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第4章 新たな出会い
セクション2:馬車での価値観の共有
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王都を離れ、街道をひた走る馬車の中。
窓からは風に揺れる麦畑や遠くの森が見える。王都の喧騒から解き放たれた静けさに、思わず深い息を吐いた。
「やっぱり空気が違うな。王都は息が詰まるぜ」
俺が肩を回しながらぼやくと、向かいに座るアレクサンダーが小さく笑った。
「確かに。王都は権力と欲望で満ちていますから。……だからこそ、辺境に生きる人々の素朴さが私は好きなのです」
「ふん。いいこと言うじゃねえか」
俺は足を組み直し、グラスに注がれた水を一口飲む。
「王都の奴らは、平気で嘘をついて、平気で裏切る。筋も義理もねえ。……極道の世界と同じだな」
ぽろっと口にしたが、アレクサンダーは真剣に頷いた。
「ええ。だからこそ“信義”こそが最も尊いのだと思います。私は騎士として、裏切りは許せない。仲間を売る者も、約束を破る者も」
俺の胸がちくりとした。
……なんだ、この感覚。
義理を重んじる極道の価値観と、騎士の騎士道精神が――同じ言葉で重なったような気がした。
「……アレクサンダー、お前、ほんとに王都の政治が嫌いなんだな」
「はい。権力のために人を道具にする。あれは騎士のすることではない。……だからこそ、辺境で、信頼と誠実を基盤に領地を守りたいのです」
真っ直ぐな瞳に見つめられ、思わず心臓が跳ねた。
俺は顔をそらし、窓の外を眺めながら鼻で笑った。
「……そういうとこ、嫌いじゃねえな。筋を通す奴は信用できる」
「ローラ様……」
アレクサンダーの表情がわずかに和らぐ。
それを見て、俺は胸の奥に熱いものを感じた。
「お前は騎士だから“誓い”だの“信義”だの言うんだろうが、俺の世界じゃ“筋を通す”って言葉になる。……でも、根っこは同じだな」
「……ええ。驚きました。ローラ様と私の考え方が、ここまで一致するとは」
沈黙。
馬車の車輪がごとごとと鳴り響く。
その音に紛れるように、俺の心臓の鼓動が速まっていくのを感じた。
……やべえな。
王子の冷たい目しか知らなかったから余計に、こいつの真っ直ぐさが眩しくて仕方ねえ。
「……アレクサンダー」
「はい」
「理想の女って、どんなだ?」
自分でも唐突すぎる質問に驚いた。だが口は止まらなかった。
彼は少し考え込み、そしてはっきりと答えた。
「強い女性です。困難に立ち向かい、己を曲げない勇気を持つ人」
胸の奥が跳ねた。
……それって、完全に俺のことじゃねえか。
「そ、そうか……そいつはいい答えだな」
わざと気楽そうに笑ったが、心臓は爆発しそうだった。
「私にとって、ローラ様は……まさにそのようなお方です」
アレクサンダーの真剣な眼差し。
それを直視できず、俺は窓の外に視線を逸らした。
――なんだよこれ。
俺、まさか本気で……。
胸の奥に、これまで感じたことのないざわめきが広がっていた。
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窓からは風に揺れる麦畑や遠くの森が見える。王都の喧騒から解き放たれた静けさに、思わず深い息を吐いた。
「やっぱり空気が違うな。王都は息が詰まるぜ」
俺が肩を回しながらぼやくと、向かいに座るアレクサンダーが小さく笑った。
「確かに。王都は権力と欲望で満ちていますから。……だからこそ、辺境に生きる人々の素朴さが私は好きなのです」
「ふん。いいこと言うじゃねえか」
俺は足を組み直し、グラスに注がれた水を一口飲む。
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ぽろっと口にしたが、アレクサンダーは真剣に頷いた。
「ええ。だからこそ“信義”こそが最も尊いのだと思います。私は騎士として、裏切りは許せない。仲間を売る者も、約束を破る者も」
俺の胸がちくりとした。
……なんだ、この感覚。
義理を重んじる極道の価値観と、騎士の騎士道精神が――同じ言葉で重なったような気がした。
「……アレクサンダー、お前、ほんとに王都の政治が嫌いなんだな」
「はい。権力のために人を道具にする。あれは騎士のすることではない。……だからこそ、辺境で、信頼と誠実を基盤に領地を守りたいのです」
真っ直ぐな瞳に見つめられ、思わず心臓が跳ねた。
俺は顔をそらし、窓の外を眺めながら鼻で笑った。
「……そういうとこ、嫌いじゃねえな。筋を通す奴は信用できる」
「ローラ様……」
アレクサンダーの表情がわずかに和らぐ。
それを見て、俺は胸の奥に熱いものを感じた。
「お前は騎士だから“誓い”だの“信義”だの言うんだろうが、俺の世界じゃ“筋を通す”って言葉になる。……でも、根っこは同じだな」
「……ええ。驚きました。ローラ様と私の考え方が、ここまで一致するとは」
沈黙。
馬車の車輪がごとごとと鳴り響く。
その音に紛れるように、俺の心臓の鼓動が速まっていくのを感じた。
……やべえな。
王子の冷たい目しか知らなかったから余計に、こいつの真っ直ぐさが眩しくて仕方ねえ。
「……アレクサンダー」
「はい」
「理想の女って、どんなだ?」
自分でも唐突すぎる質問に驚いた。だが口は止まらなかった。
彼は少し考え込み、そしてはっきりと答えた。
「強い女性です。困難に立ち向かい、己を曲げない勇気を持つ人」
胸の奥が跳ねた。
……それって、完全に俺のことじゃねえか。
「そ、そうか……そいつはいい答えだな」
わざと気楽そうに笑ったが、心臓は爆発しそうだった。
「私にとって、ローラ様は……まさにそのようなお方です」
アレクサンダーの真剣な眼差し。
それを直視できず、俺は窓の外に視線を逸らした。
――なんだよこれ。
俺、まさか本気で……。
胸の奥に、これまで感じたことのないざわめきが広がっていた。
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