婚約破棄上等! 極道お嬢、異世界で公爵令嬢に転向!? 仁義でざまぁしてみせますわ!

ふわふわ

文字の大きさ
15 / 25
第4章 新たな出会い

セクション2:馬車での価値観の共有

しおりを挟む
 王都を離れ、街道をひた走る馬車の中。
 窓からは風に揺れる麦畑や遠くの森が見える。王都の喧騒から解き放たれた静けさに、思わず深い息を吐いた。

「やっぱり空気が違うな。王都は息が詰まるぜ」

 俺が肩を回しながらぼやくと、向かいに座るアレクサンダーが小さく笑った。
「確かに。王都は権力と欲望で満ちていますから。……だからこそ、辺境に生きる人々の素朴さが私は好きなのです」

「ふん。いいこと言うじゃねえか」
 俺は足を組み直し、グラスに注がれた水を一口飲む。
「王都の奴らは、平気で嘘をついて、平気で裏切る。筋も義理もねえ。……極道の世界と同じだな」

 ぽろっと口にしたが、アレクサンダーは真剣に頷いた。
「ええ。だからこそ“信義”こそが最も尊いのだと思います。私は騎士として、裏切りは許せない。仲間を売る者も、約束を破る者も」

 俺の胸がちくりとした。
 ……なんだ、この感覚。
 義理を重んじる極道の価値観と、騎士の騎士道精神が――同じ言葉で重なったような気がした。

「……アレクサンダー、お前、ほんとに王都の政治が嫌いなんだな」

「はい。権力のために人を道具にする。あれは騎士のすることではない。……だからこそ、辺境で、信頼と誠実を基盤に領地を守りたいのです」

 真っ直ぐな瞳に見つめられ、思わず心臓が跳ねた。
 俺は顔をそらし、窓の外を眺めながら鼻で笑った。

「……そういうとこ、嫌いじゃねえな。筋を通す奴は信用できる」

「ローラ様……」

 アレクサンダーの表情がわずかに和らぐ。
 それを見て、俺は胸の奥に熱いものを感じた。

「お前は騎士だから“誓い”だの“信義”だの言うんだろうが、俺の世界じゃ“筋を通す”って言葉になる。……でも、根っこは同じだな」

「……ええ。驚きました。ローラ様と私の考え方が、ここまで一致するとは」

 沈黙。
 馬車の車輪がごとごとと鳴り響く。
 その音に紛れるように、俺の心臓の鼓動が速まっていくのを感じた。

 ……やべえな。
 王子の冷たい目しか知らなかったから余計に、こいつの真っ直ぐさが眩しくて仕方ねえ。

「……アレクサンダー」

「はい」

「理想の女って、どんなだ?」

 自分でも唐突すぎる質問に驚いた。だが口は止まらなかった。

 彼は少し考え込み、そしてはっきりと答えた。
「強い女性です。困難に立ち向かい、己を曲げない勇気を持つ人」

 胸の奥が跳ねた。
 ……それって、完全に俺のことじゃねえか。

「そ、そうか……そいつはいい答えだな」
 わざと気楽そうに笑ったが、心臓は爆発しそうだった。

「私にとって、ローラ様は……まさにそのようなお方です」

 アレクサンダーの真剣な眼差し。
 それを直視できず、俺は窓の外に視線を逸らした。

 ――なんだよこれ。
 俺、まさか本気で……。

 胸の奥に、これまで感じたことのないざわめきが広がっていた。


---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!

satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。  私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。  私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。  お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。  眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。 御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。 「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」 自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。

毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

婚約破棄されたので辺境伯令嬢は自由に生きます~冷酷公爵の過保護が過ぎて困ります!~

sika
恋愛
「君のような女と婚約していたなど、恥だ!」 公爵嫡男に突然婚約を破棄された辺境伯令嬢リーゼは、すべてを捨てて故郷の領地へ戻る決意をした。 誰にも期待せず、ひっそりと生きようとするリーゼの前に現れたのは、冷酷と噂される隣国の公爵・アルヴィン。 彼はなぜかリーゼにだけ穏やかで優しく、彼女を守ることに執着していて――。 「君はもう誰にも踏みにじられない。俺が保証しよう」 呪いのような過去を断ち切り、真実の愛を掴むざまぁ×溺愛ラブストーリー!

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

処理中です...