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短編集
デザートはお先に
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僕は台所で作業している李仁を見ながら目の前のカウンターで授業で使うプリントを作成していた。
彼は楽しそうにバーで出す新作料理を何種類か試作してるけど、僕も仕事してるのに全く楽しくない。煮詰まっている。
手帳代わりのiPadを見ると、剣道部の指導要綱、学年のレクの日程……やることが多すぎる。このブラック高校め。
「お手製イチゴジャムも煮詰まってきた」
……そっちは美味しそうな煮詰まり方だな。イライラしてきて煙草を吸いたいが、目の前で料理しているところでは吸いづらい。
「タスク溜まってイライラしちゃってるようね。じゃあカルシウム補給で……チーズとじゃこのパリパリせんべい」
と目の前に出されたせんべい。おつまみにいいねぇ。くせになりそう。
にしても、李仁は本屋営業部の仕事と前本業だったバーテンダーの仕事もこなして……異種業なのにもかかわらず余裕のある人である。
「もうひとつおまけに、茶碗蒸しリゾットー♪」
いつの間に?他にもいくつか鍋やオーブン、フライパン……タイマーも何個か。
きっと僕と李仁の頭の中の構造や性能、思考回路は違うんだろう。うらやましい。
他にもいろんないい匂いがする。いつも思う、バーでお酒を提供しながらツマミや軽食作りを話しながら、それぞれの客の様子に気配りしながらできるんだもの。
なのに仕事は丁寧……はぁ。ため息ばかり出る。さっさと集中!
トントントン、とリズム良く刻まれる食材、いろんな音色のタイマーと、鍋とオタマが奏でるメロディー、まるで演奏を聞いているようで……仕事がはかどるー!!!
と思ってたけど……やっぱりダメ……壁にぶちあたってしまった。
「こんな時は甘いものを食べるのが一番。
よいしょっと、はちみつたっぷりかけていい?」
はちみつ、たっぷり??? かけていい????
あっ……言葉にいちいち反応してる……だ、ダメだっ……今日徹夜しないと間に合わないのに……!
目の前でパンケーキにはちみつをたっぷりかける李仁……ああ、そのはちみつ……前、はちみつプレイした時と同じ銘柄の……。
「あ、指についちゃった……」
李仁が指を舐める仕草……あの時と同じ……ダメだって、僕は股間を抑える。
「ドライフルーツが入ってて美味しいの、召し上がれっ」
一口サイズだけど美味しい……。いい糖分補給……そしてこの味は……ダメだ、ダメだ!
チン!
「ミートパイっ」
るんるんとオーブンに向かう。ああ、いちいち可愛いっ!!!
綺麗な網目のミートパイ、茶碗蒸しリゾット、焼きおにぎり茶漬け、ローストビーフ、トマトわかめサラダ、アンチョビパスタ、ニンニクのホイル包みバター添え、かぼちゃのグラタン……。
色々揃った。ダイニングの机に並べられる。
「率直な意見を聞かせて。色々作ってみたんだけど、改良とか工程も練り直しも必要だけどねー」
結構立派なメニューになったな。晩御飯にいいな……って、もう18時!!!!
まだ仕事片付いてないのに!!!
「まずは栄養を摂って、お腹空いてたら頭も回らないわ。わたしも腹ペコぉ」
「そうだなっ、食べるか!!」
僕は李仁にキスをした。
「え? やんっ、いきなりどうしたの?」
ここしばらく忙しくてエッチしてなかった。さっきからちょくちょく僕を刺激して……。
「先にデザート食べていいかなぁ?」
「珍しく、ミナ君から? ほんとは後からだけど、お先にどうぞ」
あのはちみつのボトルも手にして、李仁をソファーに押し倒した。というか、李仁から誘われているといったほうがいいのか……
まぁいい! いただきます!
「てかぁ、私デザート? メインディッシュでしょ?」
終
彼は楽しそうにバーで出す新作料理を何種類か試作してるけど、僕も仕事してるのに全く楽しくない。煮詰まっている。
手帳代わりのiPadを見ると、剣道部の指導要綱、学年のレクの日程……やることが多すぎる。このブラック高校め。
「お手製イチゴジャムも煮詰まってきた」
……そっちは美味しそうな煮詰まり方だな。イライラしてきて煙草を吸いたいが、目の前で料理しているところでは吸いづらい。
「タスク溜まってイライラしちゃってるようね。じゃあカルシウム補給で……チーズとじゃこのパリパリせんべい」
と目の前に出されたせんべい。おつまみにいいねぇ。くせになりそう。
にしても、李仁は本屋営業部の仕事と前本業だったバーテンダーの仕事もこなして……異種業なのにもかかわらず余裕のある人である。
「もうひとつおまけに、茶碗蒸しリゾットー♪」
いつの間に?他にもいくつか鍋やオーブン、フライパン……タイマーも何個か。
きっと僕と李仁の頭の中の構造や性能、思考回路は違うんだろう。うらやましい。
他にもいろんないい匂いがする。いつも思う、バーでお酒を提供しながらツマミや軽食作りを話しながら、それぞれの客の様子に気配りしながらできるんだもの。
なのに仕事は丁寧……はぁ。ため息ばかり出る。さっさと集中!
トントントン、とリズム良く刻まれる食材、いろんな音色のタイマーと、鍋とオタマが奏でるメロディー、まるで演奏を聞いているようで……仕事がはかどるー!!!
と思ってたけど……やっぱりダメ……壁にぶちあたってしまった。
「こんな時は甘いものを食べるのが一番。
よいしょっと、はちみつたっぷりかけていい?」
はちみつ、たっぷり??? かけていい????
あっ……言葉にいちいち反応してる……だ、ダメだっ……今日徹夜しないと間に合わないのに……!
目の前でパンケーキにはちみつをたっぷりかける李仁……ああ、そのはちみつ……前、はちみつプレイした時と同じ銘柄の……。
「あ、指についちゃった……」
李仁が指を舐める仕草……あの時と同じ……ダメだって、僕は股間を抑える。
「ドライフルーツが入ってて美味しいの、召し上がれっ」
一口サイズだけど美味しい……。いい糖分補給……そしてこの味は……ダメだ、ダメだ!
チン!
「ミートパイっ」
るんるんとオーブンに向かう。ああ、いちいち可愛いっ!!!
綺麗な網目のミートパイ、茶碗蒸しリゾット、焼きおにぎり茶漬け、ローストビーフ、トマトわかめサラダ、アンチョビパスタ、ニンニクのホイル包みバター添え、かぼちゃのグラタン……。
色々揃った。ダイニングの机に並べられる。
「率直な意見を聞かせて。色々作ってみたんだけど、改良とか工程も練り直しも必要だけどねー」
結構立派なメニューになったな。晩御飯にいいな……って、もう18時!!!!
まだ仕事片付いてないのに!!!
「まずは栄養を摂って、お腹空いてたら頭も回らないわ。わたしも腹ペコぉ」
「そうだなっ、食べるか!!」
僕は李仁にキスをした。
「え? やんっ、いきなりどうしたの?」
ここしばらく忙しくてエッチしてなかった。さっきからちょくちょく僕を刺激して……。
「先にデザート食べていいかなぁ?」
「珍しく、ミナ君から? ほんとは後からだけど、お先にどうぞ」
あのはちみつのボトルも手にして、李仁をソファーに押し倒した。というか、李仁から誘われているといったほうがいいのか……
まぁいい! いただきます!
「てかぁ、私デザート? メインディッシュでしょ?」
終
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