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第二章
第七話
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「……えっ、芹香が帰ってきた?」と、店の掃除中に郁弥兄ちゃんに話すと、彼も芹香さんの帰国を全く知らなかったようだ。
「電話番号やメールアドレスは知らないし、にしても柳と同じ時期に帰国か……まぁ、この昨今のご時世もあるからなぁ。成美は嬉しいだろう」
ドキッとした。やっぱり郁弥お兄ちゃんにはバレてたか……。
でも、連絡先を知らないの?! それよりも……
「ま、まぁね」
と照れて答えるしかないじゃん。
「……仲良かったもんな、2人は。姉妹のようで」
「お姉ちゃんみたいなもんよ」
「……」
両親はもちろんいるけど、2人とも音楽関係の仕事をしていて、全国各地のアーティストのツアーについて行って楽器のメンテナンスなどをしている。我が血統は音楽が好きなのだ。
だから、わたしもギターなんぞやりたくなって、それがご縁でバンドのメンバーや芹香さんにも会えたし、ギター好きな幸太とも仲良くなれた。
「ういーす、練習すっぞ!」
と、海斗と大貴くんが店にやってきた。
「曲も候補絞ったから、成美ちゃんの歌いやすいのを選んで」
と、候補曲のリストを見て、歌いやすいものや結婚式向けの曲を絞っていく。
ああ、2人も芹香さんが帰ってきたことを知ったら、どんな反応するのかな。
「なあ、2人は芹香の電話番号やメールアドレスを知ってる?」
と、郁弥に聞く。
「知らないよ。海斗は? 幼馴染だろ」
「俺も知らねぇよ。こっちが聞きたい。てか、郁弥の方こそ……。てか、なんだよ、いきなり芹香のこと」
やはり、わたし以外誰も手紙なんてもらってなかったのだろう。不定期に送ってくれた手紙。なんか優越感。
「こんにちは!」と、あれ、幸太。幸太はファーストフードのバイトのはず。
「曲決めるって成美から聞いたから来ました」
「おうおうきた、成美ちゃんの彼氏ー」
大貴くん!
「えっ……」
「お似合いじゃん」
海斗くんまで! そんな関係じゃないもん。
「早く演目決めて高校生は先に返してあげましょうよ」
郁弥お兄ちゃん、ナイスアシスト……。
……幸太の方見たら少し顔が赤かった。気のせい、かな。
大人たちはからかわないでよ。
わたしが好きなのは芹香さん、なの。
「電話番号やメールアドレスは知らないし、にしても柳と同じ時期に帰国か……まぁ、この昨今のご時世もあるからなぁ。成美は嬉しいだろう」
ドキッとした。やっぱり郁弥お兄ちゃんにはバレてたか……。
でも、連絡先を知らないの?! それよりも……
「ま、まぁね」
と照れて答えるしかないじゃん。
「……仲良かったもんな、2人は。姉妹のようで」
「お姉ちゃんみたいなもんよ」
「……」
両親はもちろんいるけど、2人とも音楽関係の仕事をしていて、全国各地のアーティストのツアーについて行って楽器のメンテナンスなどをしている。我が血統は音楽が好きなのだ。
だから、わたしもギターなんぞやりたくなって、それがご縁でバンドのメンバーや芹香さんにも会えたし、ギター好きな幸太とも仲良くなれた。
「ういーす、練習すっぞ!」
と、海斗と大貴くんが店にやってきた。
「曲も候補絞ったから、成美ちゃんの歌いやすいのを選んで」
と、候補曲のリストを見て、歌いやすいものや結婚式向けの曲を絞っていく。
ああ、2人も芹香さんが帰ってきたことを知ったら、どんな反応するのかな。
「なあ、2人は芹香の電話番号やメールアドレスを知ってる?」
と、郁弥に聞く。
「知らないよ。海斗は? 幼馴染だろ」
「俺も知らねぇよ。こっちが聞きたい。てか、郁弥の方こそ……。てか、なんだよ、いきなり芹香のこと」
やはり、わたし以外誰も手紙なんてもらってなかったのだろう。不定期に送ってくれた手紙。なんか優越感。
「こんにちは!」と、あれ、幸太。幸太はファーストフードのバイトのはず。
「曲決めるって成美から聞いたから来ました」
「おうおうきた、成美ちゃんの彼氏ー」
大貴くん!
「えっ……」
「お似合いじゃん」
海斗くんまで! そんな関係じゃないもん。
「早く演目決めて高校生は先に返してあげましょうよ」
郁弥お兄ちゃん、ナイスアシスト……。
……幸太の方見たら少し顔が赤かった。気のせい、かな。
大人たちはからかわないでよ。
わたしが好きなのは芹香さん、なの。
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