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第一章 〜幸せが歩いてきたんだが〜
10話 〜龍神式②〜
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神殿の手前にある門を通ると、真っ白な石造りの神殿が聳え立っており、いかにも古そうで、見たこともない彫刻が壁には施されていた。
そして少し歩いて神殿の目の前まで来て、入り口に入ろうとすると、そこには二人の男がいた。
「おい、そこの白髪の子。止まりなさい。」
はじめは自分のことだとは思わず無視して入ろうとすると、
「おい君、君のことだよ。っと」
僕は二人の中でも、剛毛で強そうな方に片手で胴を持ち上げられて入り口の場所まで戻されてしまった。
「なんですか、急に」
「なんですかじゃない。お前、どう見ても龍人族じゃないだろ。」
「えっと、自分お母様が氷狼族で....」
「私の息子に何か用かね。」
気づけば僕の後に父親が立っていた。
父親は今までに見たこともない鬼のようなオーラを放ちながら門番を睨んだ。
「い、いえ......。なんでもありません......」
その男は父親を見るなり顔が強張り、冷や汗をかきながら急いで道を開けた。
流石父親だ、と思ってしまうような凄まじい緊迫感だった。
そしてようやくにして神殿の中に足を踏み入れると、息を呑むような景色があった。
両側の壁には信じられない数の歯車が取り付けられていた。
その歯車は遥か高くの天井までビッシリとあり、それが音も立てずに時計のように少しずつ回っていた。
(これは一体なんの歯車なんだろ......)
そう思いながら足を進めていると、先程入り口にいた子供たちが何やら前の方に集まっているようだ。
「それじゃあね、エル。私達は式には参加できないから。」
「そうなのですか?」
「えぇ、そういう仕来りなの。ごめんね。」
「大丈夫です!行ってきまーす!」
(ならそんな畏まった格好しなくて良かったのでは......?)
そう言って僕は、両親から離れ、一人でそのみんなのいる所へ向かった。
そこに行ってみると、子供たちは前の階段の上を見ているようで、その視線の先には白い髭をはやしたパッと見80代後半の見た目をした老人が立っていた。
「皆の衆!よく聞け。今からお前らには『龍神式』を受けてもらう。」
そう言って老人は、持っていた杖を地面に強く突きつけた。
すると、地面が歪み、割れ、その割れ目から途轍もない大きさの砂時計が現れた。
「この神が創りし『スイヒ』の砂が全て落ちたとき、『龍神式』が始まる。
無論、私語は厳禁じゃ。話した者は口が開かなくなる魔法をかける。覚悟するが良い。」
老人がそう言い放つと、丁度砂時計の砂の最後の一粒が落ちた。
次の瞬間、砂時計から凄まじい光を放ち、それと同時に鐘の音が建物全体にこだまし、鳴り響いた。
すると老人が鐘の音に負けない声量で叫んだ。
「我が神セレーネよ!新たに生まれし神童達にお恵みを!!」
すると周りの子供たちは一斉に祈り始めた。
僕も慌てて同じ様に両手を胸の前に組んで目を瞑って祈った。
「あなたに使えし我らに加護を!輔翼の翼を授けよ!」
そう言って老人は杖を3回先程よりも強く激しく突いた。
辺りの歯車はどんどん加速していき、強い光と響き渡る鐘と杖の音で頭が一杯になっていき、光に包まれていくかのよう、いや、「飲み込まれた」が正しいのかもしれない。
手足の血の流れを感じ、痺れていき、頭の中を駆け回る何かに苦痛すらも感じた。
しかし、急にピタっとそれが止んだ。
必死に閉じていた目をうっすら開けてみると、そこは神殿ではなかった。
真っ白な世界。それはこの世のものとは思えないようなもので、地平線とはまた違った真っ直ぐな世界が広がっていた。
見渡していると、少し離れたところに何かにあった。
しかし近づいてみても、近くなる気配もなく、ただ目の前に浮いているようなものだった。
「あら、もう5年かしら。時の流れは速いものね。」
