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サンダルでダッシュ!
サンダルで再び
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◆◆◆
数年後、本屋に立ち寄ると
「モラハラ男の呪縛から抜け出しました」
というタイトルの本がベストセラー1位として山積みされていた。
著者はあの時の被害者の女性だった清海さんだった。写真も載っていたがあの頃のボサボサな姿から綺麗な女性として写っていた。ちゃんと化粧すればいい女じゃん。俺の見る目はあったな。
他にも
「毒親からの脱出」
という本も出したようで2冊とも売れているようだ。赤裸々た実体験、イラストや漫画でわかりやすく書かれてあるのもあるだろう。
あれから捜査していくにつれて真相が分かってきた。
彼女が交際相手から暴力を受けていたのは本当であった。しかしそれは殴る蹴るといった身体暴力ではなくて、言葉による精神的暴力だった。
市役所の女性センターに相談をしに行ったが話を聞いてもらうだけで解決にはならず、匿って欲しかった彼女は何度も訴えても受理されなかった。実家の親はあてにしたくない、迷惑をかけたくないと言ったが実家があるなら実家に逃げなさい、と。
また警察にも相談していたことも判明したが言葉による暴力は証拠が無いため保護対象にはならなかった。仕方なく実家に戻また彼女を守るが一心に両親は彼女からスマホを取り上げ、家からも出させようとしなかった。
本に
「昔から一人娘を大事に大事にという思いが強くなり過保護で過干渉になってしまった。そのせいで疎遠になった。やりすぎたと反省はしているが最愛の娘だ。辛い思いをさせたくはない。だからあの時は私たちのもとに戻ってきた以上、必死に守るしかなかった。だが反対にそれが娘の精神を病み、錯乱してしまった。申し訳なかった」
と父親は語っている文章があった。
彼女の交際相手は窃盗と詐欺の容疑で捕まった。それらの罪は認めたが、彼女への精神的暴力をしたことはいまだに認めてはいない。
本によると清海さんは退院後、数ヶ月で再び逃げた。今度は警察に逃げ込んだようだ。いくつかの音声の録音と言葉の暴力のメモを持ち込み。
そして保護をされ、逃げながらも彼からされたことを書き綴りそれをブログに載せて反響があり書籍化されたようだ。
あの時俺はが違和感を感じていたのは的中していたのか。
今は交際相手の男は牢屋だがいつか出てくるであろう。彼女は本名に、顔まで出してよかったのだろうか。でも今の彼女は大丈夫なんだろう。きっと。
でもいまだに精神的暴力で苦しむ人は多いし、逃げ場も少ない。法の制度も無い。彼女は逃げられた良い例だ。
警察では何もできない、それに俺は今警察辞めているからな。話だけは聞けるが。こんな俺に話してどうなるのやら。
そういえば本の中に
「イケメンの刑事さんからもらったサンダル、逃げる時にこれ履いて走った」
と書かれていたのだが、俺のことだろうか。サンダル、奮発してよかった。滑りにくくて走りやすいやつ買ったんだよ。
てか……イケメン、ねぇ。そっと本を戻した。
終
数年後、本屋に立ち寄ると
「モラハラ男の呪縛から抜け出しました」
というタイトルの本がベストセラー1位として山積みされていた。
著者はあの時の被害者の女性だった清海さんだった。写真も載っていたがあの頃のボサボサな姿から綺麗な女性として写っていた。ちゃんと化粧すればいい女じゃん。俺の見る目はあったな。
他にも
「毒親からの脱出」
という本も出したようで2冊とも売れているようだ。赤裸々た実体験、イラストや漫画でわかりやすく書かれてあるのもあるだろう。
あれから捜査していくにつれて真相が分かってきた。
彼女が交際相手から暴力を受けていたのは本当であった。しかしそれは殴る蹴るといった身体暴力ではなくて、言葉による精神的暴力だった。
市役所の女性センターに相談をしに行ったが話を聞いてもらうだけで解決にはならず、匿って欲しかった彼女は何度も訴えても受理されなかった。実家の親はあてにしたくない、迷惑をかけたくないと言ったが実家があるなら実家に逃げなさい、と。
また警察にも相談していたことも判明したが言葉による暴力は証拠が無いため保護対象にはならなかった。仕方なく実家に戻また彼女を守るが一心に両親は彼女からスマホを取り上げ、家からも出させようとしなかった。
本に
「昔から一人娘を大事に大事にという思いが強くなり過保護で過干渉になってしまった。そのせいで疎遠になった。やりすぎたと反省はしているが最愛の娘だ。辛い思いをさせたくはない。だからあの時は私たちのもとに戻ってきた以上、必死に守るしかなかった。だが反対にそれが娘の精神を病み、錯乱してしまった。申し訳なかった」
と父親は語っている文章があった。
彼女の交際相手は窃盗と詐欺の容疑で捕まった。それらの罪は認めたが、彼女への精神的暴力をしたことはいまだに認めてはいない。
本によると清海さんは退院後、数ヶ月で再び逃げた。今度は警察に逃げ込んだようだ。いくつかの音声の録音と言葉の暴力のメモを持ち込み。
そして保護をされ、逃げながらも彼からされたことを書き綴りそれをブログに載せて反響があり書籍化されたようだ。
あの時俺はが違和感を感じていたのは的中していたのか。
今は交際相手の男は牢屋だがいつか出てくるであろう。彼女は本名に、顔まで出してよかったのだろうか。でも今の彼女は大丈夫なんだろう。きっと。
でもいまだに精神的暴力で苦しむ人は多いし、逃げ場も少ない。法の制度も無い。彼女は逃げられた良い例だ。
警察では何もできない、それに俺は今警察辞めているからな。話だけは聞けるが。こんな俺に話してどうなるのやら。
そういえば本の中に
「イケメンの刑事さんからもらったサンダル、逃げる時にこれ履いて走った」
と書かれていたのだが、俺のことだろうか。サンダル、奮発してよかった。滑りにくくて走りやすいやつ買ったんだよ。
てか……イケメン、ねぇ。そっと本を戻した。
終
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