僕のような人の世界

EP3

学校の屋上
サン：「えっ……何て言いました？」
フェイ：「ウェーブとは別れたって言ったの」
サン：「……それを、どうして僕に？」
フェイ：「……だって、サンは特別だから」
（サン）特別？ あの日のことは、ただ放っておけなくて助けただけだ。どうして彼女の中で、俺の存在がそんなに大きくなっているんだ？
フェイ：「どうしたの……？ 私、何か変なこと言ったかな」
サン：「いえ、別に」
フェイ：「ねえ、改めて聞くけど……私の友達になってくれる？」
サン：「……僕の答えは、今も『ノー』です」
フェイ：「どうしてよ！！」
サン：「わっ……！」
フェイ：「どうして、どうして！ 理由が全然わからない！ 友達にもなれないほど、私のことが嫌いなの？ あの日のことなら、もう気にしてないって言ったじゃない！！」
サン：「……」
（サン）参ったな。どうしてこんな展開に……。この学校に入る前は、友達なんて作らずに一人で過ごすつもりだったのに。
フェイ：「……結局、サンも私を捨てて行くんだね」
フェイ：//ゾッとするような、不気味な笑みを浮かべる//
サン：//恐怖に顔を引きつらせる//
（サン）不味い、この空気……。彼女から放たれる気配が、尋常じゃなく恐ろしい。なんとかして、その顔をやめさせないと。
サン：「……わかりました。いいですよ」
フェイ：「ん……？」
サン：「僕が、君の友達になります」
フェイ：「本当に！？」
サン：「はい」
（サン）まずは自分の身を守るのが先決だ。
フェイ：「よかった！ じゃあ、一緒に教室に戻ろう、サン！ ^^」
フェイ：//サンの手首を強く掴む//
サン：「……」
フェイが屋上のドアを開ける。
フェイ：「あっ……！？」
サン：「っ……！？ 」
目の前には、パン先輩が立っていた。
サン：「パン、先輩……」
パン：「屋上で二人きりで、何してたの？」
パン：//冷徹な眼差しで二人を射抜く//
フェイ：「それは……」
パン：「聞いてるんだけど。答えなさいよ」
（サン）ヤバい、修羅場だ。なんとかしないと。
サン：「フェイ、君は先に教室に戻って。先生には欠席扱いでいいって伝えておいて」
サン：//パン先輩の手を握る//
フェイ：//嫉妬に満ちた、恐ろしい表情を浮かべる//
（フェイ）どうして……どうしてサンは、あの女の手を握ってるの？
校舎の廊下
パン：「……説明しなさい」
サン：「本当に、ただ友達になってほしいって頼まれただけなんです」
パン：「……ふーん」
サン：「本当です」
（サン）先輩、怒ってるよな……。
サン：「すみません……」
パン：//サンを見つめる//
パンはサンの手をぎゅっと握りしめ、そしてゆっくりと離した。
パン：「……わかったわ」
「あらあら！ 生徒会副会長が、男の子とイチャイチャしてるなんて、スキャンダルかしら～？」
パン：「っ……！？」
ビュー：//廊下の角から姿を現す//
サン：「ビュー先輩……」
ビュー：「会ってまだ二日目なのに、パンと随分仲良くなったじゃない」
サン：「ええと……」
（サン）返す言葉が見つからない。
パン：「はぁ……。じゃあ、また後でね、サン。私は仕事があるから。……ちゃんと授業受けるのよ」
サン：「はい、先輩」
.
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（サン）俺、さっき何してたんだ……。体が勝手に動いて先輩の手を握っちまった。
サン：//_// 「……でも、悪くはなかったかも」 //独り言//
17:00 生徒会室
ビュー：「ねえ、パン」
パン：「何よ」
ビュー：「あんた、サンくんのことが好きなの？」
パン：「……さあ、どうかしらね」
ビュー：「もう……。好きなら好きって言いなさいよ。他の誰かに奪われてもいいわけ？」
パン：「他の誰か？」
パンの脳裏に、あの時のフェイの顔が浮かぶ。
パン：//不敵な笑みを浮かべる// 「……あの子には、絶対に渡さないわ」 //小声//
ビュー：「ん？ 今、何か言った？」
パン：「別に。……それより、先に帰るわね」
ビュー：°~° 「ふーん？」
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サン：「ハクションッ！……誰か俺の噂でもしてるのか？」
（第三話 完）