『勘違い殿下の逆恨みは、鉄壁の公爵家に砕け散る~聖女と元婚約者が手を取り合った結果~』

ふわふわ

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第25話 王太子の断罪

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第25話 王太子の断罪

王宮の大広間は、静寂に包まれていた。

貴族会議の審議が終わり、王の宣言が下された直後。

「エクウス・ヴァル・レグラント。  
お前の罪は、重い。  
王位継承権を剥奪し、  
終身幽閉とする」

王の声が、広間に響き渡った。

エクウスは、中央の演台の前に跪いたまま、動けなかった。

顔は青白く、目は虚ろ。  
金色の髪は乱れ、かつての王子らしい気品は、完全に失われていた。

貴族たちの視線は、冷たく、怜れみすらなかった。

イセッタは、ルクシオとソニアの隣に立ち、静かにその光景を見守っていた。

(殿下……ここまで、落ちてしまうなんて)

彼女の胸に、複雑な感情が去来した。

昔のエクウスは、幼なじみとして優しかった。  
政略婚約ではあったが、笑顔で手を差し伸べてくれたこともあった。

なのに、勘違いから始まった逆恨みが、  
ここまでの破滅を招いた。

王が、騎士団長に命じた。

「連行せよ」

二人の騎士が、エクウスに近づき、腕を掴んだ。

エクウスは、抵抗せず、ただ立ち上がった。

広間を出ていく背中を、誰も止めなかった。

扉が閉まる音が、大きく響いた。

王が、再び声を上げた。

「これにて、王太子エクウスの審議は終了。  
彼の行動は、王国に多大な危機を招いた。  
しかし、我々はそれを乗り越え、勝利を収めた」

貴族たちが、拍手を送る。

「次に、戦勝の功労者を称えよう」

王の視線が、イセッタたちに向けられた。

「ルクシオ・フォン・ノルドハイム公爵。  
前線での神業のような指揮で、王国を守った功績は計り知れない。  
ここに、『王国守護公』の称号を授与する」

ルクシオが、深く一礼した。

「命に代えても、王国をお守りいたします」

「イセッタ・フォン・レーヴェント。  
後方支援と政治調整で、貴族を結束させ、補給を完璧に整えた。  
ここに、『賢明の令嬢』の称号を授与する」

イセッタが、優雅に一礼した。

「陛下のお言葉、恐縮に存じます。  
すべては、王国のためですわ」

「ソニア聖女。  
戦場での奇跡の癒やしで、無数の命を救った。  
ここに、『奇跡の聖女』の称号を授与する」

ソニアが、涙を浮かべて頭を下げた。

「私……ただ、みんなが生きて帰れるように……  
ありがとうございます……!」

広間が、雷のような拍手に包まれた。

「王国守護公万歳!」

「賢明の令嬢万歳!」

「奇跡の聖女万歳!」

王が、最後に宣言した。

「さらに、ルクシオ公爵とイセッタの婚約を、ここに正式に承認する」

貴族たちが、再び歓声を上げた。

ルクシオが、イセッタの手を取り、微笑んだ。

イセッタは、頰を赤らめながら、頷いた。

会議が終わり、一団が広間を出る。

廊下で、ソニアがイセッタに抱きついた。

「イセッタ様……おめでとうございます!  
本当に……よかった……」

イセッタは、ソニアを抱き返した。

「あなたも、おめでとう。  
これからは、ずっと一緒によ」

ルクシオが、二人の頭を優しく撫でた。

「俺たち三人で、王国を支えよう」

三人で、笑い合った。

一方、幽閉されたエクウス。

王宮の地下、冷たい石の部屋。

窓はなく、魔力灯の薄い光だけ。

彼は、床に座り、壁を見つめていた。

騎士が、食事を運んでくるが、手をつけない。

(俺は……  
すべてを、失った……)

王位。  
自由。  
名誉。  
そして、イセッタ。

逆恨みの果てに、  
彼は、完全に孤立した。

外では、王国が祝賀ムードに包まれていた。

民衆の間でも、  
「王太子は幽閉されたらしい」  
「新しい英雄たちが、王国を救った!」  
「イセッタ様とノルドハイム公爵の結婚、楽しみだな!」

エクウス王太子の名は、  
歴史の闇に葬られた。

王宮の控え室で、王がイセッタたちに個人的に感謝を述べた。

「王国は、お前たちに救われた。  
エクウスの件は……申し訳なかった」

イセッタが、静かに頭を下げた。

「陛下、どうかお気遣いなく。  
私たちは、王国の一員として、当然のことをしたまでです」

王が、苦笑した。

「謙虚だな。  
これからの王国は、お前たちに任せたい部分が多い」

ルクシオが、頷いた。

「喜んで、お受けいたします」

王太子の断罪は、  
王国に新たな息吹をもたらした。

古い因習と、私怨の時代は終わった。

イセッタたちの、  
賢明さと強さの時代が、始まる。

広間の外では、春の風が優しく吹いていた。

戦争の傷は癒え、  
王国は、平和を取り戻した。

エクウスは、地下の部屋で、  
ただ、静かに日々を過ごすだけ。

彼の罪は、永遠に刻まれた。

王太子の断罪は、  
完璧な形で、終わった。

誰も、彼を許さなかった。

しかし、王国は、前を向いていた。

イセッタ、ルクシオ、ソニアの手で、  
輝かしい未来へ。

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