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第12話:隣国の影
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第12話:隣国の影
朝の霧がまだ残る中、村の入り口に馬の蹄の音が響いた。
ガヤルドが急いで屋敷に駆け込んできたのは、カフェの準備をしている最中だった。
「お嬢様! 隣国からの視察団だ! レーヴェンシュタイン公爵領の旗印が見える……間違いなく、あの“氷剣公爵”ギャラクシーだ!」
セレナがカップを落としそうになり、マリエッタが目を丸くした。
私は静かにエプロンを外し、窓から外を覗いた。
遠くの道に、黒い馬に跨った一行が近づいてくる。
先頭の男は黒髪を風になびかせ、銀の鎧を纏い、腰に長剣を佩いている。
青みがかった瞳が、遠くからでも鋭く光っているように見えた。
(ついに来たわね……ギャラクシー・ヴァイス・レーヴェンシュタイン)
ゲームの記憶では、彼はサブヒーローの一人。
冷徹で無口、過去の裏切りにより心を閉ざした戦神。
原作ではヒロインにだけ心を開くが、私のルートでは登場すらしない脇役だった。
ガヤルドが緊張した声で続けた。
「二十人ほどの騎士団を連れてる。魔物の増加を調査に来たらしいが……お嬢様の領地が最近目立ってるから、興味を持ったのかもしれねえ」
私は頷き、すぐに指示を出した。
「セレナ、カフェの準備を急いで。マリエッタ、最高級のハーブティーを。ガヤルドさん、村人を落ち着かせて。私が直接出迎えるわ」
村の入り口で、私は一行を迎えた。
優雅に一礼し、穏やかな笑みを浮かべる。
「ようこそ、私の領地へ。ルーテシア・フォン・エルグランドと申します。遠路はるばる、ご苦労様です」
ギャラクシーが馬から降り、私をまっすぐに見た。
氷のような青い瞳。
美しく整った顔立ちだが、表情は一切の感情を許さない冷たさ。
「ギャラクシー・ヴァイス・レーヴェンシュタインだ。魔物の異常発生を調査中だ。この領地が最近、魔物を撃退したと聞いている」
声は低く、抑揚が少ない。
周囲の騎士たちも、無言で整列している。
私は微笑みを崩さず、案内した。
「はい、先日ゴブリンとオークの群れを退けました。どうぞ村へお入りください。お茶でも召し上がりながら、お話ししましょう」
ギャラクシーは一瞬、私を値踏みするように見つめ、頷いた。
カフェの屋台前まで来ると、村人たちが緊張しながらも挨拶した。
子供たちが少し怖がって隠れる中、私はギャラクシー一行に席を勧めた。
「こちらは私の領地の特産、カフェです。どうぞごゆっくり」
セレナが震えながら、最高級のメニューを運んできた。
ふわふわのシフォンケーキに生クリームとベリーソース。
香ばしいコーヒー、マリエッタ特製のラベンダーとミントのブレンドティー。
ギャラクシーは無言で席に着き、まずコーヒーを一口飲んだ。
その瞬間、わずかに眉が動いた。
「……この香り、この味。辺境で、これほど洗練されたものがあるとは」
彼の部下の騎士たちも、ケーキを食べて驚きの声を漏らす。
「甘すぎず、軽い……」「こんなケーキ、王都の宮廷でも珍しいぞ」「ティーが体に染みる……」
ギャラクシーはケーキをゆっくり味わい、私を見た。
「君が作ったのか?」
「はい。私のちょっとした趣味ですわ。この領地を豊かにするために、皆さんに喜んでもらえるものを」
彼はさらにコーヒーを飲み、静かに言った。
「魔物の増加は、国境全体の問題だ。私の領地でも被害が出ている。この領地が撃退できた理由を、詳しく聞きたい」
私は魔物討伐の経緯を、チートの部分を隠しつつ説明した。
薬草の知識と工夫で準備した武器、村人の団結。
ギャラクシーは無言で聞き終わり、ふと呟いた。
「興味深い。君の領地は、短期間でここまで変わったのか」
ガヤルドが横から口を挟んだ。
