見た目を整えたり、清潔感を保とうといった努力などは一切考慮されていないような見た目であった。
授業もまじめに受けているかと言えばそうでもなく、ついついサボりがちで、落単も大学3年間で、ちょいちょいあるような状態である。来年から就活だというのに、お気楽な身分であった。
授業は昼過ぎから履修しており、学校から家まで徒歩5分にもかかわらず、教室について昼寝を始めた。1月の季節柄、教室には暖房がついているので、ついつい寝てしまうという言い訳をしていた。
授業が終わり、教室から出ようとすると、一番前に座っている岡島が話しかけてきた。
「よお、五軒家。今日は講義来れたんやな」この岡島とは、3年間授業が被ることが多く、ちょいちょい話すという関係なのだが、いかんせん、この岡島は話し始めると、ブレーキの壊れたトラックのように話し始め、こちらの反応などお構いなしに話したいだけ話し、極めつけは、冗談が通じず、マジレスをしてくるというストレスしかたまらない男であった。
いがぐり頭で、赤ら顔の、年中パーカーを着ており、メガネのテンプルが肉で埋まっていたのだ。身長は低く、ずんぐりむっくりな男であった。
「あ、ああ」それだけを言って帰ろうとすると
「お前、就活進んでるん?」そう言ってきた。一番触れられたくない話題だが、虫をするという勇気もなく、ついつい反応してしまった。
「い、一応は...」
「インターンは行ったか?」
「行って...」そう言った刹那、行ってないという言葉を発する寸前でとどまった。「行って...」の後に、「ない」という言葉を発するまでの、ほんの数瞬で、五軒家の脳裏によぎったのは、その後の、関係性がそこまで深くない岡島の説教であった。なので、「行って...」のあとの言葉を五軒家は発することをしなかったが
「ないな」岡島は断言した。続けて
「お前、何やってるん?講義にまじめに受けてないし資格も取ってなければ、毎日毎日、AV見てしこってるだけやろ?」
母親のような説教であった。言い返す言葉もない。五軒家は取り敢えず、この場から離れることだけを考えたが、それをやると自分がみじめになってしまう。この状況を切り抜けるなにかはないだろうか。
「お前、将来どうするん?」
考えたくないことだ。しかし、これから挽回していこうという気がさらさらない。
「将来....どうなってんねやろな...」
「いやいや、自分の事やで、俺には関係ないけどさ...」
関係ないと言っておきながら、何故、母親のような説教をしてくるのか...しかし、言い返す言葉は俺にはなかった。この社会では、大学を卒業したら、就職をすると、相場が決まっているのだ。俺はこの煩い口をふさぐために一発殴ってやりたい衝動にかられたが、それをやったところで現実は好転しないことは明らかだった。
「お前の好きなことは....AVしかないか...AVの制作会社に就職したら?」
岡島は半笑いでそのようなことを言ってきた。こいつは俺に就職進んでるマウントを取りたいのだろうと思った。こんな無責任に俺のことをとやかく言ってくるので、俺は岡島に言ってやった
「そんなに言うんやったら、お前も俺とAV作れや!!」
「は?」
「お前も今は、二次元でしこしこしてるだけやけど、元々はAV好きやったやろ?それやったら、いいAVがないって嘆かんと、お前が作ったらええやないか!!そういうのを他責思考ちゅうねん!!」
岡島は、慌て始めた
「いやいや、こんな不景気でしかも、斜陽産業のAVに何で俺が入らなあかんねん」
「誰が、就職するちゅうてんや。作るだけでええねん!!俺らで、一緒にAV作って、儲けたら。それで将来の不安なくしたらええやないか!!俺はただのしこ猿ちゃうで!!」
すると、岡島はスマホを触り出し、その画面を見せてきた。
「ついこの間や、AV新法言うのが可決されて、規制が入ったんや、これからAVの規制がきつくなることはあっても、ゆるくなることはないやろな」再び半笑いで言ってきた。俺もAVは好きなので知っていたが、AV新法とは、AV出演被害救済防止法と言われるもので、成人年齢を18歳に引き下げたことにより、国会が急遽可決された法律で、その内容は以下の通り
・契約から1か月間の撮影禁止、そして、撮影終了から4か月間の作品の公表販売宣伝の禁止
・契約内容は順守しなければならず、内容は事前に告知し、それ以外の内容は撮影してはいけない
・撮影に伴った費用や損害等は、女優側には一切請求してはいけない。
とあった。見るだけでも、素人目から見ても無茶苦茶な法率を国会は、人権倫理機構の聞き込みのみで、法律の内容を作成したのだ。そのため、現場の声は全く反映されていないものになっている。
「せやから、俺を巻き込むのはやめてくれ。俺は不動産会社に就職するって言う目標があんねん。そのために、居間宅建の勉強してんねやで」
岡島はそう言ったが、五軒家は、AV新法のとある文言に引っかかっていた。これならば岡島を説得できるだろうと思った。五軒家は、岡島とAVを作ろうと決心していた。自暴自棄とも思えたが、五軒家は岡島を説得することにした。
学校と家を往復する日々。見た目を整えたり、清潔感を保とうといった努力などは一切考慮されていないような見た目であった。
