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秘密の関係

天使との日々

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「アディ!みてよ!」
「わあ、お上手ですぅ」 
 アデリアは目を細め、手を叩く。その様子に嬉しそうにシュエットのしっぽが揺れ、耳がピクピクと動いた。
 シュエットが見せてきたのは、描いた絵だ。ボードゲームにも飽きたので、スチュアートに道具を持ってこさせたのだが、これが中々に上手い。なので素直に拍手ができた。
「アディは母上のように喜んでくれるから嬉しいよ」
「私もシュエット様と一緒に遊べて楽しいです!」
 この言葉にも嘘は無い。
 最初スチュアートには普段の業務をこなしつつシュエットの相手をするよう言われたのだが、シュエット本人がアデリアが自分のそばを離れることを認めなかった。そのため、現在のアデリアの1番の仕事は伯爵の体が元に戻るまで一緒に過ごす事になった。
 どうやら体とともに考え方や話し方も幼くなるらしく、共に3日を過ごしたアデリアはすっかりシュエットの事を愛らしく感じるようになっていた。
 シュエット本人のお願いから、呼び方も【伯爵】から【シュエット様】になり、第三者からみれば仲の良い姉弟に見えそうである。
 子供の相手は面倒な事も多いが、そこは一応伯爵である。過度なワガママも言わず、分別のつく相手の世話をするなんて、家で弟妹の世話をしていたアデリアにとっては容易かった。
 更にここではお菓子も料理もスチュアートが運んでくれる。
 お風呂は別だが、ベッドは同じ。初日と同じように2人は同じベッドで眠った。もちろん伯爵の希望でだ。
 アデリアはずーっとシュエットが幼いまま、遊んでお菓子を食べる生活が続けば良いとさえ思っていた。
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