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第二十二話 再交渉の席
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第二十二話 再交渉の席
隣国商会からの再交渉要請は、予想よりも早く届いた。
北方船団の入港が報じられた翌日、王宮に正式文書が到着する。
『関税条件の再協議を希望』
短い文面。
だが、その裏にある意味は明白だった。
――圧力は失敗した。
王宮、評議会。
「隣国商会、三日後に使節団を派遣」
ガレインが報告する。
「条件は?」
レオニードが問う。
「従来案の再提示を希望。ただし、港湾優遇措置の延長を要求」
ざわめきが起こる。
「譲歩してきたな」
「だが、油断はできぬ」
国王が静かに言う。
「王太子、今回の交渉は主導せよ」
室内が静まる。
レオニードは一瞬、視線を伏せたが、すぐに顔を上げた。
「承知しました」
一方、教育機関。
本日の講義は実践演習。
「今回の交渉は、王太子殿下が主導します」
私は静かに告げる。
ミレーヌの視線が上がる。
「王妃の役割は何でしょう」
「補足と調整」
彼女が即答する。
「その通りです」
私は黒板に三つの言葉を書く。
『主導』『補強』『沈黙』
「王妃は常に話す必要はありません」
室内が静まる。
「沈黙もまた、戦略」
講義後。
「殿下を支えます」
ミレーヌが言う。
「主役は殿下です」
「ええ」
私は微笑む。
「そして、均衡を崩さぬこと」
三日後。
王宮の大広間に、隣国使節団が入る。
礼儀正しく、だが視線は鋭い。
「我が国は友好を望む」
使節が口を開く。
「関税の段階的引き下げ案を再確認したい」
レオニードは落ち着いた声で答える。
「王国は安定を優先する」
即答ではない。
資料を開き、数字を示す。
「依存度は既に低下。北方輸入が稼働中」
使節の眉がわずかに動く。
「それでも貴国との関係は重視している」
そこで、ミレーヌが静かに言葉を挟む。
「相互利益の明確化が必要です」
視線が集まる。
「関税引き下げと引き換えに、長期契約を締結。安定供給を保証していただければ、双方の利益は固定されます」
沈黙。
使節団が顔を見合わせる。
短期圧力ではなく、長期安定。
理にかなっている。
「検討に値する」
交渉は数時間続き、最終的に長期契約付きの段階的引き下げで合意した。
即時全面ではない。
だが、安定性は増した。
夜。
王宮の回廊。
「よくやった」
国王が静かに言う。
レオニードは一礼する。
「制度が支えました」
「制度だけではない」
王の視線が、ミレーヌに向く。
「隣に立つ者の理もまた、王を強くする」
ミレーヌは深く頭を下げる。
一方、私は報告を受けていた。
「長期契約、成立」
「市場反応は?」
「好意的」
私は窓の外を見る。
王宮の灯りは揺れていない。
今回の交渉で示されたのは、王家が制度を使いこなせるという事実。
それは、信用の回復に繋がる。
だが、私は冷静に理解している。
均衡は守られた。
しかし、均衡は常に試される。
王太子は主導し、王太子妃候補は補強した。
並び立つ影は、以前より重なっている。
だが、完全ではない。
均衡は維持されている。
そしていま、王国は外圧を理で乗り越えた。
私は小さく呟く。
「次は内側ですわね」
外からの試しは終わった。
だが、真に難しいのは、内なる誇りと感情の均衡。
王都は静かだ。
その静けさの中で、新たな段階が始まろうとしている。
隣国商会からの再交渉要請は、予想よりも早く届いた。
北方船団の入港が報じられた翌日、王宮に正式文書が到着する。
『関税条件の再協議を希望』
短い文面。
だが、その裏にある意味は明白だった。
――圧力は失敗した。
王宮、評議会。
「隣国商会、三日後に使節団を派遣」
ガレインが報告する。
「条件は?」
レオニードが問う。
「従来案の再提示を希望。ただし、港湾優遇措置の延長を要求」
ざわめきが起こる。
「譲歩してきたな」
「だが、油断はできぬ」
国王が静かに言う。
「王太子、今回の交渉は主導せよ」
室内が静まる。
レオニードは一瞬、視線を伏せたが、すぐに顔を上げた。
「承知しました」
一方、教育機関。
本日の講義は実践演習。
「今回の交渉は、王太子殿下が主導します」
私は静かに告げる。
ミレーヌの視線が上がる。
「王妃の役割は何でしょう」
「補足と調整」
彼女が即答する。
「その通りです」
私は黒板に三つの言葉を書く。
『主導』『補強』『沈黙』
「王妃は常に話す必要はありません」
室内が静まる。
「沈黙もまた、戦略」
講義後。
「殿下を支えます」
ミレーヌが言う。
「主役は殿下です」
「ええ」
私は微笑む。
「そして、均衡を崩さぬこと」
三日後。
王宮の大広間に、隣国使節団が入る。
礼儀正しく、だが視線は鋭い。
「我が国は友好を望む」
使節が口を開く。
「関税の段階的引き下げ案を再確認したい」
レオニードは落ち着いた声で答える。
「王国は安定を優先する」
即答ではない。
資料を開き、数字を示す。
「依存度は既に低下。北方輸入が稼働中」
使節の眉がわずかに動く。
「それでも貴国との関係は重視している」
そこで、ミレーヌが静かに言葉を挟む。
「相互利益の明確化が必要です」
視線が集まる。
「関税引き下げと引き換えに、長期契約を締結。安定供給を保証していただければ、双方の利益は固定されます」
沈黙。
使節団が顔を見合わせる。
短期圧力ではなく、長期安定。
理にかなっている。
「検討に値する」
交渉は数時間続き、最終的に長期契約付きの段階的引き下げで合意した。
即時全面ではない。
だが、安定性は増した。
夜。
王宮の回廊。
「よくやった」
国王が静かに言う。
レオニードは一礼する。
「制度が支えました」
「制度だけではない」
王の視線が、ミレーヌに向く。
「隣に立つ者の理もまた、王を強くする」
ミレーヌは深く頭を下げる。
一方、私は報告を受けていた。
「長期契約、成立」
「市場反応は?」
「好意的」
私は窓の外を見る。
王宮の灯りは揺れていない。
今回の交渉で示されたのは、王家が制度を使いこなせるという事実。
それは、信用の回復に繋がる。
だが、私は冷静に理解している。
均衡は守られた。
しかし、均衡は常に試される。
王太子は主導し、王太子妃候補は補強した。
並び立つ影は、以前より重なっている。
だが、完全ではない。
均衡は維持されている。
そしていま、王国は外圧を理で乗り越えた。
私は小さく呟く。
「次は内側ですわね」
外からの試しは終わった。
だが、真に難しいのは、内なる誇りと感情の均衡。
王都は静かだ。
その静けさの中で、新たな段階が始まろうとしている。
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