突如聞こえた声に驚いた僕は、直様声が聞こえた方を振り向いた。
するとそこには青い瞳でこちらを見つめている女性が立っていた。
そして少し歩いて神殿の目の前まで来て、入り口に入ろうとすると、そこには二人の男がいた。
「おい、そこの白髪の子。止まりなさい。」
はじめは自分のことだとは思わず無視して入ろうとすると、
「おい君、君のことだよ。っと」
僕は二人の中でも、剛毛で強そうな方に片手で胴を持ち上げられて入り口の場所まで戻されてしまった。
「なんですか、急に」
「なんですかじゃない。お前、どう見ても龍人族じゃないだろ。」
「えっと、自分お母様が氷狼族で....」
「私の息子に何か用かね。」
気づけば僕の後に父親が立っていた。
父親は今までに見たこともない鬼のようなオーラを放ちながら門番を睨んだ。
「い、いえ......。なんでもありません......」
その男は父親を見るなり顔が強張り、冷や汗をかきながら急いで道を開けた。
流石父親だ、と思ってしまうような凄まじい緊迫感だった。
そしてようやくにして神殿の中に足を踏み入れると、息を呑むような景色があった。
両側の壁には信じられない数の歯車が取り付けられていた。
その歯車は遥か高くの天井までビッシリとあり、それが音も立てずに時計のように少しずつ回っていた。
(これは一体なんの歯車なんだろ......)
そう思いながら足を進めていると、先程入り口にいた子供たちが何やら前の方に集まっているようだ。
「それじゃあね、エル。私達は式には参加できないから。」
「そうなのですか?」
「えぇ、そういう仕来りなの。ごめんね。」
「大丈夫です!行ってきまーす!」
(ならそんな畏まった格好しなくて良かったのでは......?)
そう言って僕は、両親から離れ、一人でそのみんなのいる所へ向かった。
そこに行ってみると、子供たちは前の階段の上を見ているようで、その視線の先には白い髭をはやしたパッと見80代後半の見た目をした老人が立っていた。
「皆の衆!よく聞け。今からお前らには『龍神式』を受けてもらう。」
そう言って老人は、持っていた杖を地面に強く突きつけた。
すると、地面が歪み、割れ、その割れ目から途轍もない大きさの砂時計が現れた。
「この神が創りし『スイヒ』の砂が全て落ちたとき、『龍神式』が始まる。
無論、私語は厳禁じゃ。話した者は口が開かなくなる魔法をかける。覚悟するが良い。」
老人がそう言い放つと、丁度砂時計の砂の最後の一粒が落ちた。
次の瞬間、砂時計から凄まじい光を放ち、それと同時に鐘の音が建物全体にこだまし、鳴り響いた。
すると老人が鐘の音に負けない声量で叫んだ。
「我が神セレーネよ!新たに生まれし神童達にお恵みを!!」
すると周りの子供たちは一斉に祈り始めた。
僕も慌てて同じ様に両手を胸の前に組んで目を瞑って祈った。
「あなたに使えし我らに加護を!輔翼の翼を授けよ!」
そう言って老人は杖を3回先程よりも強く激しく突いた。
辺りの歯車はどんどん加速していき、強い光と響き渡る鐘と杖の音で頭が一杯になっていき、光に包まれていくかのよう、いや、「飲み込まれた」が正しいのかもしれない。
手足の血の流れを感じ、痺れていき、頭の中を駆け回る何かに苦痛すらも感じた。
しかし、急にピタっとそれが止んだ。
必死に閉じていた目をうっすら開けてみると、そこは神殿ではなかった。
真っ白な世界。それはこの世のものとは思えないようなもので、地平線とはまた違った真っ直ぐな世界が広がっていた。
見渡していると、少し離れたところに何かにあった。
しかし近づいてみても、近くなる気配もなく、ただ目の前に浮いているようなものだった。
「あら、もう5年かしら。時の流れは速いものね。」
突如聞こえた声に驚いた僕は、直様声が聞こえた方を振り向いた。
するとそこには青い瞳でこちらを見つめている女性が立っていた。
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