役立たずと言われ追放された支援職の[罠師]だけど最強を目指します!

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1章

謎の青年

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「あれ....ここは..?」
窓から陽が射し込み小鳥の囀ずりが聞こえてくる。
少し開いているのか爽やかな風がふわりと肌を心地よく撫でる

しばらくぼーっとしていたが段々と目が冴えてくると昨日の事を思いだす


エルフの里を飛び出し人間の国で冒険者として生活するため里から近い距離にあり《三大国》に数えられる国力を誇るサンプトランド王国に訪れた矢先
今晩泊まる宿を探すため歩き回っていると見るからに悪そうな奴らに捕まってしまった
けれどこの時私は油断していたんだ。何せエルフの里では剣も魔法も私が一番だったから


何かあっても対象出来ると思ったら何かの薬を飲まされて私は必死に抵抗したけど全然ダメだった
男達は私が抵抗出来なくなっているのが分かると気持ちの悪い笑顔を浮かべて私を犯そうとしている

ああ...もうダメだ...人間の国とはこんなにも恐ろしい所だったのかと身体の痺れのせいで涙すら流せず絶望しているといつの間にか一人明らかに風貌の違う青年が音も無く現れた。
いや、と表現した方が感覚としては正しい
謎の青年によってあっという間に男達は倒されてゆく
リーダーと呼ばれていた男は全く気がついていない様子だったけど私は辛うじて見えていた

見たことのない黒くて細い片刃の剣を凄まじい速さでまるで一本の糸をなぞるように正確に寸分の狂いもなく振る
余りにも美し過ぎて切られた本人は気が付かない程の技巧

見た感じまだ若く見えるが一体この青年は何者なのだろう



--結局その後意識を失ってしまったのね
となると、ここへはあの青年が運んでくれたのかな?
って事はあの青年の家?


キョロキョロと色んな場所を眺めあることに気が付く
「あれ....この服私のじゃない.........えっ!?まさか!?!?」
一度考えだすとそうとしか思えずついつい想像してしまい勝手に慌ててジタバタしているとドアの隙間から一人の女性が顔を覗かせていた

「なんだか音がしたから見にきたけど、目が覚めたのね!アノクちゃんが突然女の子を連れてくるものだからおばちゃん最初は勘違いしちゃったんだけど良かったわぁ~」

アノク...ちゃん?昨日の青年の事だろうか、いやでもちゃんだから女の子?
それより今の見られてたよね完全に....凄く恥ずかしい...

「スミマセンお見苦しい所を....それより貴方は?」


「私はここ、宿屋《羽休め亭》の店主のカルメよ。よろしくね~」


「そうでしたか...カルメさんお世話になります
私はリリーベル・ローズ・サバンシアです。それにしてもカルメさんはお若いのに店主をされてるとは凄いですね!」
カルメさんは若干紫がかった黒髪が特徴のおっとり系の美人だ
私達エルフ族はよく美形が多いって言われるけどそんなエルフから見ても羨ましいと感じてしまう程に綺麗だが見た感じ20代前半くらいに見えるし実は苦労人なんだろうなと勝手に想像を膨らませるが返ってきた言葉が衝撃だった



「あらやだ!お上手ね!私なんて39のおばちゃんよもう!」
衝撃的過ぎて顎が外れるかと思うほど口を開けてしまったが聞いたらなんと子供が2人いるらしい
もしやエルフ族のように20代くらいで老化が止まる種族なのかと疑ったがただの人族だと言われてまた意識が飛びかけた


「そ....そう言えば宿代はおいくらでしたか?お支払い致します」


「うふふ~大丈夫よ!もうアノクちゃんに貰ってるから!因みに朝・夕の食事込みの料金で貰ってるからもし朝食食べるなら降りてきてね!」

なんとアノクさんは代金を既に払ってくれていたみたいだ
これは次にあった時にお返ししなくては...

「ちなみにこちらの宿泊代はいくらですか?」


「宿泊代?一泊900マニーよ食事付きだと1200マニーになっちゃうけど」


「成る程....ありがとうございます」
マニー?しまった聞いた事のない通貨だもしや人間の国だと場所によって通貨が変わるのか?
うーん....と私が悩んでいると何か別の事で勘違いしたらしい
「あ、その服?ごめんなさいねリリーベルちゃんの服ボロボロで色々見えちゃってたから私が勝手に着せちゃったのおばさんのだからちょっと若い子には合わなかったかも...」
ちょっとションボリしてしまったカルメさんに誤解だと慌ててフォローを入れてそのまま朝食を取るため下の階へと降りてゆく





ちなみにカルメさんは服のセンスも良いようでシンプルながら飽きのこないお洒落なデザインのワンピースで本人はもう着ないためそんなんで良ければ貰ってと言われたので有りがたく頂戴しました


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