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初陣編
大切な人たちの悲しみ
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郡山城 毛利元就
わしは犬猿の仲である晴久に敗れ人質を選びに来てそしてよりにもよって晴久の目につけられたのは妙玖との最後の子である虎寿だった。孫子を読んでいたらしい虎寿は片付けが間に合わなかったらしい。わしが虎寿がこれ以上話すのを止めようとしたが虎寿は一瞬俯いたが直ぐに顔を上げると満面の笑みを讃えて
「尼子様直々の誘いとあらばこの虎寿喜び勇んで赴き致しまょう!」と言うと貞俊が必死に耐えるかのように平伏して居た。
「なに、私は虎寿丸殿を大いに気に入っている故無碍には扱わぬ。何なら守役の貞俊殿も共に来られるか?」と晴久が言うと虎寿が座ったまま
「貞俊、其方に判断は任す。尼子様、貞俊の決断のこともありますし身内にも話さねばなりませぬ故一日待っていただけると幸いです。」と貞俊に一言言うと晴久に一言頼むと晴久は我が子にでも接するかのように
「まぁ、一日と言うでない3日ぐらいくれてやろう。」と晴久は虎寿を気に入ったのか気前良く返すと虎寿は微笑んで返すと晴久がわしの家臣に連れられて退出後虎寿が貞俊に手を差し伸べた。
「若、わしは…わしは。」と言葉を紡げない貞俊を虎寿は
「貞俊、3日もあるんだ。ゆっくり決めればいいさ。」と言うと貞俊の手を引いて部屋を出た。
郡山城 福原貞俊
そんなことあり得ない…。若が散らかした本を若と直して居たただそれだけだった筈だった。それが宿敵の尼子殿のせいで若が今にも人質に取られようとしている。若の痛ましいまでの笑顔に胸が突かれたような痛みに呻いた。
若はふと立ち止まると天を仰いだ。
「ねぇ、貞俊。3日目の最後の夜に"必ず"福原城に行くから答えを宜しく頼むよ。」と言うと若はわしの姿を見もせずに涙に頬を濡らしてわしの下を走り去ってしまった。
「!?」
わしは虎寿丸様を追うことも出来ず心身を支えてやることも最終的には出来なかった。ただただ、悔しくて顔を歪めて居た。
また、虎寿丸様に"また、自分で自分を苦しめてるよ。もっと自分に素直になりなよ、貞俊。"と言われるのだろうか…。最早、わしの心は決まっているのに逃げてしまった。
それで愛しい虎寿丸様を泣かせてしまったとしても…。でも、わしがまだ虎寿丸様に会うときが一回だけ確実に訪れる。その時には絶対に伝えよう。わしが虎寿丸様に出会ってから何時も虎寿丸様に抱いていたこの名もなき想いを…。
この回は元就さんから見た虎寿丸君と貞俊さん。貞俊さんから見た晴久さんと虎寿丸君の会話を描いた回になりました。
次回もよろしくお願いします。
わしは犬猿の仲である晴久に敗れ人質を選びに来てそしてよりにもよって晴久の目につけられたのは妙玖との最後の子である虎寿だった。孫子を読んでいたらしい虎寿は片付けが間に合わなかったらしい。わしが虎寿がこれ以上話すのを止めようとしたが虎寿は一瞬俯いたが直ぐに顔を上げると満面の笑みを讃えて
「尼子様直々の誘いとあらばこの虎寿喜び勇んで赴き致しまょう!」と言うと貞俊が必死に耐えるかのように平伏して居た。
「なに、私は虎寿丸殿を大いに気に入っている故無碍には扱わぬ。何なら守役の貞俊殿も共に来られるか?」と晴久が言うと虎寿が座ったまま
「貞俊、其方に判断は任す。尼子様、貞俊の決断のこともありますし身内にも話さねばなりませぬ故一日待っていただけると幸いです。」と貞俊に一言言うと晴久に一言頼むと晴久は我が子にでも接するかのように
「まぁ、一日と言うでない3日ぐらいくれてやろう。」と晴久は虎寿を気に入ったのか気前良く返すと虎寿は微笑んで返すと晴久がわしの家臣に連れられて退出後虎寿が貞俊に手を差し伸べた。
「若、わしは…わしは。」と言葉を紡げない貞俊を虎寿は
「貞俊、3日もあるんだ。ゆっくり決めればいいさ。」と言うと貞俊の手を引いて部屋を出た。
郡山城 福原貞俊
そんなことあり得ない…。若が散らかした本を若と直して居たただそれだけだった筈だった。それが宿敵の尼子殿のせいで若が今にも人質に取られようとしている。若の痛ましいまでの笑顔に胸が突かれたような痛みに呻いた。
若はふと立ち止まると天を仰いだ。
「ねぇ、貞俊。3日目の最後の夜に"必ず"福原城に行くから答えを宜しく頼むよ。」と言うと若はわしの姿を見もせずに涙に頬を濡らしてわしの下を走り去ってしまった。
「!?」
わしは虎寿丸様を追うことも出来ず心身を支えてやることも最終的には出来なかった。ただただ、悔しくて顔を歪めて居た。
また、虎寿丸様に"また、自分で自分を苦しめてるよ。もっと自分に素直になりなよ、貞俊。"と言われるのだろうか…。最早、わしの心は決まっているのに逃げてしまった。
それで愛しい虎寿丸様を泣かせてしまったとしても…。でも、わしがまだ虎寿丸様に会うときが一回だけ確実に訪れる。その時には絶対に伝えよう。わしが虎寿丸様に出会ってから何時も虎寿丸様に抱いていたこの名もなき想いを…。
この回は元就さんから見た虎寿丸君と貞俊さん。貞俊さんから見た晴久さんと虎寿丸君の会話を描いた回になりました。
次回もよろしくお願いします。
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