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短編集

ゴムの日

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「あ、今日はアイスの日だってー。ミナ君、アイス屋さんに並びに行く?」
「うん……でもすごい並ぶんじゃない?」
「でもーどこも行かずに家でゴロゴロするよりかはいいんじゃない?」
「って僕ら女子高校生じゃないんだから……アイスだったら李仁のお手製のアイス食べたいし」
「市場調査も兼ねてよ。おいしそうなのあったらぁ、店のメニューに加えたいの」
「なるほどぉ……(休みなのに相変わらず仕事のこと考えてる……)」
「さぁ、行くわよー️」

 こんな感じで出不精の湊音を外に引きずりだす李仁。
 〇〇の日はお出かけするきっかけ作りにもなるのだ。

 案の定すごく並んだ。湊音の生徒が住んでない地域のアイス屋に車を走らせたのだが、自分たちの地域よりもかなり混雑している。

 李仁は湊音の手を握る。湊音は赤面してるが、その様子を見て李仁はパーカーのポッケの中に手を入れる。
 湊音はそれをいいことに何度も手を組み替えたりする。
 時折二人は目を合わせる。
「初デートのカップルじゃないんだから……」
「いや、こうしてなんかに並ぶのってなかなかないじゃん?」
「そうねぇ。こういう時に会話が続くか続かないかなのよ。」
「僕はこうして横にいるだけで充分」
「私もよ」 

 ふと湊音は李仁を見上げ……
「ねえ、李仁……」 
「ん?」
「どうして僕がいいと思ったの?」
「何よ今更」
「なんとなく。こんな根暗な僕のどこがいいの」
「そういう根暗なところも好き❤️」
「まじかよ」
「うん、マジ。あとは……可愛いところ」
「……もう40ちかいぜ?僕ら」
「年齢が何よ。まだあなたは見た目大学生だけどね」
 湊音は背の低さと童顔な顔から年齢が低く見られる。
「……」
「そうやってふくれっ面するミナ君が可愛い️」
「……」
 機嫌が悪くなるが湊音は手を離さない。李仁がポッケの中で手を弄る。

 少しいやらしい手つきをして湊音の顔色を伺う。湊音も次第に反応してくる。
「ふふっ」
「バカ」
「笑った️」
「……たく、メニュー選ぼうか」
「うん️」
「……」
「どうしたの?」
「李仁は聞いてこないのかよ」
「なにを?」
「なんで好きなの? って」
「じゃあ聞くね。ミナ君は私をどうして好きなの?」
言わせたくせに湊音は照れている。
「……全部」
「欲張りなミナ君も好き❤️」
「……李仁だけだからね……それよりも選ぼうか……」
「うん、️アイスは一人一個だから欲張りはできないわよー」
「だから李仁だけだから、欲張りなのはっ!」

 二人はそれぞれ好きなのを選び、車の中で食べる。時にお互いのを食べて、溶けたアイスが手に垂れるとそれを舐め気づくと口移しでアイスを食べ、お互い口の中でアイスが混ざり合い……。

「李仁……」
 湊音はうっとりした目で、見つめる。何かを訴えてるようだ。
「久しぶりにホテル行こ️」
「……うん……」
 いつも家でできないようなプレイでその日は互いにアイスのようにとろける二人であった……。
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