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第2話:可憐な少女の登場
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第2話:可憐な少女の登場
王宮の大広間は、華やかな光と音に満ちていた。
シャンデリアのクリスタルが無数の燭台の炎を反射し、床にきらめく星を散らす。
貴族たちのドレスが舞い、優雅なワルツが次々と繰り広げられる。
私はエティオス殿下と並んで立っていたが、彼の視線はすでに別の場所へ向いていた。
会場の一角、柱の陰に近い場所に、ひっそりと佇む少女。
茶色の髪をゆるく三つ編みにし、質素な水色のドレスを着ている。
宝石もほとんどつけていないのに、その大きな瞳と柔らかな微笑みが、まるで光を放っているように見えた。
ソアラ・リンドール。
ゲームの主人公。平民出身の癒し魔法を持つ「聖女候補」。
原作では、この夜会でエティオスに「運命の出会い」を果たし、悪役令嬢である私を追い落とすきっかけを作る。
(やっぱり、来たわね……)
私は内心で舌打ちしつつ、表情は穏やかな微笑みを保った。
前世の知識があるからこそ、冷静でいられる。
原作ルーテシアなら、ここで嫉妬に駆られてソアラに嫌がらせを始めるはず。
でも、私は違う。絶対にフラグは立てない。
「お嬢様、あの娘は一体……?」
セレナが小声で囁いた。彼女は私のすぐ後ろに控え、メイドとして同行している。
「平民出身の癒し魔法使い、ソアラ・リンドールさんよ。王宮に招かれた聖女候補らしいわ」
私はさりげなく説明しながら、グラスを傾けた。
シャンパンの泡が静かに立ち上る。
その時、エティオスが私の腕を軽く引いた。
「ルーテシア、ちょっと挨拶に行ってくる。すぐに戻るから」
彼の声はいつもより少し高揚していた。碧い瞳が、明らかにソアラを捉えている。
「……ええ、構いませんわ。殿下」
私は優雅に微笑み、腕を離した。
心の中では、ゲームのシナリオが高速で再生されている。
この後、エティオスはソアラに声をかけ、彼女の純粋さに心を奪われる。
そして、私のことを「冷たい」「計算高い」と感じ始め、距離を置くようになる。
(でも、私はもうあのルートには乗らない)
私は静かに会場を見渡した。
すると、視線を感じた。
少し離れた場所で、義妹のヴァーソが私を見ていた。
15歳の彼女は、継母の連れ子で、私とは血が繋がっていない。
金髪を巻き髪にし、ピンクのドレスを着て、まるで人形のように可愛らしい。
でも、その瞳はいつも私を敵視している。
ヴァーソはソアラの存在に気づくと、にやりと笑った。
そして、そっとソアラのほうへ近づいていく。
おそらく、原作通り「優しいお姉様」を演じて、ソアラに取り入るつもりだろう。
ヴァーソは原作でも、ヒロインの味方として私を陥れる悪役の一人だった。
(ヴァーソまで動き出したか……)
私は静かに息を吐き、別の貴族令嬢たちと会話を始めた。
話題は新しいドレスの流行や、隣国の使者の噂。
表面上は完璧なお嬢様を演じながら、内心では状況を観察する。
しばらくして、エティオスがソアラと一緒に戻ってきた。
ソアラは少し緊張した様子で、私の前に立った。
「ルーテシア様、初めまして。ソアラ・リンドールと申します。今日はお招きいただき、ありがとうございます」
彼女は深くお辞儀をした。声は震えていて、本当に純粋そうに見える。
でも、私は知っている。
この子が後にどれだけ計算高いかを。
「こちらこそ、ようこそいらっしゃいましたわ。ソアラさん。癒しの魔法をお持ちだと伺いました。素晴らしいことですわね」
私は穏やかに微笑み、手を差し出した。
ソアラは少し驚いた様子で、私の手を握り返す。
「ありがとうございます……ルーテシア様は、本当に美しい方ですね」
その言葉に、エティオスが少し複雑な表情をした。
原作では、ここで私が「平民の分際で」と毒づくシーンだったはず。
でも、私はただ優しく微笑むだけ。
その直後、ヴァーソが駆け寄ってきた。
「お姉様! ソアラさんをご紹介くださるなんて、優しいですね! 私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