授業もまじめに受けているかと言えばそうでもなく、ついついサボりがちで、落単も大学3年間で、ちょいちょいあるような状態である。来年から就活だというのに、お気楽な身分であった。
授業は昼過ぎから履修しており、学校から家まで徒歩5分にもかかわらず、教室について昼寝を始めた。1月の季節柄、教室には暖房がついているので、ついつい寝てしまうという言い訳をしていた。
授業が終わり、教室から出ようとすると、一番前に座っている岡島が話しかけてきた。
「よお、五軒家。今日は講義来れたんやな」この岡島とは、3年間授業が被ることが多く、ちょいちょい話すという関係なのだが、いかんせん、この岡島は話し始めると、ブレーキの壊れたトラックのように話し始め、こちらの反応などお構いなしに話したいだけ話し、極めつけは、冗談が通じず、マジレスをしてくるというストレスしかたまらない男であった。
いがぐり頭で、赤ら顔の、年中パーカーを着ており、メガネのテンプルが肉で埋まっていたのだ。身長は低く、ずんぐりむっくりな男であった。
「あ、ああ」それだけを言って帰ろうとすると
「お前、就活進んでるん?」そう言ってきた。一番触れられたくない話題だが、虫をするという勇気もなく、ついつい反応してしまった。
「い、一応は...」
「インターンは行ったか?」
「行って...」そう言った刹那、行ってないという言葉を発する寸前でとどまった。「行って...」の後に、「ない」という言葉を発するまでの、ほんの数瞬で、五軒家の脳裏によぎったのは、その後の、関係性がそこまで深くない岡島の説教であった。なので、「行って...」のあとの言葉を五軒家は発することをしなかったが
「ないな」岡島は断言した。続けて
「お前、何やってるん?講義にまじめに受けてないし資格も取ってなければ、毎日毎日、AV見てしこってるだけやろ?」
母親のような説教であった。言い返す言葉もない。五軒家は取り敢えず、この場から離れることだけを考えたが、それをやると自分がみじめになってしまう。この状況を切り抜けるなにかはないだろうか。
「お前、将来どうするん?」
考えたくないことだ。しかし、これから挽回していこうという気がさらさらない。
「将来....どうなってんねやろな...」
「いやいや、自分の事やで、俺には関係ないけどさ...」
関係ないと言っておきながら、何故、母親のような説教をしてくるのか...しかし、言い返す言葉は俺にはなかった。この社会では、大学を卒業したら、就職をすると、相場が決まっているのだ。俺はこの煩い口をふさぐために一発殴ってやりたい衝動にかられたが、それをやったところで現実は好転しないことは明らかだった。
「お前の好きなことは....AVしかないか...AVの制作会社に就職したら?」
岡島は半笑いでそのようなことを言ってきた。こいつは俺に就職進んでるマウントを取りたいのだろうと思った。こんな無責任に俺のことをとやかく言ってくるので、俺は岡島に言ってやった
「そんなに言うんやったら、お前も俺とAV作れや!!」
「は?」
「お前も今は、二次元でしこしこしてるだけやけど、元々はAV好きやったやろ?それやったら、いいAVがないって嘆かんと、お前が作ったらええやないか!!そういうのを他責思考ちゅうねん!!」
岡島は、慌て始めた
「いやいや、こんな不景気でしかも、斜陽産業のAVに何で俺が入らなあかんねん」
「誰が、就職するちゅうてんや。作るだけでええねん!!俺らで、一緒にAV作って、儲けたら。それで将来の不安なくしたらええやないか!!俺はただのしこ猿ちゃうで!!」
すると、岡島はスマホを触り出し、その画面を見せてきた。
「ついこの間や、AV新法言うのが可決されて、規制が入ったんや、これからAVの規制がきつくなることはあっても、ゆるくなることはないやろな」再び半笑いで言ってきた。俺もAVは好きなので知っていたが、AV新法とは、AV出演被害救済防止法と言われるもので、成人年齢を18歳に引き下げたことにより、国会が急遽可決された法律で、その内容は以下の通り
・契約から1か月間の撮影禁止、そして、撮影終了から4か月間の作品の公表販売宣伝の禁止
・契約内容は順守しなければならず、内容は事前に告知し、それ以外の内容は撮影してはいけない
・撮影に伴った費用や損害等は、女優側には一切請求してはいけない。
とあった。見るだけでも、素人目から見ても無茶苦茶な法率を国会は、人権倫理機構の聞き込みのみで、法律の内容を作成したのだ。そのため、現場の声は全く反映されていないものになっている。
「せやから、俺を巻き込むのはやめてくれ。俺は不動産会社に就職するって言う目標があんねん。そのために、居間宅建の勉強してんねやで」
岡島はそう言ったが、五軒家は、AV新法のとある文言に引っかかっていた。これならば岡島を説得できるだろうと思った。五軒家は、岡島とAVを作ろうと決心していた。自暴自棄とも思えたが、五軒家は岡島を説得することにした。
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