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鬼が見た景色
はい、そこまで!
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「はい、そろそろええか?」
そんな二人に割り入ったのは、いかつい大柄な男。瀧本というベテラン刑事だ。横には彼のバディで若い新人刑事の冬月もいる。
穏やかな景色とは相反する向こう側には多くのパトカーと、けたたましいサイレンの音。高台からは景色が一望できるため観光客も多く、野次馬も多くいた。
「瀧本さん、はやく連行しましょう、このままだと野次馬が増えて道が混雑します」
「そだな」
と瀧本は女性警察官を呼び、二人の女性警官に晴海は連れていかれる。
「この野郎! お前らは鬼か! 私たちを引き剥がすなんて!!!」
須藤の腕の中で涙を流していた美しい彼女の姿は一変、鬼のように顔を真っ赤になっていた。狂うかのように叫ぶ彼女の声は周りに響く。
「鬼の本性、だな」
瀧本は役目は終わったと、冬月にあとはよろしく、とタバコを吸いに行った。残された須藤は晴海の姿を見て呆然とし、もう見ぬまいと景色の方に体を向けた。
「あ、須藤さん。通報ありがとうございました。あなたはあの鬼に殺されなくてよかったですね」
と、刑事のわりには口が悪い冬月に対して、須藤はハア、としか言えなかった。
鬼、この数ヶ月で連続して起きた無差別殺人事件。
男女合わせて五人。子供が一人含まれていた。
2番目の被害者が死を前に「オニ」とダイイングメッセージを残して死んだ。
それを嗅ぎつけたマスコミがそれを報道し、世間では「鬼」が無差別に人を殺しにやってくると、殺害現場周辺は騒然とした。
「四人目の被害者の息子さんがこうして犯人を捕まえてくれましからね、すごい執念ですね。」
「いえ……まさか、恋人の晴海が母を……それ以外にも何人か殺したなんて。驚きですよ。
」
須藤は先月末に母親を「鬼」である晴海に殺されたばかりだ。捜査により晴海の犯行とわかり彼女の行方を警察は追っていた。
晴海は恋人である須藤に旅行へ行きたいと言って彼を利用して逃げていたようだが、晴海が指名手配された時に須藤は通報し、この高台に晴海を連れて行き警察を待っていたのだ。
「いい景色やなー。今度彼女と遊びに来ようかな」
冬月はタバコを取り出して須藤にもどうか?と差し出すが須藤は首を横に振った。
「ここは二人の思い出の場所です。最後の場所はここが良いかなと」
「そう……ロマンチックなことするんやね」
冬月が笑うと、須藤もようやく笑う。晴海を乗せたパトカーが去っていく。
「もう未練はないの?」
「……無いと言ったら嘘になりますね。素敵な女性でした」
「鬼、ですよ?彼女は」
「ですけどね……」
「……好きな男の前では鬼も、ただの女か。男女ってさぁ情を持ったら最後よ。あんたはよかったな。鬼に殺されなくて。相当いい男なのかな」
須藤は苦笑いする。
シバはそんな彼の背中をたたいた。
「いや、あんたが本当の「鬼」だからな」
須藤は目を大きく見開いた。
そんな二人に割り入ったのは、いかつい大柄な男。瀧本というベテラン刑事だ。横には彼のバディで若い新人刑事の冬月もいる。
穏やかな景色とは相反する向こう側には多くのパトカーと、けたたましいサイレンの音。高台からは景色が一望できるため観光客も多く、野次馬も多くいた。
「瀧本さん、はやく連行しましょう、このままだと野次馬が増えて道が混雑します」
「そだな」
と瀧本は女性警察官を呼び、二人の女性警官に晴海は連れていかれる。
「この野郎! お前らは鬼か! 私たちを引き剥がすなんて!!!」
須藤の腕の中で涙を流していた美しい彼女の姿は一変、鬼のように顔を真っ赤になっていた。狂うかのように叫ぶ彼女の声は周りに響く。
「鬼の本性、だな」
瀧本は役目は終わったと、冬月にあとはよろしく、とタバコを吸いに行った。残された須藤は晴海の姿を見て呆然とし、もう見ぬまいと景色の方に体を向けた。
「あ、須藤さん。通報ありがとうございました。あなたはあの鬼に殺されなくてよかったですね」
と、刑事のわりには口が悪い冬月に対して、須藤はハア、としか言えなかった。
鬼、この数ヶ月で連続して起きた無差別殺人事件。
男女合わせて五人。子供が一人含まれていた。
2番目の被害者が死を前に「オニ」とダイイングメッセージを残して死んだ。
それを嗅ぎつけたマスコミがそれを報道し、世間では「鬼」が無差別に人を殺しにやってくると、殺害現場周辺は騒然とした。
「四人目の被害者の息子さんがこうして犯人を捕まえてくれましからね、すごい執念ですね。」
「いえ……まさか、恋人の晴海が母を……それ以外にも何人か殺したなんて。驚きですよ。
」
須藤は先月末に母親を「鬼」である晴海に殺されたばかりだ。捜査により晴海の犯行とわかり彼女の行方を警察は追っていた。
晴海は恋人である須藤に旅行へ行きたいと言って彼を利用して逃げていたようだが、晴海が指名手配された時に須藤は通報し、この高台に晴海を連れて行き警察を待っていたのだ。
「いい景色やなー。今度彼女と遊びに来ようかな」
冬月はタバコを取り出して須藤にもどうか?と差し出すが須藤は首を横に振った。
「ここは二人の思い出の場所です。最後の場所はここが良いかなと」
「そう……ロマンチックなことするんやね」
冬月が笑うと、須藤もようやく笑う。晴海を乗せたパトカーが去っていく。
「もう未練はないの?」
「……無いと言ったら嘘になりますね。素敵な女性でした」
「鬼、ですよ?彼女は」
「ですけどね……」
「……好きな男の前では鬼も、ただの女か。男女ってさぁ情を持ったら最後よ。あんたはよかったな。鬼に殺されなくて。相当いい男なのかな」
須藤は苦笑いする。
シバはそんな彼の背中をたたいた。
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