ヴァーソは無邪気な笑顔で、私の腕に絡みついてきた。
周囲の貴族たちは「姉妹仲が良い」と微笑んでいるが、私は彼女の演技を見抜いている。
「もちろんよ、ヴァーソ。ソアラさんも、どうぞごゆっくり」
私は三人を残し、静かにその場を離れた。
心の中では、冷ややかな思いが渦巻く。
(みんな、好きにやってちょうだい。私はもう、あなたたちのゲームには付き合わない)
その時、ふと頭に違和感が走った。
前世の記憶が、ちらりとよぎる。
日本のアパートで、深夜にゲームをプレイしていた自分。
疲れた身体で、悪役令嬢のバッドエンドを見て「可哀想だなあ」と呟いていたこと。
(あの時の私、今の私に言ってあげたいわ。
「大丈夫、ちゃんと幸せになれるよ」って)
私はグラスを置き、テラスへ向かった。
夜風が心地よく、星空が広がっている。
王都の喧騒から少し離れて、深呼吸する。
でも、すぐに現実が戻ってきた。
「ルーテシア」
背後からエティオスの声。
振り返ると、彼は少し困惑した表情で立っていた。
「ソアラは……本当に純粋で、優しい子だ。癒しの魔法で、怪我をした使用人をすぐに治してくれた」
「……素晴らしいことですわね」
私は静かに答えた。
エティオスの瞳に、すでにソアラの影が映っているのがわかった。
「ルーテシア、君はいつも完璧だ。でも、時々……冷たく感じるんだ」
その言葉に、私は内心で苦笑した。
(冷たいのは、君がそう思い込んでいるだけよ。
私はただ、壊されないように守っているだけ)
「殿下のお気持ち、わかりますわ。でも、私は私なりに、殿下を支えたいと思っているのです」
私は優しく微笑んだ。
エティオスは少し罪悪感のような表情を浮かべ、黙ってしまった。
その夜、夜会は華やかに続いた。
ソアラは多くの貴族から注目を集め、エティオスは彼女のそばを離れなかった。
ヴァーソは楽しそうに二人に付き従い、私をチラチラと見ている。
私はただ、静かに微笑み続けていた。
(この夜が、すべてのはじまり。
でも、私はもう怖くない。
どんな結末が待っていても、必ず自分の道を切り開いてみせる)
テラスから見える星空に向かって、心の中で誓った。
王宮の大広間は、華やかな光と音に満ちていた。
シャンデリアのクリスタルが無数の燭台の炎を反射し、床にきらめく星を散らす。
貴族たちのドレスが舞い、優雅なワルツが次々と繰り広げられる。
私はエティオス殿下と並んで立っていたが、彼の視線はすでに別の場所へ向いていた。
会場の一角、柱の陰に近い場所に、ひっそりと佇む少女。
茶色の髪をゆるく三つ編みにし、質素な水色のドレスを着ている。
宝石もほとんどつけていないのに、その大きな瞳と柔らかな微笑みが、まるで光を放っているように見えた。
ソアラ・リンドール。
ゲームの主人公。平民出身の癒し魔法を持つ「聖女候補」。
原作では、この夜会でエティオスに「運命の出会い」を果たし、悪役令嬢である私を追い落とすきっかけを作る。
(やっぱり、来たわね……)
私は内心で舌打ちしつつ、表情は穏やかな微笑みを保った。
前世の知識があるからこそ、冷静でいられる。
原作ルーテシアなら、ここで嫉妬に駆られてソアラに嫌がらせを始めるはず。
でも、私は違う。絶対にフラグは立てない。
「お嬢様、あの娘は一体……?」
セレナが小声で囁いた。彼女は私のすぐ後ろに控え、メイドとして同行している。
「平民出身の癒し魔法使い、ソアラ・リンドールさんよ。王宮に招かれた聖女候補らしいわ」
私はさりげなく説明しながら、グラスを傾けた。
シャンパンの泡が静かに立ち上る。
その時、エティオスが私の腕を軽く引いた。
「ルーテシア、ちょっと挨拶に行ってくる。すぐに戻るから」
彼の声はいつもより少し高揚していた。碧い瞳が、明らかにソアラを捉えている。
「……ええ、構いませんわ。殿下」
私は優雅に微笑み、腕を離した。
心の中では、ゲームのシナリオが高速で再生されている。
この後、エティオスはソアラに声をかけ、彼女の純粋さに心を奪われる。
そして、私のことを「冷たい」「計算高い」と感じ始め、距離を置くようになる。
(でも、私はもうあのルートには乗らない)
私は静かに会場を見渡した。
