上 下
10 / 63
第一幕

母は怖し。

しおりを挟む
 私がママのところに駆け出すと、ママは微笑みながらこちらに手を振る。手を振り返しながら走るとすぐにレイジェが追いついてきた。ママは少し先にいる領主様に声をかけるらしい。
「グリンウェリア領主!」
笑いながらおしとやかに歩き、領主に近づく。
「おぉ!!久しぶりだねぇ、何年ぶりかな?この街にいたとは...」
知り合いだったの?という意を込めて見上げて二人を交互に見たら領主様がしゃがんで
「話に聞いてたエリちゃんとはこの子の事か!君によく似て可愛い子だ。」
と言って頭を撫でてくれた。あれ?案外いい人!?
「はじめまして、エリ・フラーズナーです。この度は息子さんの御入学おめでとうございます。」
と言って挨拶すれば驚いたようにキョトンとしたあと笑いながらありがとうと言う。
案外いい人!?
「それにしても、立派なファイヤードラゴンですね...一体どちらで?」
そう言うと困ったように顔に皺を刻みながら頭をかく。
「あれは...隣町の領主が送ってきたものなんだ。それをバカ息子が気に入ってしまってね...。みんなの前で契約すると言って聞かないんだ。」
あれ...これって...領主は単なる親バカだけど常識的で...息子が常識的じゃないってこと!?母親は...どうなのかな?
どうしようかな...。
 なんだかんだでついに始まった、入学式。隣がターナでよかったなぁ...。入学式の間コソコソ話してた。そこでスキルの話をしてみると...。
「え、私のはスキルサーチだよ?後で見てみよっか!」
と言われてこんなに身近にいるとはと心から驚いた。思わずお願いと言うといいよ、と微笑んでくれる。そこからは例のドラゴンの話になった。
「暴れたらどうするんだろうねぇ...」
「大人がなんとかしてくれるよ!」
「そういうのだからいざと言うとに大変なことになるんだよ。近頃の若者は...」
「???」
と言ったような会話をしていた。
そうこうしてる間にも各クラス代表発表が始まった。ここではクラスは素質で分けられるらしい。
「猛獣使い ターナ・ナール。」
とターナが呼ばれたら本人も何もわかってないようだったので恐らく直前に知らされるということは無いのだろう。
「剣士 ケアドル・グリンウェリア」
領主のバカ息子。こっちは当然だという顔...というか金でも握らせたんだろうか?素質があったらすごいな、あの体型で。かなりポッチャりだ。
 さて、私のクラスは誰かなー??
「召喚術士 エリ・フラーズナー」
「は?」

私!?
しおりを挟む

処理中です...