婚約破棄されたら、隠しチートが覚醒しました。元婚約者? 今さら後悔しても遅いですよ♪」

ふわふわ

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第13話:氷剣公爵の視察

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第13話:氷剣公爵の視察

数日後、再び隣国の視察団が領地を訪れた。  
前回の短い滞在から間もなく、ギャラクシー公爵が単身で馬を飛ばしてきたのだ。  
村の入り口で馬を降り、黒いマントを翻して歩いてくる彼の姿は、まるで影のように静かだった。

ガヤルドが緊張した顔で私に報告した。

「お嬢様、公爵がまた来た。今回は一人で、領地の詳細を調査したいってよ」

私はカフェの準備を中断し、セレナに後を任せて出迎えに行った。  
マリエッタも薬草ティーの瓶を抱えてついてくる。

ギャラクシーが私を見つけ、青い瞳を細めた。

「ルーテシア嬢。約束通り、再び訪れた。領地の改革を、詳しく見せてもらいたい」

声は前回と同じく低く、無感情。  
しかし、視線が少し熱を帯びている気がした。

私は優雅に一礼した。

「ようこそ、ギャラクシー公爵。まずはカフェでお茶をどうぞ。その後、領地をご案内しますわ」

彼は無言で頷き、カフェの席に着いた。  
セレナが震えながら、特製のメニューを運ぶ。  
今日は彼のためだけに用意した、濃厚なチョコレートケーキと、温かいミルクティー。  
前回の反応から、甘く温かいものを好むと踏んだ。

ギャラクシーはフォークを手に取り、ケーキを一口。  
その瞬間、瞳がわずかに揺れた。

「……この甘さ。この温かさ。君の料理は、いつも心を溶かすな」

言葉は淡々としているが、独占欲のようなものが滲んでいる。  
私は微笑んだ。

「ありがとうございます、公爵。お気に召せば幸いですわ。この領地は、私の力で少しずつ変わっています」

彼はティーを飲み、静かに言った。

「では、案内を頼む。土壌改良、水路、薬草園……すべてを見たい」

私は領地を一緒に回った。  
まず、水路工事の現場。  
村の男たちが汗を流して掘り進め、ガヤルドが監督している。

「ここは川から水を引いて、畑を潤します。収穫が倍になるはずですわ」

ギャラクシーは無言で現場を観察し、土を手に取った。

「効率的だ。私の領地でも取り入れられるな」

次に、薬草園。  
マリエッタが熱心に説明する。

「公爵様! ここはルーテシア様の知識で作ったハーブです。傷薬や回復ポーションに使えます!」

ギャラクシーは一つの葉を摘み、匂いを嗅いだ。

「質が高い。魔物対策に有用だ」

最後に、畑の土壌改良現場。  
堆肥を撒いた畑で、緑の芽が少しずつ出始めている。

「不作だった土地が、こうして蘇るんですの」

ギャラクシーは畑の端に立ち、私を振り返った。

「君の改革は、見事だ。短期間でここまで……君の“力”は、特別だな」

私は軽く首を振った。

「皆さんの協力のおかげですわ。公爵の領地も、きっと同じように」

彼は青い瞳を私に固定し、低く言った。

「君の料理も、改革も……すべてが興味深い。だが、この味は、僕だけに作ってほしい」

突然の言葉に、私は少し息を呑んだ。  
クールな表情のまま、独占欲の片鱗が覗く。  
ヤンデレの兆し──前世の知識で、そんなルートを思い浮かべる。

「公爵……それは」

彼はマントを翻し、馬の方へ歩き始めた。

「また来る。次は、もっと君のことを知りたい」

馬に跨り、去っていく彼の背中を、私は見送った。  
ガヤルドが近づき、苦笑した。

「お嬢様、公爵の目が変わったぜ。あいつ、君に落ちかけてるんじゃねえか?」

セレナとマリエッタが駆け寄り、興奮して言った。

「公爵様、今日は少し笑ってましたよ!」「お嬢様の料理の力、すごいです!」

私は夕陽を見上げ、心の中で思った。

(ギャラクシー……あなたの心を溶かすのは、私の料理だけ?)

胸の奥で、力が優しく脈打った。

【スキル進化】  
【魅力スキルアップ】  
【溺愛ルート開始】

冷徹な公爵が、少しずつ近づいてくる。

この出会いが、私の運命を変える予感がした。

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