桃源郷プロジェクト

パンチ太郎

文字の大きさ
2 / 7

第二話

しおりを挟む
 五軒家は、岡島に言った。
「ここのところ、公表禁止って書いてあるよな?」
「それがどないしたんや」
 五軒家は岡島に、この引っかかった文言から、考えたスキームを話した。すると、岡島は
「いやいや、リスク高すぎるやろ!!仮に行けるとしても、成功するか分からんし、この条件を呑む女優がどこにおるんや」
「でも、このままだと本当にAVがなくまうかもしれんぞ!!お前はそれを見捨てることができるんか?」岡島は、五軒家に気圧されていた。
「付き合ってられん!!俺はもう行く!!」岡島は教室を出ようとして、ドアノブに手をかけ、そのままそれを押す。その様を五軒家が眺めていると、思い出したかのように、言った。
「お前の気持ちが本気やったら、講義終わった後、駅まで来い」そう言って出ていった。
 山本みずきは、とあるビルの一室で、男と交尾にふけっていた。しかし、その周りには異様な空気に包まれている。男や女数人がその周りを囲って、その交尾を真剣な目で見ていたのだ。あるものは、霧吹きをもって、あるものはカメラをもって、あるものは、照明をもって、あるものは、マイクを持っていた。
 山本みずきは全裸で男と顔をつつき合わせていた。男は言う。
「あーいくいく」すると、一旦カメラが止まり、スポイトを持っている女が男優に渡し、カメラが再開する。そして、カメラが山本のお腹による。すると、ビール腹を揺らしながら、男優が、スポイトをベニスと一緒に握って、そこにぽたぽたと白い液を垂らした。そして、山本は男のペニスにしゃぶりつき、そのまま男のペニスがフレームアウトした。しばらくの余韻の後、カットがかかり、山本はバスローブを掛けられと、ストローのついたペットボトルが渡される。そして、シャワー室に案内される前に、その白い液体をティッシュで拭き取られた。その間使われたベットは別の者が、掃除をする。山本にとっては至れり尽くせりであった。
 男優も、撮影を終えると、きちんと挨拶に来るような、丁寧な男であったが、どこかに難点があった。言葉にならないような不快感がそこにある。もう少しイケメンの男優とやりたいと心の底で思っているのは違いなかったが、いつの間にかそのようなことを言っている立場ではなくなり、気づけばもう25歳であった。一抹の不安が、山本を襲ったが、次のシーンの為に、メイクルームに向かうのだった。
 五軒家は、ぽつぽつの明かりがつき始めた駅前で、岡島を待っていた。息が白くなるほど寒い。5分ほど待つと、岡島は、
「ほな、いくで」そう言って改札に入った。岡島の事だから、授業終わりに、誰かに話しかけて無理矢理話を聞かせた結果待ち時間に遅れたであろうことは想像つくが、俺がそのことを何も言わないからと言って、許してるわけではないからな。そう思いながら、電車に乗り、二駅ほどゆられていると、そこから何も言わず、岡島が降りた。それに伴う形で、五軒家もおり、小さな駅の改札を出、歩いて10分ほどで、とあるアパートについた。電車に乗っている間も歩いている時も、二人は一言も言葉を発さなかった。
「入るでー」ノックもインターホンも押さずに、そこに入った。鍵は開いているようだ。礼儀と言うに文字はこの男には存在しないのだろうか。そう思いながら、五軒家は岡島に続いた。
「おじゃましまーす」他人の家に入るなどいつぶりだろうか...床が油のようなものでぬめぬめしていた。そして部屋の奥から、むしゃむしゃぼりぼりねちゃねちゃと不気味な音を立てていた。部屋は、ワンルームで、日当たりもそこそこいいが、電気がついていなかった。部屋のいたるところに、ものやごみが散乱しており、五軒家が言うのもなんだが、清潔感と言う概念はどこかにおいていかれているような部屋の主は、窓のカーテンを閉めており、パソコンでカタカタ何かをしながら、ぶつぶつ何かを言っていた。岡島はこの光景に慣れているようだ。
栗生くりう!LINEで言ったやつ連れてきたで」
「あ、ご、五軒家健吾と申します」
 すると、ゲーミングチェアをくるっと回して、五軒家に向き合った。
「君が五軒家くんなりか...」
 栗生と言われている男は、まさしく脂肪の塊と形容せざる負えない見た目をしていた。ひいき目に見てもデブと言う評価はどうしても崩れない。男の服のいたるところに裂けめのようなものがあるように見える。パソコンの明かりを頼りに話をするしかなかった。
「こいつがAV作りたいんだってよ。お前、金はあるから、どうにかなるだろ?」
「うん。まあ、カメラもあるし、マイクもそこそこ性能があるのがあるけど、肝心の女優さんがいないじゃん。あと、AVって正直儲からない割に、規制もきつくなってるし、それから、種類も無限にあるからどこで差別化を図るの?」五軒家は、岡島にした話を栗生に言った。
「確かに、うまくいくかもしれないなりね。でも、リスクもあるよ。将来を棒に振るかもしれない...」
「でも、今やらなきゃ、俺たちがお世話になってきたAVがなくなったら、これからどう生きていくんや!!これは天命やねん。誰かがやるんを待つんやなくて、俺たちがやるんや!!」
「そうか、よろしくなり!!五軒家くん!!」
「とりあえず、今日は遅い事やし、具体的なことについては、明日からやろか。ここが活動拠点ってことでええな、栗生」
「もちろんなりよ」
 山本みずきは、最後の撮影を終えて家に帰る所であった。すらっとした長いカモシカのような足に、ショートカットの童顔が、特徴であった。町を歩いていると普通の女性と何ら変わりないが、さっきまで、とあるビルでAV撮影をしていたのだ。すれ違う人々は、山本のことをどうとも思っていないが、山本だけ一人待ちに取り残されているような感覚になっていた。明日も撮影がある。寝ないとな。
 山本が撮影していたビルは、ビルとビルに挟まれており、窓を覗いても、アルミのような物質の遮光カーテンでおおわれており、更に防音もしているので、AV撮影をしているという気配は感じさせなかったのだ。昔は、騒音などで苦情が来たらしいが、今はそんなことはないらしい。
 夜が明け、五軒家は、栗生の家に向かった。そこにはすでに、岡島もいる。
「で、どんなAVを作りたいの?」
 栗生は、五軒家に聞いた。
「一晩考えたやけど、うちのコンセプトは自然体がいいと思うねん」
「自然体?」
「うん、最近は、整形ブームもあって、豊胸や不自然な笑顔、さらには、偽汁やハードなプレイ。そんなんばっかりや。同じパターンの作品ばかりで、FANZAはユーザーの声を反映していない。にもかかわらず、無修正や違法AVがあると、誰の声か知らんが、違法アップロードを声高に叫び始めるんや。」
「いや、違法アップロードを糾弾しようとするのは当然じゃ...」
「AV後時に一々金なんて払ってられんわ」
「今からAV作ろうとするやつのセリフじゃないなり」
「俺は、AVを無料で公開したい!」
「採算度外視ってことか?」岡島が言った。
「そうや!まあ、広告は出してもらうようにせなあかんなあ。素人同然の作品を金払ってまで見たないやろ」
「それはそうやな...」
「あと、うちは演出なしや!」
「というと」
「台本がないって言うことや、好きにセックスして、好きにやらせる。そこで肝心要が、生放送ちゅうことや!!」
「昨日も聞いたけど、それホンマにやるんか?」岡島が言った。栗生は、そのまま頷いている。
「何べんも同じ事言わすな。生放送の本番、生本番やで!!」
「意味は違う気がするけど.....」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...