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【第28話 港で捕まった男】
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【第28話 港で捕まった男】
北方港。
昼の港は今日も賑わっていた。
船員の怒鳴り声。
荷物を運ぶ掛け声。
市場では香料と魚の匂いが混ざっている。
だがその喧騒の中で、港の警備兵たちは静かに動いていた。
新王太子アシュレイの命令だ。
「不審者を探せ」
兵士たちは港のあちこちを巡回していた。
倉庫の裏。
荷物置き場。
人通りの少ない裏路地。
その時だった。
一人の兵士が立ち止まる。
倉庫の影に、数人の男。
旅人の格好。
だが――様子がおかしい。
周囲を警戒している。
兵士は低い声で言った。
「……動くな」
男たちが振り向く。
兵士は続けた。
「顔を見せろ」
沈黙。
その瞬間だった。
「走れ!」
男の一人が叫ぶ。
男たちは一斉に逃げ出した。
「逃げたぞ!」
警備兵の叫びが港に響く。
一斉に兵士が動く。
路地を走る足音。
荷物の山を飛び越える男たち。
だが北方港は迷路のようだ。
倉庫。
柵。
積み上げられた樽。
逃げ道は多くない。
一人が兵士に捕まる。
「くっ!」
男が抵抗する。
兵士が腕を押さえつける。
その拍子に――
フードが外れた。
兵士は息をのんだ。
「……え?」
見覚えのある顔。
王宮の肖像画で何度も見た顔。
「カルディオン……?」
兵士は呟く。
「元王太子……?」
周囲の兵士たちも固まった。
その頃。
港の執務室。
私は帳簿を確認していた。
アルフレッドが横で説明する。
「今月の交易量ですが――」
扉が勢いよく開いた。
兵士が飛び込んでくる。
「お嬢様!」
私は顔を上げた。
「どうしました?」
兵士は息を切らしている。
「不審者を捕らえました」
「それで?」
兵士は言った。
「……元王太子です」
部屋が静まり返った。
アルフレッドの手が止まる。
私はゆっくり言った。
「誰ですって?」
兵士は繰り返す。
「カルディオン殿下です」
私は椅子に深く座り直した。
そして小さくため息をつく。
「……本当に来たのね」
その時。
アシュレイが部屋に入ってくる。
「捕まったか」
私は頷く。
「ええ」
アシュレイは兵士に聞いた。
「今どこだ」
「港の詰所です」
「逃げようとしましたので拘束しています」
アシュレイは腕を組む。
「面倒なことになったな」
私は静かに言った。
「王族ですから」
「普通の罪人扱いはできません」
アシュレイは苦笑する。
「だが誘拐未遂だぞ」
私は少し考えた。
そして言う。
「……連れてきてください」
兵士が驚く。
「ここへですか?」
「ええ」
アシュレイが私を見る。
「会うつもりか」
私は頷いた。
「これで終わらせます」
しばらくして。
扉が開いた。
兵士に囲まれた男が入ってくる。
手は拘束されている。
だが目は鋭い。
カルディオン。
元王太子。
彼は私を見ると、笑った。
「……アリアベル」
私は静かに答えた。
「お久しぶりです」
カルディオンは言った。
「迎えに来た」
部屋の空気が凍る。
私は少し首を傾げた。
「迎えに?」
カルディオンは頷く。
「お前は俺の婚約者だ」
「王太子妃になるはずだった」
アシュレイが冷たい声で言う。
「元王太子」
「ここは公爵領だ」
「勝手な行動は許されない」
カルディオンは睨み返す。
「弟が偉そうに」
だが私は口を開いた。
「カルディオン殿下」
彼は私を見る。
私は静かに言った。
「ここは王都ではありません」
沈黙。
そして。
港の外では船の鐘が鳴っていた。
すべての因縁が――
今、ここで決着を迎えようとしていた。
北方港。
昼の港は今日も賑わっていた。
船員の怒鳴り声。
荷物を運ぶ掛け声。
市場では香料と魚の匂いが混ざっている。
だがその喧騒の中で、港の警備兵たちは静かに動いていた。
新王太子アシュレイの命令だ。
「不審者を探せ」
兵士たちは港のあちこちを巡回していた。
倉庫の裏。
荷物置き場。
人通りの少ない裏路地。
その時だった。
一人の兵士が立ち止まる。
倉庫の影に、数人の男。
旅人の格好。
だが――様子がおかしい。
周囲を警戒している。
兵士は低い声で言った。
「……動くな」
男たちが振り向く。
兵士は続けた。
「顔を見せろ」
沈黙。
その瞬間だった。
「走れ!」
男の一人が叫ぶ。
男たちは一斉に逃げ出した。
「逃げたぞ!」
警備兵の叫びが港に響く。
一斉に兵士が動く。
路地を走る足音。
荷物の山を飛び越える男たち。
だが北方港は迷路のようだ。
倉庫。
柵。
積み上げられた樽。
逃げ道は多くない。
一人が兵士に捕まる。
「くっ!」
男が抵抗する。
兵士が腕を押さえつける。
その拍子に――
フードが外れた。
兵士は息をのんだ。
「……え?」
見覚えのある顔。
王宮の肖像画で何度も見た顔。
「カルディオン……?」
兵士は呟く。
「元王太子……?」
周囲の兵士たちも固まった。
その頃。
港の執務室。
私は帳簿を確認していた。
アルフレッドが横で説明する。
「今月の交易量ですが――」
扉が勢いよく開いた。
兵士が飛び込んでくる。
「お嬢様!」
私は顔を上げた。
「どうしました?」
兵士は息を切らしている。
「不審者を捕らえました」
「それで?」
兵士は言った。
「……元王太子です」
部屋が静まり返った。
アルフレッドの手が止まる。
私はゆっくり言った。
「誰ですって?」
兵士は繰り返す。
「カルディオン殿下です」
私は椅子に深く座り直した。
そして小さくため息をつく。
「……本当に来たのね」
その時。
アシュレイが部屋に入ってくる。
「捕まったか」
私は頷く。
「ええ」
アシュレイは兵士に聞いた。
「今どこだ」
「港の詰所です」
「逃げようとしましたので拘束しています」
アシュレイは腕を組む。
「面倒なことになったな」
私は静かに言った。
「王族ですから」
「普通の罪人扱いはできません」
アシュレイは苦笑する。
「だが誘拐未遂だぞ」
私は少し考えた。
そして言う。
「……連れてきてください」
兵士が驚く。
「ここへですか?」
「ええ」
アシュレイが私を見る。
「会うつもりか」
私は頷いた。
「これで終わらせます」
しばらくして。
扉が開いた。
兵士に囲まれた男が入ってくる。
手は拘束されている。
だが目は鋭い。
カルディオン。
元王太子。
彼は私を見ると、笑った。
「……アリアベル」
私は静かに答えた。
「お久しぶりです」
カルディオンは言った。
「迎えに来た」
部屋の空気が凍る。
私は少し首を傾げた。
「迎えに?」
カルディオンは頷く。
「お前は俺の婚約者だ」
「王太子妃になるはずだった」
アシュレイが冷たい声で言う。
「元王太子」
「ここは公爵領だ」
「勝手な行動は許されない」
カルディオンは睨み返す。
「弟が偉そうに」
だが私は口を開いた。
「カルディオン殿下」
彼は私を見る。
私は静かに言った。
「ここは王都ではありません」
沈黙。
そして。
港の外では船の鐘が鳴っていた。
すべての因縁が――
今、ここで決着を迎えようとしていた。
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