楽に生きたい平民なのに一癖ある伯爵どころかその他大勢にも気に入られてしまい困っています

花田トギ

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秘密の関係

アディと天使

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「そろそろ起きてください」
 ノックの後、返事を待たずに入ってきたスチュアートの姿を、アデリアは目を擦りながら確認した。
「んあ……?!あ?!え?」
 アデリアがいるのはいつもより豪華な部屋、大きくてふわふわなベッドの上だ。どうやら昨晩伯爵に呼ばれたまま、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「今日から業務内容が追加されますよアデリア」
「へ……?!これ以上仕事が増えるんですか?!」
 これ以上大変だなんて、正直そろそろ辞めたいのだが。
「はい。ラスール伯爵のお相手をしてください」
「……はい?」
 モノクル越しの視線を辿るとアデリアの腕の中へと行き着いた。そこには、ぴょこんとした耳が生えた金髪の美少年がすやすやと寝息を立てている。
「え……?!ゆ、夢じゃなかったの?!」
「変わるところ見たんでしょう?満月の夜まで持ったメイドは貴方が初めてですよ」
「はぁ……」
 そうか、伯爵が変身する前に新しいメイド達は辞めてしまったのか。
「ラスール伯爵最大の秘密です。これを知るのは、屋敷の中で私と貴方だけです。無論他言無用ですからね」
 スチュアートの瞳が冷たく光ったが好奇心に負けてアデリアは聞いてしまった。
「も、もしも他言しちゃったりすると……?」
「ーー聞きたいですか?」
 スチュアートの表情が怖すぎて、アデリアはブルブルと首を横に振った。
 聞いてしまうと後悔しそうな気がしたからだ。
「あのぅ、そもそもどうしてこんな可愛い……じゃなかった、こんな姿に?」
「それは俺から説明するよアデリア。……アデリアってちょっと呼びにくいなぁ……アディって呼んでもいい?」 
 胸元がもぞもぞして、アデリアに抱きしめながら眠っていたはずの伯爵がぴょこんと顔を出す。語尾を上げながら小首を傾げる姿は、まさに天使である。
「かわ……っ」
「ん?いいのか?」
「も、もちろんです!」
「ありがとうアディ!」
 にっこり笑うと、アデリアの腕の中から抜け出したラスール伯爵は、ブカブカだった服を引き摺ってスチュアートに近寄った。

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