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第36話 外から壊そうとする人は、だいたい同じ手を使う
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第36話 外から壊そうとする人は、だいたい同じ手を使う
制度が内側から育ち始めると、
必ず起きることがある。
――外から壊そうとする動き。
それは改革が失敗したときじゃない。
成功したときに来る。
午前中。
宰相が、少し硬い顔で私のもとを訪ねてきた。
「……国境沿いの小領で、
妙な噂が立っています」
「どんな?」
「“聖女が金を取るようになってから、
奇跡が減った”と」
私は、思わず息を吐いた。
「来たね」
「想定内、
ですか」
「うん」
私は、あっさり頷く。
「外から来る攻撃は、
だいたい“感情”と“信仰”を
混ぜてくる」
宰相は、報告書を差し出す。
「噂の出どころは、
巡回神官と商人の一部です」
「直接は?」
「直接的な非難は、
ありません」
「じゃあ、
様子見だ」
私は、静かに言った。
「火をつけたいけど、
自分では責任を負いたくない」
午後。
医務局の副長が、
少し心配そうにやってきた。
「聖女様……
地方から、
問い合わせが増えています」
「内容は?」
「“以前より効き目が落ちた気がする”
という、
感覚的なものが多いです」
「数字は?」
「変わっていません」
「なら、
問題なし」
私は、即答した。
「でも……
現場は不安がっています」
「分かる」
私は、少しだけ考える。
「外からの攻撃は、
内部の不安を
増幅させる」
「だから」
一拍置く。
「中で戦わない」
「……?」
「中で否定すると、
割れる」
私は、淡々と続ける。
「やるなら、
外に向けて説明」
夕方。
王太子ステルヴィオが、
珍しく真面目な顔で現れた。
「……父上が、
地方の噂を
把握した」
「で?」
「“放置はしないが、
弾圧もしない”と」
「いい判断」
私は、頷く。
「噂は、
押さえると
大きくなる」
「じゃあ、
どうする」
「見せる」
私は、即答する。
「数字と、
手順と、
判断基準」
「奇跡じゃなくて?」
「奇跡は、
信じたい人に任せる」
「でも、
制度は」
「信じなくても、
使える形にする」
王太子は、
しばらく考えてから言った。
「……敵は、
制度じゃなく、
安心を壊そうとしてる」
「そう」
私は、静かに答える。
「不安にさせれば、
人は戻ると思ってる」
「でも」
私は、窓の外を見る。
「戻る場所が、
もうない」
夜。
私は、今日の記録を閉じた。
外から壊そうとする人は、
だいたい同じ手を使う。
不安を煽る。
懐かしさを持ち出す。
信仰を盾にする。
でも――
中が強ければ、
外は効かない。
制度は、
人を縛るためにあるんじゃない。
人が安心して、
動ける場所を
作るためにある。
「さて」
私は、椅子にもたれる。
「次は、
“噂に触れられた現場”が
どう反応するか」
それで、
本当の強度が分かる。
安定したサブスク生活は、
いよいよ――
外圧テストに
入ったところだった。
制度が内側から育ち始めると、
必ず起きることがある。
――外から壊そうとする動き。
それは改革が失敗したときじゃない。
成功したときに来る。
午前中。
宰相が、少し硬い顔で私のもとを訪ねてきた。
「……国境沿いの小領で、
妙な噂が立っています」
「どんな?」
「“聖女が金を取るようになってから、
奇跡が減った”と」
私は、思わず息を吐いた。
「来たね」
「想定内、
ですか」
「うん」
私は、あっさり頷く。
「外から来る攻撃は、
だいたい“感情”と“信仰”を
混ぜてくる」
宰相は、報告書を差し出す。
「噂の出どころは、
巡回神官と商人の一部です」
「直接は?」
「直接的な非難は、
ありません」
「じゃあ、
様子見だ」
私は、静かに言った。
「火をつけたいけど、
自分では責任を負いたくない」
午後。
医務局の副長が、
少し心配そうにやってきた。
「聖女様……
地方から、
問い合わせが増えています」
「内容は?」
「“以前より効き目が落ちた気がする”
という、
感覚的なものが多いです」
「数字は?」
「変わっていません」
「なら、
問題なし」
私は、即答した。
「でも……
現場は不安がっています」
「分かる」
私は、少しだけ考える。
「外からの攻撃は、
内部の不安を
増幅させる」
「だから」
一拍置く。
「中で戦わない」
「……?」
「中で否定すると、
割れる」
私は、淡々と続ける。
「やるなら、
外に向けて説明」
夕方。
王太子ステルヴィオが、
珍しく真面目な顔で現れた。
「……父上が、
地方の噂を
把握した」
「で?」
「“放置はしないが、
弾圧もしない”と」
「いい判断」
私は、頷く。
「噂は、
押さえると
大きくなる」
「じゃあ、
どうする」
「見せる」
私は、即答する。
「数字と、
手順と、
判断基準」
「奇跡じゃなくて?」
「奇跡は、
信じたい人に任せる」
「でも、
制度は」
「信じなくても、
使える形にする」
王太子は、
しばらく考えてから言った。
「……敵は、
制度じゃなく、
安心を壊そうとしてる」
「そう」
私は、静かに答える。
「不安にさせれば、
人は戻ると思ってる」
「でも」
私は、窓の外を見る。
「戻る場所が、
もうない」
夜。
私は、今日の記録を閉じた。
外から壊そうとする人は、
だいたい同じ手を使う。
不安を煽る。
懐かしさを持ち出す。
信仰を盾にする。
でも――
中が強ければ、
外は効かない。
制度は、
人を縛るためにあるんじゃない。
人が安心して、
動ける場所を
作るためにある。
「さて」
私は、椅子にもたれる。
「次は、
“噂に触れられた現場”が
どう反応するか」
それで、
本当の強度が分かる。
安定したサブスク生活は、
いよいよ――
外圧テストに
入ったところだった。
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