OH MY CRUSH !!

文月 七

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 陰になったりんの表情からは何を考えているのか伺いしれないが、そういや本人が認めてないだけで前の学校で虐められてたんだったか、と倖が納得する。
「だからばあさん、俺への対応悪かったらしーぞ。」
 りんはチラリと倖に視線をむけると、その金色の頭を見た。
「……じゃあ、おばあさんにとって倖くんて結構なトラウマ対象だったのでは。」
 たぶんな、と倖が即答した。
「でもまぁ、和解したっていうか、普通に話はできるようになった。」
 りんはその倖の言葉に驚いたあと、また俯いた。
「……倖くんて、すごいですね。昨日駅で別れてからの短い時間で、おばあさんと仲良しになってしまうなんて。」
「いや仲良くはない。」
「……すごいコミュニケーション能力です。わたし、まだクラスにも馴染んでないのに。」
 と、食べかけのおにぎりを手で弄びながらうじうじとしだした。
「馴染んでるだろ?」
 その一言にりんは大きくかぶりを振った。
「空気のように馴染みたいわけじゃないんですよ。……友達が欲しいんです。」
「迫田は?」
「さ、迫田さんはまだ発展途上かな?」
「じゃ、俺は?」
 倖の予想外の自分推しにりんは驚き口ごもった。
「ゆ、倖くんは、えと、前までは友達、だったのかな?で、でも、ある事件があって無視されるに至り、」
「ある事件言うな。……無視したのは悪かったけど、友達でいいだろ、もう。」
 そ、そうですね、とりんはしどろもどろになりながら言うと、おにぎりを口に持っていきもごもごと咀嚼した。
 その様子を見ていた倖も大きくため息をついて、食事を再開する。
「あのさ、前も聞いたけど、こういうのって解決できたりしないのか?」
「解決?」
 意味が分からず首を傾げるりんに倖が続ける。
「除霊とかはできないってお前言ってたけど、やっぱ何か他に方法あったりしないのか?」
「……ないですよ。」
 むっとしたようにりんが残り1つのソーセージを齧る。
「少なくとも、私はできませんよ?」
「でもさ視えるんだったら何かできないのかなって、」
「視える、けど何もできません。」
「んー、絶対?」
 あくまで軽いノリの倖にりんは脱力する。
「本当に、視えるだけなんですよ。」
「霊と話して未練を断ち切ってあげる、とか。」
「できません。てゆうか、あの人たち人の話なんか聞いてくれないですよ。」
「うーん、あ、おまえ内臓触れるじゃん。」
「触れたから何だって言うんですか。」
 げんなりしたようにりんが言う。
 触れるのもいるし、急に触れなくなったりするし、こっちが触れないのに向こうだけ触ってこれるという場合もあって、りんだって意味がわからないのだ。
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