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第二十八話 冊立の儀
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第二十八話 冊立の儀
王都は、かつてないほどの華やぎに包まれていた。
王宮へ続く大通りには花が飾られ、各家の紋章旗が掲げられる。鐘の音が響き、民衆は晴れ着に身を包んで集まった。
王太子妃冊立の儀。
それは王家の安定を示す象徴であり、同時に新たな均衡の宣言でもある。
大広間。
玉座の前に赤い絨毯が敷かれ、貴族たちが列をなす。
国王が立ち上がる。
「本日、我が王国は新たな王妃を迎える」
その声は重く、広間に響いた。
ミレーヌは白銀の礼装に身を包み、ゆっくりと進む。
かつての戸惑いはない。
歩みは静かだが、揺れない。
レオニードの隣へと立つ。
国王が続ける。
「王妃とは、王の隣に立ち、理と責任を共に担う者」
視線が自然と二人へ向かう。
「汝、王国を支える覚悟はあるか」
「ございます」
ミレーヌの声は澄んでいる。
「王と共に、均衡を守ります」
その言葉に、広間が静まる。
王冠が彼女の頭に置かれる。
拍手が広がる。
それは祝福であり、期待であり、試しでもある。
一方、私は貴族席からその光景を見ていた。
隣に立つクラウスが小声で言う。
「ここまで来ましたね」
「ええ」
私は微笑む。
「理は根付きました」
儀式の後、祝宴が開かれる。
貴族たちが次々と挨拶に訪れる。
「王妃陛下」
「おめでとうございます」
称賛の声は止まらない。
だが、その中に探る視線もある。
王妃はどこまで制度を守るか。
王はどこまで理を選び続けるか。
祝宴の一角。
シリウス公爵が私に言う。
「王妃は完成したか」
「いいえ」
私は首を振る。
「今日から始まりです」
王宮の回廊。
レオニードとミレーヌが並んで歩く。
「……重いか」
レオニードが低く問う。
「はい」
彼女は正直に答える。
「ですが、逃げません」
彼は小さく笑う。
「私もだ」
その言葉は、誇りではなく共有。
夜。
私は公爵邸に戻り、静かな書斎に座った。
王宮の灯りが遠くに見える。
冊立は終わった。
王妃は正式に立った。
だが、均衡は完成しない。
王は理を選び続けねばならない。
王妃は学び続けねばならない。
制度は磨き続けねばならない。
そして私は、外側から見守る。
未練はない。
ただ、静かな責任感が残る。
均衡は守られた。
だが、祝福の拍手が消えた後こそ、真価が問われる。
私は窓を閉じ、小さく呟く。
「さて、次の試練は何かしら」
王都は眠りにつく。
だが、玉座の物語は、ここからが本番だった。
王都は、かつてないほどの華やぎに包まれていた。
王宮へ続く大通りには花が飾られ、各家の紋章旗が掲げられる。鐘の音が響き、民衆は晴れ着に身を包んで集まった。
王太子妃冊立の儀。
それは王家の安定を示す象徴であり、同時に新たな均衡の宣言でもある。
大広間。
玉座の前に赤い絨毯が敷かれ、貴族たちが列をなす。
国王が立ち上がる。
「本日、我が王国は新たな王妃を迎える」
その声は重く、広間に響いた。
ミレーヌは白銀の礼装に身を包み、ゆっくりと進む。
かつての戸惑いはない。
歩みは静かだが、揺れない。
レオニードの隣へと立つ。
国王が続ける。
「王妃とは、王の隣に立ち、理と責任を共に担う者」
視線が自然と二人へ向かう。
「汝、王国を支える覚悟はあるか」
「ございます」
ミレーヌの声は澄んでいる。
「王と共に、均衡を守ります」
その言葉に、広間が静まる。
王冠が彼女の頭に置かれる。
拍手が広がる。
それは祝福であり、期待であり、試しでもある。
一方、私は貴族席からその光景を見ていた。
隣に立つクラウスが小声で言う。
「ここまで来ましたね」
「ええ」
私は微笑む。
「理は根付きました」
儀式の後、祝宴が開かれる。
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「王妃陛下」
「おめでとうございます」
称賛の声は止まらない。
だが、その中に探る視線もある。
王妃はどこまで制度を守るか。
王はどこまで理を選び続けるか。
祝宴の一角。
シリウス公爵が私に言う。
「王妃は完成したか」
「いいえ」
私は首を振る。
「今日から始まりです」
王宮の回廊。
レオニードとミレーヌが並んで歩く。
「……重いか」
レオニードが低く問う。
「はい」
彼女は正直に答える。
「ですが、逃げません」
彼は小さく笑う。
「私もだ」
その言葉は、誇りではなく共有。
夜。
私は公爵邸に戻り、静かな書斎に座った。
王宮の灯りが遠くに見える。
冊立は終わった。
王妃は正式に立った。
だが、均衡は完成しない。
王は理を選び続けねばならない。
王妃は学び続けねばならない。
制度は磨き続けねばならない。
そして私は、外側から見守る。
未練はない。
ただ、静かな責任感が残る。
均衡は守られた。
だが、祝福の拍手が消えた後こそ、真価が問われる。
私は窓を閉じ、小さく呟く。
「さて、次の試練は何かしら」
王都は眠りにつく。
だが、玉座の物語は、ここからが本番だった。
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