「お嬢様が来てから、すべてが変わったんです。飯も薬も、みんなが元気になった」
ギャラクシーの視線が、私に注がれる。
冷たい瞳の奥に、わずかな興味が灯ったように見えた。
「では、この味を……私だけのために、もう一度作ってくれないか」
突然の言葉に、周囲が静まり返った。
部下の騎士たちが驚いた顔で公爵を見る。
私は少しどきりとしたが、微笑んで頷いた。
「かしこまりました。特別に、ギャラクシー公爵のためだけのメニューを」
収納空間で、イメージを集中。
彼の冷たい印象に合う、濃厚なチョコレートムースと、香り高いエスプレッソ。
さらに、ほんの少し温かさを加えた特製ブレンド。
デザートを差し出すと、ギャラクシーは無言でフォークを口に運んだ。
次の瞬間──
彼の瞳が、わずかに揺れた。
「……温かい。この味は、懐かしい」
声は小さく、ほとんど独り言のように。
過去のトラウマを思い出したのか、一瞬だけ表情が柔らかくなった。
私は静かに言った。
「辺境ですが、温かいものはいつでも作れますわ。またお越しください」
ギャラクシーは立ち上がり、私に一礼した。
「調査は続く。だが、この領地は……興味深い。また来る」
一行が去った後、村人たちがどっと息を吐いた。
セレナが興奮して言った。
「お嬢様、あの冷徹公爵が笑いそうだったですよ!?」
マリエッタも頰を赤らめて。
「公爵様、すごく美しかった……でも、お嬢様の料理で心が動いたみたいです!」
ガヤルドが腕を組んで呟いた。
「あの男、滅多に感情を出さねえのに……お嬢様の料理に揺らいだな。次に来たら、もっとヤバいことになるかもしれねえぞ」
私は夕陽を見ながら、心の中で思った。
(ギャラクシー……あなたが求める温かさ、私が与えられるかもしれない)
胸の奥で、力が静かに脈打った。
【スキル進化】
【魅力スキル微増】
【新たな出会いフラグ】
隣国の影が、私の領地に落ちた。
これは、ただの視察では終わらない予感がした。
冷徹な公爵の心が、少しだけ開きかけた瞬間。
私の新しい物語が、また一歩進む
朝の霧がまだ残る中、村の入り口に馬の蹄の音が響いた。
ガヤルドが急いで屋敷に駆け込んできたのは、カフェの準備をしている最中だった。
「お嬢様! 隣国からの視察団だ! レーヴェンシュタイン公爵領の旗印が見える……間違いなく、あの“氷剣公爵”ギャラクシーだ!」
セレナがカップを落としそうになり、マリエッタが目を丸くした。
私は静かにエプロンを外し、窓から外を覗いた。
遠くの道に、黒い馬に跨った一行が近づいてくる。
先頭の男は黒髪を風になびかせ、銀の鎧を纏い、腰に長剣を佩いている。
青みがかった瞳が、遠くからでも鋭く光っているように見えた。
(ついに来たわね……ギャラクシー・ヴァイス・レーヴェンシュタイン)
ゲームの記憶では、彼はサブヒーローの一人。
冷徹で無口、過去の裏切りにより心を閉ざした戦神。
原作ではヒロインにだけ心を開くが、私のルートでは登場すらしない脇役だった。
ガヤルドが緊張した声で続けた。
「二十人ほどの騎士団を連れてる。魔物の増加を調査に来たらしいが……お嬢様の領地が最近目立ってるから、興味を持ったのかもしれねえ」
私は頷き、すぐに指示を出した。
「セレナ、カフェの準備を急いで。マリエッタ、最高級のハーブティーを。ガヤルドさん、村人を落ち着かせて。私が直接出迎えるわ」
村の入り口で、私は一行を迎えた。
優雅に一礼し、穏やかな笑みを浮かべる。
「ようこそ、私の領地へ。ルーテシア・フォン・エルグランドと申します。遠路はるばる、ご苦労様です」
ギャラクシーが馬から降り、私をまっすぐに見た。
氷のような青い瞳。
美しく整った顔立ちだが、表情は一切の感情を許さない冷たさ。
「ギャラクシー・ヴァイス・レーヴェンシュタインだ。魔物の異常発生を調査中だ。この領地が最近、魔物を撃退したと聞いている」
声は低く、抑揚が少ない。
周囲の騎士たちも、無言で整列している。
