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第一部《魔王VS勇者》編
第59話【レイラ】
しおりを挟む「レイラ様。少し顔色が悪いように見えますが、もしや体調が?」
「いえ、少し考え事をしていて。すみません、ジーナス」
「無理をなさらず、存分に頼ってください。我々はレイラ様を全力で支えますので」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて少し外しますね」
(昨晩は一睡もできなかった……スラン様……驚いたけど……昔のような気持ちは……)
「レイラ様、お会いできて感激です!」
「ありがとうございます」
「はいはい! サイン会参加者の方は行儀良く並んでください! ルールを破ったら追い出しますよ!」
「ライラさん、次の方を」
「了解です。はい、次の方どうぞ」
「レイラ様、このような状況でも堂々とされている姿に勇気を頂きました。尊敬しています!」
「ありがとうございます」
(魔王支配下で皆どこか不安を抱えている……あの人がいなくなれば皆安心して……でも関係が深いライラさんやイリヤさんは……)
「レイラ様、夜分失礼します。入ってもいいでしょうか?」
「はい、その……魔王にお願いぐらいはできると思います……」
「本当ですか?!」
「はい」
「それは良かった。しかし、失礼かもしれませんがレイラ様は以前と変わられましたね」
「え、そうでしょうか?」
「はい。魔王の監視下で生き残るためにそのように必死に……お辛かったでしょう」
「え……」
「必ず魔王から救ってみせます。また3日後に状況を聞きに参ります」
「あ、はい……」
(この人は私を……昔の方がいいと……そうか、私……利用されてるんだ……)
「ガイア様、こちらに書類を置いておきますね」
「レイラ殿、ありがとうございます。どうかされましたか? 今日は少し様子がおかしいですな」
「え、えっと……あの……実は……」
「なにかお話が? 魔王様にでしょうか?」
「いえ、少し書類に不備がありまして」
(スラン様とやりとりをしていることがバレたら私も……ガイア様に報告を……でもすでに数日経って……今更……どうしたら……)
「お父様、どうされましたか?」
「マーシャの肖像画を見ていたのだ」
「お母様が亡くなられてもう5年も経ちますね」
「マーシャが今のレイラの姿を見たらきっと喜んでいるだろうと思ってな」
「お母様が……」
「マーシャは芯の強い女性だった。レイラは知らぬだろうが若い頃はそれはもう……毎日叱られておったのだ」
「ふふ、そうだったのですね」
「マーシャが亡くなってから悲しみのあまりレイラを大事に大事にと育てたが才能を枯らしておったのかもしれん」
「そのようなことは!」
「王国はこのような状況になってしまったが、私はレイラを誇らしく思っている。今後どうなるかはわからないが、思うようにやりなさい。私はずっとレイラの味方だ」
「お父様……」
(お父様はちゃんと私を見てくれていた……そうだ、私が決断するんだ……お母様、見守っていてください……)
「こんばんは、レイラ様」
「スラン様。お入りください」
「それで……いかがでしょうか」
「兄は元気でしたか?」
「え? えっと、ギレル王子もレイラ様のことを大変心配されていましたよ」
「そう、ですか……」
「魔王を討伐したらやっと元戻りになると笑顔で話されていました」
「元通り……」
「はい。幸いカシウス王子もご存命と神聖国で聞きましたのでこの国を取り戻したら……私も……レイラ様と改めて……」
「え?」
「あ、失礼しました! そんなにすぐには無理ですよね」
(あの人が殺されたら兄達が戻り……私はまた……いずれこの人と結婚させられて……勇者の妻として……)
「魔王を討ち取ったら、王国のため、そしてレイラ様のためにも魔族は今度こそ滅ぼそうと思っています」
「え……」
「私の甘さがこのような事態を招いたのです。魔王の後は幹部を順番に暗殺して、いかに魔軍が強大でもやり遂げてみせます」
(この人はなにを……サイリス様も……ガイア様も……アイラさんも……ジーンさんも……魔族の人達も……)
「私がレイラ様を絶対に守ってみせます。魔王など、この世に存在してはならないのです」
(あの人が……いなくなる……嫌だ……もっと話したい……私を見ていてほしい……もっと色んなことをしたい……私を褒めて欲しい……もっと一緒に笑いたい……)
(私は……)
【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】
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