すると、視線を感じた。
少し離れた場所で、義妹のヴァーソが私を見ていた。
15歳の彼女は、継母の連れ子で、私とは血が繋がっていない。
金髪を巻き髪にし、ピンクのドレスを着て、まるで人形のように可愛らしい。
でも、その瞳はいつも私を敵視している。
ヴァーソはソアラの存在に気づくと、にやりと笑った。
そして、そっとソアラのほうへ近づいていく。
おそらく、原作通り「優しいお姉様」を演じて、ソアラに取り入るつもりだろう。
ヴァーソは原作でも、ヒロインの味方として私を陥れる悪役の一人だった。
(ヴァーソまで動き出したか……)
私は静かに息を吐き、別の貴族令嬢たちと会話を始めた。
話題は新しいドレスの流行や、隣国の使者の噂。
表面上は完璧なお嬢様を演じながら、内心では状況を観察する。
しばらくして、エティオスがソアラと一緒に戻ってきた。
ソアラは少し緊張した様子で、私の前に立った。
「ルーテシア様、初めまして。ソアラ・リンドールと申します。今日はお招きいただき、ありがとうございます」
彼女は深くお辞儀をした。声は震えていて、本当に純粋そうに見える。
でも、私は知っている。
この子が後にどれだけ計算高いかを。
「こちらこそ、ようこそいらっしゃいましたわ。ソアラさん。癒しの魔法をお持ちだと伺いました。素晴らしいことですわね」
私は穏やかに微笑み、手を差し出した。
ソアラは少し驚いた様子で、私の手を握り返す。
「ありがとうございます……ルーテシア様は、本当に美しい方ですね」
その言葉に、エティオスが少し複雑な表情をした。
原作では、ここで私が「平民の分際で」と毒づくシーンだったはず。
でも、私はただ優しく微笑むだけ。
その直後、ヴァーソが駆け寄ってきた。
「お姉様! ソアラさんをご紹介くださるなんて、優しいですね! 私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
ヴァーソは無邪気な笑顔で、私の腕に絡みついてきた。
周囲の貴族たちは「姉妹仲が良い」と微笑んでいるが、私は彼女の演技を見抜いている。
「もちろんよ、ヴァーソ。ソアラさんも、どうぞごゆっくり」
私は三人を残し、静かにその場を離れた。
心の中では、冷ややかな思いが渦巻く。
(みんな、好きにやってちょうだい。私はもう、あなたたちのゲームには付き合わない)
その時、ふと頭に違和感が走った。
前世の記憶が、ちらりとよぎる。
日本のアパートで、深夜にゲームをプレイしていた自分。
疲れた身体で、悪役令嬢のバッドエンドを見て「可哀想だなあ」と呟いていたこと。
(あの時の私、今の私に言ってあげたいわ。
「大丈夫、ちゃんと幸せになれるよ」って)
私はグラスを置き、テラスへ向かった。
夜風が心地よく、星空が広がっている。
王都の喧騒から少し離れて、深呼吸する。
でも、すぐに現実が戻ってきた。
「ルーテシア」
背後からエティオスの声。
振り返ると、彼は少し困惑した表情で立っていた。
「ソアラは……本当に純粋で、優しい子だ。癒しの魔法で、怪我をした使用人をすぐに治してくれた」
「……素晴らしいことですわね」
私は静かに答えた。
エティオスの瞳に、すでにソアラの影が映っているのがわかった。
「ルーテシア、君はいつも完璧だ。でも、時々……冷たく感じるんだ」
その言葉に、私は内心で苦笑した。
(冷たいのは、君がそう思い込んでいるだけよ。
私はただ、壊されないように守っているだけ)
「殿下のお気持ち、わかりますわ。でも、私は私なりに、殿下を支えたいと思っているのです」
私は優しく微笑んだ。
エティオスは少し罪悪感のような表情を浮かべ、黙ってしまった。
その夜、夜会は華やかに続いた。
ソアラは多くの貴族から注目を集め、エティオスは彼女のそばを離れなかった。
ヴァーソは楽しそうに二人に付き従い、私をチラチラと見ている。
私はただ、静かに微笑み続けていた。
(この夜が、すべてのはじまり。
でも、私はもう怖くない。
どんな結末が待っていても、必ず自分の道を切り開いてみせる)
テラスから見える星空に向かって、心の中で誓った。
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