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第33話 モテモテボッチ
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『白い流星のGodAccelのような常軌を逸した武装、レア度∞のアイテム、それが∞アーツ。アルティマ・ウエポンと呼ばれることもあります。未だゲーム内に4つしか所有者はいない神器。ユグドラシルのリーダーは∞アーツを極めるため、チームを抜けました』
「ランクマじゃ∞アーツは使えないからね~。∞アーツの練習にはならないってわけ」
それならチームを抜けたのも納得。
『そして残された私達は次のリーダーの選抜に移った』
「リーダーの脱退は別に良かったんだけどね。あの人はキッチリ役目を果たしたし。問題はこのリーダー決めだったんだよ。なんと、残った4人全員が『自分がリーダーに相応しい』って言い出したんだなコレが」
「4人? チームって全員で3人じゃないんですか?」
今の言い方だとリーダー含めて5人いたように聞こえる。
『C級以下は3人ですが、B級は4人、A級は5人になるんです。結果として、私達は揉めに揉めて別々の道を行きました』
「あの時、シーナちゃんがツバサを支持してくれれば後の2人は説得できたんだよ。だからシーナちゃんのせいで解散したってわけ」
『それを言うならあなたが私を支持していれば丸く収まっていました』
「シーナちゃんは強引で説明足らずでコミュニケーション下手なんだから、リーダーなんて無理に決まってるじゃんか」
強引なのは同感です。
「知ってるシキちゃん、この子リアルで友達いないらしいよ? 前にリーダーに『友達を作るにはどうしたらいいですか?』なーんて聞いててさ、かわゆいよね~」
やばい。今のはライン超えた。シーナさんの笑顔が消えた。
『チームをアイドル化させようとしていたあなたよりは、私の方がリーダーの適性はあったと思いますよ」
「あーあ、やめようやめよう。この言い合い不毛だってばよ」
ツバサさんは話を打ち切り、僕を流し目気味に見る。
「本題に入ろっか、シキちゃん」
本題……? まだ本題じゃ無かったんだ。
「さっきシーナちゃんがちょろっと言ってたけどさ、B級は4人チームなんだよ」
『あなた、まさか……!』
ツバサさんは僕の手首を握り、強引にウィンドウ上の『通話終了』にタッチさせ、シーナさんとの通話を切った。
「うるさい子は黙ってて。――ねぇシキちゃん、ツバサのチームに来ない?」
「ツバサさんのチームに……?」
「うん! ツバサのチームは次のランクマでほぼ間違いなくB級に上がる。そうすると新たに1人分の枠ができるわけだ。その枠に、シキちゃんが入るってわけ。ツバサならシキちゃんのこと、上手く使ってあげるよ」
「い、いえ、でも、僕はシーナさんのチームなので……」
「ツバサなら君を守れる。ツバサが君を守って、君が敵を撃つ。ただそれだけで、ツバサ達に敵はいない」
確かに戦闘スタイルの相性はいいかもしれない。けど、
「ごめんなさい!」
「うへ? ダメ? なんで?」
僕は人差し指を合わせる。
「僕……アイドルとかはちょっと……ノー適正というかぁ……えへ、えへへ……フリフリの服とか……ガラじゃないし……着てみたい気持ちはありますけどぉ……」
「アイドル? あ、えっと、それは昔の話で! 今はツバサ別にアイドルチームを作ろうと思ってないよ!?」
「それにツバサさん、凄く目立つし……僕、注目集めるの苦手なので……」
「それは――どうしようもないけどさ! で、でもシーナちゃんもそれなりに注目されてるよ!?」
「え~っと、すみません。そもそもなんですけど!」
僕は勇気を振り絞り、ハッキリと自分の意思を口にする。
「僕! この前紅蓮の翼にコテンパンにされたので! 紅蓮の翼は全員ぶち抜きたいんです!!」
「!!?」
「だからすみません! ツバサさんは僕の敵なんです!」
よし! 頑張った! 言いたいこと言えた!
「――っと、いうことらしいですよ」
あれ? シーナさんの声が背後から……って、シーナさんがいつの間にか後ろにいる!?
「お早いご到着で」
「泥棒猫を狩るために急ぎで来ました」
バチバチ、と2人に間に火花が散る。
対面して改めて空気の悪さを実感する。
「驚いたよ、シキちゃんがそこまでプライドゴリゴリなんてね。それに、シーナちゃんが仲間のために駆けつけるなんて♪ 余程お気に入りみたいだね」
「ええ。彼女は金の卵を超えるダイヤモンドの卵ですから。ハッキリと言いますが、シキさんの素質は私やあなた以上ですよ。間違いなく」
ちょっとぉ!? シーナさん何故挑発!?
「いやいやそれはないよぉ。だってツバサだったら、クレナイちゃんとレンちゃん相手でも勝てるもん」
「でしょうね。同じレベルだったのなら」
「? どういう意味かな? 君はいつも言葉足らずだよ。シーナちゃん」
「彼女は前回のランクマッチ、レベル11で挑んでいます」
「は……?」
「そして今もレベルは20程度です」
「!?」
ツバサさんはシステム画面を開いて、僕のレベルを確認する。
「嘘……初心者ってこと? 君、このゲーム初めて何日?」
「始めたのが28日で、今日が31日だから……4日目になります」
「じゃあランクマッチの時点じゃ始めて3日目!? それでクレナイちゃんとレンちゃんが2人がかりじゃないと倒せなかったの?」
ツバサさんは顔を引きつらせた後、すぐさま満面の笑顔になる。
「君……やっぱ欲しい!」
「むぎゃ!?」
ツバサさんが抱きしめてくる。機械という設定なのに柔い胸が顔面を包み込む。
「やめてください」
シーナさんがツバサさんの首根っこを引っ張って引きはがしてくれた。
「いい加減諦めてください。私が見つけた逸材です」
「ただ早く出会っただけでしょ」
ツバサさんはシーナさんの手を振り払う。
「まぁいっか。シキちゃんとチームメイトになりたかったけど、君は敵でも面白そうだ」
「ツバサさん……」
「ツバサの鉄壁は見たでしょ? はたして君に、あれが突破できるかなぁ~?」
ツバサさんは僕達に背を向けて歩き出す。
「次のランクマッチ、楽しみにしているよお二人さん。ボコボコにしてあげる♪」
ツバサさんは盾に乗り、金結晶の坂をスノボーの如く滑り降りていった。
神灰ツバサ……紅蓮の翼のリーダー。あの人に加えて、この前僕がやられたクレナイさんとレンさんがいるんだ。てっきりクレナイさんがチームのエースだと思っていたのに、とんだ誤算だ。まさかクレナイさん以上の強者がいるなんて。
でも、嬉しい。
難敵こそ撃ち甲斐がある。ツバサさんが相手でも、絶対に倒して見せる。あの鉄壁、無敵のディフェンス……相手にとって不足無しだ。
「ランクマじゃ∞アーツは使えないからね~。∞アーツの練習にはならないってわけ」
それならチームを抜けたのも納得。
『そして残された私達は次のリーダーの選抜に移った』
「リーダーの脱退は別に良かったんだけどね。あの人はキッチリ役目を果たしたし。問題はこのリーダー決めだったんだよ。なんと、残った4人全員が『自分がリーダーに相応しい』って言い出したんだなコレが」
「4人? チームって全員で3人じゃないんですか?」
今の言い方だとリーダー含めて5人いたように聞こえる。
『C級以下は3人ですが、B級は4人、A級は5人になるんです。結果として、私達は揉めに揉めて別々の道を行きました』
「あの時、シーナちゃんがツバサを支持してくれれば後の2人は説得できたんだよ。だからシーナちゃんのせいで解散したってわけ」
『それを言うならあなたが私を支持していれば丸く収まっていました』
「シーナちゃんは強引で説明足らずでコミュニケーション下手なんだから、リーダーなんて無理に決まってるじゃんか」
強引なのは同感です。
「知ってるシキちゃん、この子リアルで友達いないらしいよ? 前にリーダーに『友達を作るにはどうしたらいいですか?』なーんて聞いててさ、かわゆいよね~」
やばい。今のはライン超えた。シーナさんの笑顔が消えた。
『チームをアイドル化させようとしていたあなたよりは、私の方がリーダーの適性はあったと思いますよ」
「あーあ、やめようやめよう。この言い合い不毛だってばよ」
ツバサさんは話を打ち切り、僕を流し目気味に見る。
「本題に入ろっか、シキちゃん」
本題……? まだ本題じゃ無かったんだ。
「さっきシーナちゃんがちょろっと言ってたけどさ、B級は4人チームなんだよ」
『あなた、まさか……!』
ツバサさんは僕の手首を握り、強引にウィンドウ上の『通話終了』にタッチさせ、シーナさんとの通話を切った。
「うるさい子は黙ってて。――ねぇシキちゃん、ツバサのチームに来ない?」
「ツバサさんのチームに……?」
