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第一部《魔王VS勇者》編
第51話【魔王山田、焼肉パーティーを開催する】
しおりを挟む魔王国・魔王城。
会議室には大勢が集まっている。
「皆、よく集まってくれた。今回は重要な議題なので幹部には全員来てもらった。ガイア、王都からわざわざすまないな」
「なにをおっしゃいますか。いつでも参りますぞ」
「ダリス、王国の地方征伐ご苦労だった」
「はっ! ありがとうございます!」
山田が全員に向き直る。
「それでは早速本題だ。これまではヘラン地方防衛に専念するため第1軍は歩兵中心、第2軍は魔法兵中心などとしていたが、領土拡大に伴い各拠点に軍を割り振る形で大幅に再編する」
「まず、首都マギア防衛を担う第1軍。軍団長はギギだ」
「拝命いたします」
「次に王国に駐留し、大陸中央への最前線になる第2軍。ガイアに任せる」
「承知しました!」
「大陸東、海の玄関口になるブルーネの総督にサイリス。頼む」
「承知しました」
「同じくブルーネに駐留し、新大陸侵攻の主力となる第3軍。ネイに任せる」
「全力で務めさせて頂きます」
「現在の第3軍からの飛行兵振り分けについては早々に頼む」
「了解しました」
「現在財務大臣のキンバリをサイリスの直属としてブルーネに派遣する」
「承りました」
「新しい財務大臣は、シシリア」
「謹んでお受けします」
「そして新たに俺直轄の禁軍を創設する。総司令はダリスに任せたい」
「俺が……全力で務めさせて頂きます!」
「最後にアイラ。新たな親衛隊長として頼んだぞ」
「はいっ! 全力を尽くします!」
「以上だ。かなり大掛かりな再編になるが、なるべく迅速に進めて欲しい」
室内には短く力強い同意の声が返る。
「さて、実際に取り掛かってもらう前にこれまでの働きを労わせて欲しい。食堂に移動するぞ」
* * *
魔王城・食堂。
全員が席につき、料理人と給仕たちが慌ただしく動いている。
山田が食堂の奥に声を飛ばす。
「ポンス! 準備できたか!」
「はい! いつでも!」 ポンスが元気よく返す。
山田が全員を見渡す。
「よーし、全員席についたな。堅苦しい挨拶は抜きだ。俺から焼肉のプレゼントだ。遠慮せず食いまくれ!」
大歓声が上がり、次々と肉と料理が運ばれてくる。
「ガイア、遠慮するなよ」
「今日は人生最良の日ですな!」
「魔王様についていって良かったです! うめぇ!」 ダリスが次々口に運ぶ。
「アイラ達もどんどん食べろよ。俺の護衛は後でいいぞ」
「はいっ!」
「こんな日が来るなんて……泣きそう」 ミリトンが感極まった様子で言う。
「泣いてる場合じゃないでしょ!」 リューシーがミリトンの背中を叩く。
「ワーグも満喫してるか」
「魔王様、私がこのような場に……」
「たまにはいいだろ。今後も頼りにしてるぞ」
「はっ!」
「セラ、ブルーネではありがとな」
「は、はい……私はあまりお役に立てず」
「そこまで謙遜すると嫌味だな。殲滅大臣に改名しようか?」
「えっ?! それだけはやめてください!」
「セラ様、魔王様の冗談ですって。ほら、どんどん食べましょう」 ベリアムがにこやかに促す。
「お、早速3人で集まってるのか」 山田がサイリス達のテーブルに近付く。
「はい」
「次回もパーティーができるかはサイリスとキンバリ次第だから頼むぞ」
「責任重大ですね」 キンバリが微笑む。
「ネイにはずっと頼りっぱなしだったから存分に食べてくれ」
「ありがとうございます」
「ダリオも楽しんでるか」
「ええ、このような光景が見られただけで頑張ってきた甲斐がありました」
「最近は魔王国も食料問題は大幅に改善したからな。引き続き頼むぞ」
「もちろんです」
「シシリアも財務大臣として期待してるぞ」
「ありがとうございます。必ずやご期待に応えます」
「ギギ、楽しんでるか?」
「はい。これほどの肉を調達されたのですね。さすがは魔王様です」
「キンバリは渋い顔をしてたけどな。ポンス! どんどん持って来てくれ!」
「はい! ただ今!」
* * *
数日後。山田がサイリスを見送っていた。
「そろそろ出発か」
「はい」
「ヘラは後から向かわせる」
「無理を言ってすみません。彼女が補佐になってくれると非常に助かるので」
「なんなら親衛隊全員サイリスにつけてもいいぞ? その方が俺も安心だ」
「気持ちだけ頂きます」
二人は笑い合う。
「山田様、レイラのことは気にかけてあげてください。私もなるべく会う機会を作りますので」
「レイラ? なんで? 元気にやってるじゃないか」
「彼女にはまだ支えが必要です」
「そうだな。わかった」
山田が腕輪を取り出す。
「これ、よかったらつけてくれ」
「これは?」
「プロテクトの効果がついた魔導具を作らせたんだ。お守り程度だけどな」
「ありがとうございます。これからはずっとつけておきますね」
サイリスが腕輪をつける。
「しばらく大変だろうけど困ったことがあればすぐに呼んでくれ」
「はい。その……いつでもお待ちしています」
「あぁ、会いに行く」
言葉を交わしながら、ふたりの間に静かな時間が流れる。
「それでは行って参ります」
サイリスが兵士たちとともに飛び立つ。山田はその小さくなっていく背中をしばらく見送っていた。
【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】
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