魔王山田、誠実に異世界を征服する

nexustide400

文字の大きさ
22 / 115
第一部《魔王VS勇者》編

第22話【魔王山田、王城に乗り込む】

しおりを挟む

魔王城会議室。

「皆、よく集まってくれた。本題に入る前に──先日のバルト要塞では本当によくやってくれた」

山田がそう言うと、場の空気が引き締まる。

「俺達は見てただけで、最後まで出番なかったですが」

ダリスが苦笑混じりに言う。

「ネイ将軍と第3軍の功績ですわ」

ギギが隣のネイを見て言った。

「いえ、我々全員の勝利です」

ネイが控えめに返すと山田が続けた。

「その通りだ。決定打を与えた第3軍の功績は大きいが、要塞に集積地を築いていたことが大きかった。そういったことも含めて全員で掴んだ勝利だ」

「ありがとうございます。皆にも魔王様の言葉を伝えます」

ガイアが真っ直ぐに頭を下げた。

「そうしてくれ。さて、本題に入るが……勇者が襲撃してきたことで、予定を変更することにした」

「といいますと?」

ガイアが問い返す。

「俺はこの後、直接王都に乗り込んでライエル王と話をつけてくる。拒否すれば王都を焼くことになるが、多分そうはならないだろう」

会議室が大きくどよめく。

「いよいよですな!」

ガイアが身を乗り出す。

「ダリス、グランデ平野への侵攻は予定通り進めてくれ。恐らく軍は出てこないと思うが、確実に頼む」

「承知しました!」

「ガイア、それに合わせて王国軍が余計なことをしないように、第1軍は迅速に軍を進めて王都付近に集積地の構築を急いでくれ」

「なるほど、いつでも攻撃できる状態にするわけですな。承りました!」

「最後にひとつ大事な話がある。よく聞いてくれ」

全員が真剣な表情になる。

「近々、王国の人間を魔王城に連れてくる。好き勝手に出入りさせるつもりはないが、魔族繁栄のために今後も様々な人間が魔族領に来るだろう。これについて後々揉めないように幹部とは方針を共有しておきたい」

皆が一様に複雑な表情を浮かべる。

山田はしばらく様子を見てから口を開いた。

「もしどうしても納得できないなら、王都も含めて俺が人類の世界を焼き尽くしてきてやる。後は皆に任せて俺は魔王を辞める」

全員が驚愕する。

「そんな!」 ギギが声を上げる。

「冗談ではないから真剣に考えてくれ」

場が静まり返る。

しばらくして、ダリスが静かに口を開いた。

「最近、子どもがよく笑うようになったんです」

皆が彼に目を向ける。

「以前は暗い話題ばかりで我慢していたんでしょうね」

「そうだろうな」

ガイアが頷く。

「そりゃ、これまで散々仲間を殺されたことを思えば、人類なんて一人残らずぶちのめしたいです。ただ、魔王様がそれに代わる未来を見せてくれるというなら……俺は従います」

「私もです」 ギギが続いた。

ネイも山田を見て静かに頷く。

「ガイアはどうだ?」

「これまで倒れていった魔族の皆を思い浮かべていました。人類へのわだかまりが消えることはないと思いますが、皆も納得してくれるでしょう。私も魔王様についていきます」

「わかった。サイリスは?」

「私の心は魔王様と共に」

サイリスの言葉に、山田が微笑む。

「俺も皆の思いに全力で応えよう。それでは、手始めに王国を支配する」

 * * *

「おーやっと王都が見えてきた」

上空を飛びながら、山田が声を上げる。

「帰りは荷物が増えるから、親衛隊のみんな、よろしく頼むぞー」

「魔王様の護衛はお任せください」

サイリスが答える。

「なんでも命じてください!」

アイラも張り切った声を出した。

「よし、では直接乗り込むぞ」

山田たちは王都の上空をそのまま飛び、王城へと進む。

サイリスが魔法を放つと、王城の壁が轟音と共に破壊された。

山田たちはそのまま壁の中へと入っていく。

「何だお前達は!」 「陛下をお守りしろ!」 「応援を呼べ!」

王城内の兵士たちが騒然とする。

「サイリス」

山田の合図でサイリスが魔法を放つ。 強烈な魔法が放たれ、兵士たちが次々に倒れていく。

「お、ちょうどよかった」

山田は悠々と玉座へ向かい、座っていたライエル王に近づいた。

「お、お前は……」

「魔王やってる山田だ。早く攻撃をやめさせないと死体が増えるぞ」

「魔王……そうか……お前達!  攻撃を止めろ!  全兵士に伝えろ!」

「し、しかし……」

「命令だ!」

「承知しました!  攻撃を止めろ!」

兵士が走り出していく。

そこへジーナスが慌てて走り込んできた。

「陛下!  ご無事ですか!  これは一体……」

「ライエル王、話がしたい。王子たちも呼んでくれ」

「わかった」

ライエル王はジーナスに目を向ける。ジーナスは頷くと、再び走り去った。

「魔王山田殿、場所を変えて話し合いたいがどうだろうか」

「いいぞ」

ライエル王は立ち上がると山田達と共に玉座の間を出ていった。


【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...