「うん! ツバサのチームは次のランクマでほぼ間違いなくB級に上がる。そうすると新たに1人分の枠ができるわけだ。その枠に、シキちゃんが入るってわけ。ツバサならシキちゃんのこと、上手く使ってあげるよ」
「い、いえ、でも、僕はシーナさんのチームなので……」
「ツバサなら君を守れる。ツバサが君を守って、君が敵を撃つ。ただそれだけで、ツバサ達に敵はいない」
確かに戦闘スタイルの相性はいいかもしれない。けど、
「ごめんなさい!」
「うへ? ダメ? なんで?」
僕は人差し指を合わせる。
「僕……アイドルとかはちょっと……ノー適正というかぁ……えへ、えへへ……フリフリの服とか……ガラじゃないし……着てみたい気持ちはありますけどぉ……」
「アイドル? あ、えっと、それは昔の話で! 今はツバサ別にアイドルチームを作ろうと思ってないよ!?」
「それにツバサさん、凄く目立つし……僕、注目集めるの苦手なので……」
「それは――どうしようもないけどさ! で、でもシーナちゃんもそれなりに注目されてるよ!?」
「え~っと、すみません。そもそもなんですけど!」
僕は勇気を振り絞り、ハッキリと自分の意思を口にする。
「僕! この前紅蓮の翼にコテンパンにされたので! 紅蓮の翼は全員ぶち抜きたいんです!!」
「!!?」
「だからすみません! ツバサさんは僕の敵なんです!」
よし! 頑張った! 言いたいこと言えた!
「――っと、いうことらしいですよ」
あれ? シーナさんの声が背後から……って、シーナさんがいつの間にか後ろにいる!?
「お早いご到着で」
「泥棒猫を狩るために急ぎで来ました」
バチバチ、と2人に間に火花が散る。
対面して改めて空気の悪さを実感する。
「驚いたよ、シキちゃんがそこまでプライドゴリゴリなんてね。それに、シーナちゃんが仲間のために駆けつけるなんて♪ 余程お気に入りみたいだね」
「ええ。彼女は金の卵を超えるダイヤモンドの卵ですから。ハッキリと言いますが、シキさんの素質は私やあなた以上ですよ。間違いなく」
ちょっとぉ!? シーナさん何故挑発!?
「いやいやそれはないよぉ。だってツバサだったら、クレナイちゃんとレンちゃん相手でも勝てるもん」
「でしょうね。同じレベルだったのなら」
「? どういう意味かな? 君はいつも言葉足らずだよ。シーナちゃん」
「彼女は前回のランクマッチ、レベル11で挑んでいます」
「は……?」
「そして今もレベルは20程度です」
「!?」
ツバサさんはシステム画面を開いて、僕のレベルを確認する。
「嘘……初心者ってこと? 君、このゲーム初めて何日?」
「始めたのが28日で、今日が31日だから……4日目になります」
「じゃあランクマッチの時点じゃ始めて3日目!? それでクレナイちゃんとレンちゃんが2人がかりじゃないと倒せなかったの?」
ツバサさんは顔を引きつらせた後、すぐさま満面の笑顔になる。
「君……やっぱ欲しい!」
「むぎゃ!?」
ツバサさんが抱きしめてくる。機械という設定なのに柔い胸が顔面を包み込む。
「やめてください」
シーナさんがツバサさんの首根っこを引っ張って引きはがしてくれた。
「いい加減諦めてください。私が見つけた逸材です」
「ただ早く出会っただけでしょ」
ツバサさんはシーナさんの手を振り払う。
「まぁいっか。シキちゃんとチームメイトになりたかったけど、君は敵でも面白そうだ」
「ツバサさん……」
「ツバサの鉄壁は見たでしょ? はたして君に、あれが突破できるかなぁ~?」
ツバサさんは僕達に背を向けて歩き出す。
「次のランクマッチ、楽しみにしているよお二人さん。ボコボコにしてあげる♪」
ツバサさんは盾に乗り、金結晶の坂をスノボーの如く滑り降りていった。
神灰ツバサ……紅蓮の翼のリーダー。あの人に加えて、この前僕がやられたクレナイさんとレンさんがいるんだ。てっきりクレナイさんがチームのエースだと思っていたのに、とんだ誤算だ。まさかクレナイさん以上の強者がいるなんて。
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