105 / 135
9
しおりを挟む
「そういや、あの商店のばあさんさぁ、息子を30年前に亡くしてるらしいぞ。」
翌日の昼食時、当たり前のようにりんの前の席に移動してきた倖は、ガタガタと座るなりそう切り出した。
目の前ではりんがキョトンとしたふざけた表情で倖を見返している。
手元で広げられた小さな弁当箱は、相変わらず愛情たっぷりのキャラ弁だった。
今日はプーさんか。
お稲荷さんでこさえたらしいプーさんのクオリティの高さに驚きつつ、火事で亡くなったらしい、とつけ加えた。
「……火事。」
りんがびくりと表情を強ばらせた。
「……ということは、あの運動場のあれは、息子さんの可能性が高い、ということでしょうか。」
「たぶんな。……火事だから、あんな姿、なのかもな。」
低い声で倖が言う。そうかもしれませんね、とりんが呟いた。
倖は持ってきたビニール袋をガサガサとひっくり返すと、何個もの黒い物体が机の上に転がった。
「今日の昼飯、ばあさんの店で買ったんだよ。ばあさんおすすめの爆弾おにぎり。」
「……ばくだん、」
得意気に倖が教えてくれた机の上のおにぎりをりんは凝視する。
普通のおにぎりの2倍はあろうかという大きさで1個100円だという。
しかも、中身は食べてみないとわからないという謎の闇鍋的設定のおにぎりだった。
「中身がわからないって、怖いですね。」
「そうか?食えないもんが入ってるわけでもないし、俺は特に気になんないな。」
そうして、あっさりと一つ目にぱくついた。
「倖くん、何が入ってましたか?」
好奇心を押さえきれずそう聞くと、ニヤリと笑って中身を見せてくれた。
「おかか。」
「え、おいしそうですね。」
「何だよ、怖いっつった割には興味津々じゃねえか。1個やろか?」
倖はつんと黒い爆弾おにぎりを弾いてりんの方へと転がした。
「……正直に言うと食べてみたいんですが、これ丸々一個とお弁当の両方は食べ切れなさそうです。」
なので断腸の思いですが遠慮しときます、と頭を下げるりんに指を舐めながら倖が馬鹿にしたように鼻で笑った。
「たったこれっぽっちも完食できないのか。……まぁ、別に食いきれなかったら俺が弁当食べてやってもいいぞ。」
「じゃあ、いっそのことお弁当をおかずにおにぎりを食べますか?……大した量はないんですが。」
「いいのか?」
と、いそいそとりんの弁当を物色しだした。見やすいようにと、りんが机の真ん中まで弁当箱を押し出す。倖は早速唐揚げに手をのばした。
りんは机の上にごろごろと転がっているおにぎりを一つ一つ手に取り物色する。
翌日の昼食時、当たり前のようにりんの前の席に移動してきた倖は、ガタガタと座るなりそう切り出した。
目の前ではりんがキョトンとしたふざけた表情で倖を見返している。
手元で広げられた小さな弁当箱は、相変わらず愛情たっぷりのキャラ弁だった。
今日はプーさんか。
お稲荷さんでこさえたらしいプーさんのクオリティの高さに驚きつつ、火事で亡くなったらしい、とつけ加えた。
「……火事。」
りんがびくりと表情を強ばらせた。
「……ということは、あの運動場のあれは、息子さんの可能性が高い、ということでしょうか。」
「たぶんな。……火事だから、あんな姿、なのかもな。」
低い声で倖が言う。そうかもしれませんね、とりんが呟いた。
倖は持ってきたビニール袋をガサガサとひっくり返すと、何個もの黒い物体が机の上に転がった。
「今日の昼飯、ばあさんの店で買ったんだよ。ばあさんおすすめの爆弾おにぎり。」
「……ばくだん、」
得意気に倖が教えてくれた机の上のおにぎりをりんは凝視する。
普通のおにぎりの2倍はあろうかという大きさで1個100円だという。
しかも、中身は食べてみないとわからないという謎の闇鍋的設定のおにぎりだった。
「中身がわからないって、怖いですね。」
「そうか?食えないもんが入ってるわけでもないし、俺は特に気になんないな。」
そうして、あっさりと一つ目にぱくついた。
「倖くん、何が入ってましたか?」
好奇心を押さえきれずそう聞くと、ニヤリと笑って中身を見せてくれた。
「おかか。」
「え、おいしそうですね。」
「何だよ、怖いっつった割には興味津々じゃねえか。1個やろか?」
倖はつんと黒い爆弾おにぎりを弾いてりんの方へと転がした。
「……正直に言うと食べてみたいんですが、これ丸々一個とお弁当の両方は食べ切れなさそうです。」
なので断腸の思いですが遠慮しときます、と頭を下げるりんに指を舐めながら倖が馬鹿にしたように鼻で笑った。
「たったこれっぽっちも完食できないのか。……まぁ、別に食いきれなかったら俺が弁当食べてやってもいいぞ。」
「じゃあ、いっそのことお弁当をおかずにおにぎりを食べますか?……大した量はないんですが。」
「いいのか?」
と、いそいそとりんの弁当を物色しだした。見やすいようにと、りんが机の真ん中まで弁当箱を押し出す。倖は早速唐揚げに手をのばした。
りんは机の上にごろごろと転がっているおにぎりを一つ一つ手に取り物色する。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
おもいでにかわるまで
名波美奈
青春
失恋した時に読んで欲しい物語です。
高等専門学校が舞台の王道純愛青春ラブストーリーです。
第一章(主人公の水樹が入学するまで)と第二章(水樹が1年生から3年生まで)と第三章と第四章(4年生、5年生とその後)とで構成されています。主人公の女の子は同じですが、主に登場する男性が異なります。
主人公は水樹なのですが、それ以外の登場人物もよく登場します。
失恋して涙が止まらない時に、一緒に泣いてあげたいです。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる