追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~

ふわふわ

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第31話 王太子アレクシオン、窮地に陥る

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◆第31話 王太子アレクシオン、窮地に陥る

――“すべてエテルナ追放のせい”と国民が気づき始める

王国・王都。

かつて華やかだった通りには、今や険しい空気が漂っていた。

街の人々が集まって不満をぶつけ合っている。

「税がまた上がったぞ!」

「魔獣の被害も増えてるし、治癒師は足りない!」

「この前の洪水も、王宮は何の対策もしていない!」

「全部、あの王太子のせいだろ!」

王都の空気は完全に不穏になっていた。


---

◆◆そして矛先は、“あの事件”へ向かう

「覚えてるか?
 前王妃の遠縁で、“奇跡の才女”と呼ばれていた令嬢……」

「フェリシール家の娘だろ?」

「そうそう、あの子を追放して、代わりに変な平民を妃に迎えたんだ」

「今思えば……あの娘、もしかして……」

「国の宝だったのでは?」

都市中に広まる噂。

アレクシオンが追放した令嬢――エテルナ。
その後、隣国で“聖女扱い”されているという情報が入ってきたからだ。

「本当に治癒魔法が使えたらしいぞ」

「しかも古代の魔力だって話だ」

「は!? そんな子追放したのか!!?」

「気に入らないからって理由で……?」

ざわつきは、怒りに変わりつつあった。


---

◆◆王城では、アレクシオンが胃を痛めていた

「な、なんだこの国民の反応は!?
 なぜ私が責められなければならない!!?」

従者を前に、アレクシオンは叫んだ。

従者は困り果てた表情で言う。

「殿下……すでに街では“エテルナ様を追放したから国が傾いた”という噂が……」

「誰がそんなことを言っている!!?」

「民全体が……」

アレクシオンは頭を抱えた。

(おかしい……リーザが“あの女は使えない無能だ”と……
 それで追放したのに……)

すると扉が勢いよく開いた。

リーザが怒り狂った顔で飛び込んできた。

「殿下!! エテルナが“守護聖女”と呼ばれてますわ!!
 しかも隣国では夫人として敬われ、領地を救い、民に愛されているとか!!
 どういうことですの!!?」

「お、落ち着けリーザ……!」

「落ち着いていられますか!!
 わたくしの立場は!?
 わたくしは未来の王太子妃なんですのよ!!?」

(こいつも落ち着かせなければ……)

しかしアレクシオンの額には汗がにじむ。

従者がさらに追い打ちをかけてきた。

「殿下……補足ですが……
 “エテルナ様追放の真相が明らかになれば、政治責任を問われる”
 という声も上がっています」

アレクシオンの顔が青ざめた。

「そ、そんな馬鹿な……!」


---

◆◆アレクシオン、ついに焦り出す

アレクシオンは急に立ち上がった。

「と、とにかく! エテルナを王国へ戻せば問題は解決だ!!
 すぐに書状を出せ!!」

従者「……既に拒否されています」

「なら力づくでも――」

従者「隣国と戦争になりかねません」

「なっ……!」

リーザも口を開く。

「殿下……ひょっとして……
 わたくしたち、本当に“失敗”しましたのでは……?」

アレクシオンの顔は引きつっていた。


---

◆◆隣国のエテルナと比較され、王国の無能が露呈する

「隣国の公爵夫人は民を救っているんだってさ」

「ほんとだ。浄化魔法で病人まで助かったとか」

「うちの王家は何してんだ?」

「平民の娘を甘やかしてるだけだろ?」

国中が冷ややかな目を向け始めていた。


---

◆◆その頃、隣国の公爵邸

アウレリオは書状を読みながら小さく笑った。

「……あの王太子、じわじわ追い込まれているな」

「旦那様、悪い顔になっていますよ」

そう言ったのは、側近ラヴェッリ。

アウレリオは答えた。

「悪いが……あの王太子に同情する気はない。
 エテルナにしたことを考えれば、むしろ軽いくらいだ」

ラヴェッリは肩をすくめた。

「旦那様、奥様のこととなると容赦ないですね」

アウレリオは書類を閉じた。

そして静かに呟く。

「――エテルナを泣かせた者に、情けなど必要ない」

その声には、冷徹な公爵の本性と、
“妻を守る夫”の強烈な意志が混ざっていた。


---

◆◆エテルナは、まだ知らない

その頃。

エテルナは庭で花の世話をしていた。

(なんだか、皆がわたくしを“聖女”と……
 そんな大層な者ではないのに)

彼女はまだ知らなかった。

自分の存在が、
王国を揺らし、
王太子を追い詰め、
民の心を動かしていることを。

夜風がそっと吹く。

エテルナの髪が揺れた。

(でも……旦那様の言葉がある限り……
 わたくしは、ここにいていいのですね)

その微笑みは、確かに“守る価値のある宝”だった。
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