異世界に突如召喚された、ごく普通の日本人女子――雪月風花(せつげつふうか)。 黒髪というだけで「聖女様!」と崇められ、魔物も災厄もすべて彼女

ふわふわ

文字の大きさ
1 / 20

「アニメのキャラクター?アニメ第1章-1:異世界召喚!唯一の黒髪に驚愕される(修正版)

しおりを挟む


「アニメのキャラクター?アニメ第1章-1:異世界召喚!唯一の黒髪に驚愕される(修正版)

 

「……うそでしょ」

 

思わず漏れた声が、石畳の床にやけに大きく響いた。まるでファンタジー世界の王宮のような荘厳な空間。天井まで届く円柱が並び、壁には金と銀の細工が施され、空気までもが異様に澄んでいる。

 

そんな場違いな場所に、制服姿の少女――雪月風花はぽつんと立ち尽くしていた。

 

「……どういうこと? え? ここ、どこ?」

 

確かさっきまで、通学路を歩いていたはずだ。商店街を抜けて、コンビニの前を通って、交差点で信号待ちをして――

 

「いやいやいや、なんでいきなりヨーロッパ風の大広間にワープしてんの私!?」

 

パニックになりそうな頭を振りながら周囲を見渡すと、見知らぬ人々が十数人、風花を囲むように立っていた。

 

それは、剣を下げた騎士のような男、杖を持ったローブ姿の神官らしき人、王冠を被った男性、そして煌びやかなドレスに身を包んだ女性たち。

 

そしてなにより風花が驚いたのは――

 

「髪の色、カラフルすぎない……?」

 

赤、青、金、緑、銀、桃、紫……まるでアニメキャラクターのカラーパレットがそのまま現実化したような髪色の人たち。

 

「アニメのキャラクター? アニメの中の世界にはいりこんだのかしら? そんなことある? ……わけ、ないよね……」

 

思考がフリーズしそうなほどの非現実感。だけど頬をつねっても痛い。夢じゃない。状況も意味不明。

 

そんな中で、風花の漆黒のロングヘアは、まさに異質だった。

 

「……やはり、黒髪。伝承の通りだ!」

 

ローブ姿の老人が目を見開いて叫ぶ。その声に、周囲がざわめいた。

 

「“黒髪の乙女”、ついに現れたのか!」 「間違いない、彼女こそ聖女様だ!」 「救世の御方が、ついに我が王国へ……!」

 

――えっ、なに? ちょっと待って?

 

思考が追いつかない。けれど彼らは一斉に風花の前に跪き、手を胸に当てて礼を捧げ始めた。

 

「聖女様! ようこそお越しくださいました!」

 

「いやいやいや、話聞いて!? 私、ただの高校生ですから!!」

 

風花は必死に否定するが、まるで聞いてもらえない。王座に座る中年の男性――王だろうか――が立ち上がる。

 

「わが名はセレティア王国、国王グラディウス・セレティア。そなたをお迎えできるとは、この上なき光栄。さあ、聖女様よ。我が国を救いたまえ!」

 

「だから、ちがっ……私は聖女とかじゃなくて!」

 

焦る風花をよそに、周囲は一気に準備を始める。椅子が運ばれ、絹のクッションが敷かれ、神官たちは儀式の準備を始めている。

 

「ねえ、ちょっと! 人の話を……!」

 

「こちらへ、聖女様。まずはお身体を癒すべく、沐浴と着替えを」

 

「聞いてないってばあああああ!」

 

風花の叫びは、広い大広間にむなしく響き渡った。

 

* * *

 

――そして、数時間後。

 

広々とした浴場で無理やり“聖水”なるものに入れられ、勝手にドレスに着替えさせられた風花は、ついに現実逃避モードに突入していた。

 

「これは夢。絶対夢。朝になったら布団の中……」

 

「聖女様、ご準備は整いましたでしょうか」

 

部屋の外から聞こえるメイドの声に、風花は項垂れながら答える。

 

「……夢じゃないなら、せめて誰かツッコんで……過去の召喚日本人、何してくれてるのよ……!」

 

彼女の黒髪は、異世界の者にとって“奇跡”そのものだった。

 

だが、風花にとっては――

 

それが、終わりの始まりだった。

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

【完結】竜王の息子のお世話係なのですが、気付いたら正妻候補になっていました

七鳳
恋愛
竜王が治める王国で、落ちこぼれのエルフである主人公は、次代の竜王となる王子の乳母として仕えることになる。わがままで甘えん坊な彼に振り回されながらも、成長を見守る日々。しかし、王族の結婚制度が明かされるにつれ、彼女の立場は次第に変化していく。  「お前は俺のものだろ?」  次第に強まる独占欲、そして彼の真意に気づいたとき、主人公の運命は大きく動き出す。異種族の壁を超えたロマンスが紡ぐ、ほのぼのファンタジー! ※恋愛系、女主人公で書くのが初めてです。変な表現などがあったらコメント、感想で教えてください。 ※全60話程度で完結の予定です。 ※いいね&お気に入り登録励みになります!

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。 御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。 「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」 自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒
恋愛
そばかす令嬢クラリスは、家族に支度金目当てで成り上がり伯爵セドリックに嫁がされる。 だが彼に溺愛され家は再興。 見下していた美貌の妹リリアナは婚約破棄される。

勇者の婿取り~強面女性騎士と報奨の王子~

小西あまね
恋愛
国王が布告を出した。強大な魔物を倒した勇者に王女を与える-- クレシュは顔に大きな傷がある頑健な強面騎士。魔物討伐は職務を果たしただけだったのに、勇者として思わぬ報奨を得てしまい困惑する。 「……うちに美人がいるんです」 「知ってる。羨ましいな!」 上司にもからかわれる始末。 --クレシュが女性であったために、王女の代わりに王子ヴェルディーンを婿に与えられたのだ。 彼も彼なりに事情があり結婚に前向きで…。 勇猛果敢で生真面目な27歳強面女性騎士と、穏やかだが芯の強い美貌の24歳王子。 政争やら悪者退治やら意外と上手くいっている凸凹夫婦やらの話。 嫉妬や当て馬展開はありません。 戦闘シーンがあるので一応残酷な描写ありタグを付けますが、表現は極力残酷さを抑えた全年齢です。 全18話、予約投稿済みです。 当作品は小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...