私は微笑みを崩さず、案内した。
「はい、先日ゴブリンとオークの群れを退けました。どうぞ村へお入りください。お茶でも召し上がりながら、お話ししましょう」
ギャラクシーは一瞬、私を値踏みするように見つめ、頷いた。
カフェの屋台前まで来ると、村人たちが緊張しながらも挨拶した。
子供たちが少し怖がって隠れる中、私はギャラクシー一行に席を勧めた。
「こちらは私の領地の特産、カフェです。どうぞごゆっくり」
セレナが震えながら、最高級のメニューを運んできた。
ふわふわのシフォンケーキに生クリームとベリーソース。
香ばしいコーヒー、マリエッタ特製のラベンダーとミントのブレンドティー。
ギャラクシーは無言で席に着き、まずコーヒーを一口飲んだ。
その瞬間、わずかに眉が動いた。
「……この香り、この味。辺境で、これほど洗練されたものがあるとは」
彼の部下の騎士たちも、ケーキを食べて驚きの声を漏らす。
「甘すぎず、軽い……」「こんなケーキ、王都の宮廷でも珍しいぞ」「ティーが体に染みる……」
ギャラクシーはケーキをゆっくり味わい、私を見た。
「君が作ったのか?」
「はい。私のちょっとした趣味ですわ。この領地を豊かにするために、皆さんに喜んでもらえるものを」
彼はさらにコーヒーを飲み、静かに言った。
「魔物の増加は、国境全体の問題だ。私の領地でも被害が出ている。この領地が撃退できた理由を、詳しく聞きたい」
私は魔物討伐の経緯を、チートの部分を隠しつつ説明した。
薬草の知識と工夫で準備した武器、村人の団結。
ギャラクシーは無言で聞き終わり、ふと呟いた。
「興味深い。君の領地は、短期間でここまで変わったのか」
ガヤルドが横から口を挟んだ。
「お嬢様が来てから、すべてが変わったんです。飯も薬も、みんなが元気になった」
ギャラクシーの視線が、私に注がれる。
冷たい瞳の奥に、わずかな興味が灯ったように見えた。
「では、この味を……私だけのために、もう一度作ってくれないか」
突然の言葉に、周囲が静まり返った。
部下の騎士たちが驚いた顔で公爵を見る。
私は少しどきりとしたが、微笑んで頷いた。
「かしこまりました。特別に、ギャラクシー公爵のためだけのメニューを」
収納空間で、イメージを集中。
彼の冷たい印象に合う、濃厚なチョコレートムースと、香り高いエスプレッソ。
さらに、ほんの少し温かさを加えた特製ブレンド。
デザートを差し出すと、ギャラクシーは無言でフォークを口に運んだ。
次の瞬間──
彼の瞳が、わずかに揺れた。
「……温かい。この味は、懐かしい」
声は小さく、ほとんど独り言のように。
過去のトラウマを思い出したのか、一瞬だけ表情が柔らかくなった。
私は静かに言った。
「辺境ですが、温かいものはいつでも作れますわ。またお越しください」
ギャラクシーは立ち上がり、私に一礼した。
「調査は続く。だが、この領地は……興味深い。また来る」
一行が去った後、村人たちがどっと息を吐いた。
セレナが興奮して言った。
「お嬢様、あの冷徹公爵が笑いそうだったですよ!?」
マリエッタも頰を赤らめて。
「公爵様、すごく美しかった……でも、お嬢様の料理で心が動いたみたいです!」
ガヤルドが腕を組んで呟いた。
「あの男、滅多に感情を出さねえのに……お嬢様の料理に揺らいだな。次に来たら、もっとヤバいことになるかもしれねえぞ」
私は夕陽を見ながら、心の中で思った。
(ギャラクシー……あなたが求める温かさ、私が与えられるかもしれない)
胸の奥で、力が静かに脈打った。
【スキル進化】
【魅力スキル微増】
【新たな出会いフラグ】
隣国の影が、私の領地に落ちた。
これは、ただの視察では終わらない予感がした。
冷徹な公爵の心が、少しだけ開きかけた瞬間。
私の新しい物語が、また一歩進む
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