婚約破棄されたら、隠しチートが覚醒しました。元婚約者? 今さら後悔しても遅いですよ♪」

ふわふわ

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第16話:ライバルの出現

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第16話:ライバルの出現

領地の空気がすっかり穏やかになったある日の午後、王都からの馬車が村の入り口に到着した。  
華やかな金色の装飾が施された馬車、王国の貴族の紋章が輝いている。  
村人たちがざわつき、ガヤルドが警戒しながら私に報告した。

「お嬢様、王都から客だ。ルドルフ侯爵……あの遊び人貴族が、直々に来たらしい」

ルドルフ侯爵。  
ゲームの記憶では、サブキャラクターの一人。  
金髪に緑の瞳、甘い言葉と美貌で女性を落とすことで有名なプレイボーイ。  
原作ではヒロインにちょっかいを出して失敗する脇役だが、私のルートでは登場しないはずだった。

私はカフェの前で出迎えた。  
セレナとマリエッタが後ろに控え、緊張した様子。

馬車から降りてきたルドルフは、予想通りの美男子だった。  
金色の髪を優雅に流し、緑の瞳が妖しく輝く。  
赤いマントを翻し、私に深々と一礼した。

「美しいルーテシア嬢。噂は聞いていましたが、実物は噂以上ですね。ルドルフ・フォン・グレンヴィル、よろしくお願いします」

甘い声に、村の女性たちがどよめいた。

私は冷静に微笑んだ。

「ルドルフ侯爵、遠路はるばるご苦労様です。何かご用件でしょうか?」

彼は私の手を取り、軽くキスをしようとしたが、私はさりげなく手を引いた。

「実は、君の領地の特産品が王都で話題になっているんです。ジャムに薬、それにこのカフェの評判も。商談を兼ねて、君に直接会いたくて」

彼の瞳が、私を値踏みするように見つめる。

カフェに案内し、特別メニューを出した。  
フルーツタルトと紅茶。  
ルドルフは美味しそうに食べ、感嘆の声を上げた。

「素晴らしい! 王都の宮廷菓子より上だ。君のような才女が、こんな辺境にいるなんて勿体ない」

私は静かに答えた。

「ありがとうございます。でも、私はここが好きですわ」

ルドルフはタルトを食べ終わり、突然立ち上がった。

「ルーテシア嬢。単刀直入に言う。僕と結婚してくれないか?」

周囲が凍りついた。  
セレナがカップを落とし、マリエッタが口を押さえる。

「君を王都に迎え、侯爵夫人として華やかな生活を約束する。宝石、ドレス、パーティー……すべてを捧げるよ」

私は少し驚いたが、冷静に首を振った。

「突然すぎますわ、侯爵。ご厚意は嬉しいですが、お断りします」

ルドルフは少し残念そうに笑った。

「そうか……でも、諦めないよ。君のような女性は、僕の理想だ」

その時、馬の蹄の音が激しく響いた。  
黒い馬に跨ったギャラクシーが、息を荒げて現れた。  
青い瞳が、明らかに怒りを宿している。

「ルーテシア」

彼は馬から降り、私の前に立ち、ルドルフを冷たく睨んだ。

「この男は誰だ」

ルドルフがにこやかに挨拶した。

「レーヴェンシュタイン公爵か。噂は聞いているよ。君の領地と国境を接しているんだね」

ギャラクシーは無視し、私の手を取った。

「ルーテシア、答えろ」

その握り方が強く、独占欲が丸出しだった。

私は少しどきりとした。

「ルドルフ侯爵は、王都から商談と……求婚に来られた方ですわ」

ギャラクシーの瞳が、氷のように冷たくなった。

「求婚?」

ルドルフが笑った。

「そうだよ、公爵。ルーテシア嬢はまだ独身だろう? 僕が先に声をかけても、問題ないはずだが」

ギャラクシーが一歩前に出た。  
剣の柄に手が触れ、魔力が微かに漏れる。

「問題ある。ルーテシアは、僕のものだ」

空気が張り詰めた。  
村人たちが息を呑み、ガヤルドが「やべえ……」と呟く。

ルドルフが少し後ずさりした。

「ほう……公爵がそんなに熱くなるなんて、珍しいね。でも、ルーテシア嬢の気持ちはどうだい?」

私はギャラクシーの手を握り返した。

「公爵、落ち着いてください。ルドルフ侯爵、私はお断りしましたわ」

ギャラクシーの瞳が、私に向く。  
怒りと安堵、そして強い独占欲。

「……本当か?」

「ええ。本気です」

ルドルフが肩をすくめた。

「残念だ。また機会があれば、諦めないけどね」

彼は馬車に乗り、去っていった。

残されたギャラクシーと私。  
彼はまだ手を離さず、低く言った。

「君を……渡さない。あの男に、触れさせるつもりはない」

ヤンデレモード全開の声に、私は胸が高鳴った。

「公爵……そんなに嫉妬してくださるなんて」

彼は私の手を強く握り、顔を近づけた。

「嫉妬? 違う。君は、僕だけのものだ。誰にも渡さない」

青い瞳が熱く燃え、唇が近づく。  
今度こそ、セレナの邪魔もない。

しかし、ガヤルドが遠くから叫んだ。

「おい、公爵! 村の巡回だぞ!」

ギャラクシーが悔しそうに息を吐き、手を離した。

「……今夜、話がある」

彼が馬に乗り、去っていく背中を見送り、私は頰を赤らめた。

セレナとマリエッタが駆け寄り、興奮の嵐。

「お嬢様! 公爵様の『僕のものだ』って、超ヤンデレでした!」「嫉妬で剣に手をかけるなんて、溺愛すぎます!」

私は笑って、胸を押さえた。

(ギャラクシー……あなたの独占欲、心地いいわ)

胸の奥で、力が熱く脈打った。

【スキル進化】  
【ヤンデレ溺愛フラグ立】  
【好感度MAX目前】

ライバルの出現が、逆に彼の心を加速させた。

氷剣公爵のヤンデレモードが、本格始動。

これから、もっと甘く、危険な恋が始まる予感。

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